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読書メモNo.44『盤上の向日葵/柚月 裕子』


最近読んでいなかった、小説たまに読むといい気分転換なります
将棋ルールは分かるので楽しめるかな思い購入

ミステリーです。
犯人は明らかに分かるのと、特にトリックとかはないです。
犯人の心情とかを感じる読み物。

将棋のタイトル戦を争う二人の棋士。
24歳の天才棋士と、東大卒実業家出身の33歳上条雄介。その会場を訪れた2人の刑事。
変死体と一緒に、数百万の価値がある将棋の駒が発見されたのだ。その持ち主は。。。

ネグレクトにあっていた雄介少年。
近所に住む元教師、唐沢とその妻。夫妻に子供はできなかった。
将棋雑誌の廃棄をめぐり小学生の雄介と唐沢老人は出会い、週末は夫婦の家で将棋の勉強をして過ごすようになっていく。
歳の割に痩せ細り、冬でも薄着の服を着、見るからにお風呂に入っていない雄介に、週末だけでも世話をやける唐沢夫婦にとって彼は息子のような存在だった。
虐待もうけていることが分かった唐沢夫婦だったが、雄介の母親は他界しており、唯一の肉親である父親から引き離せるものかどうか。元教師のあがきが描写されている。
雄介の賢さと将棋の天賦の才に気づいた唐沢氏。将棋の塾のような奨励会へ雄介を入れたいと願い、父親と交渉するが、父親は育てた恩を言葉に雄介への呪縛を解こうとしなかった。

奨励会を断ったことで唐沢夫婦と会う事に後ろめたさを感じていた雄介は、唐沢夫婦に会う事を止めた。
将棋を教えてもらう事は恩を仇で返すと思っていた。
月日は流れ、高校生になった雄介と偶然書店で唐沢氏は再会する。
そしてストレートで東大に合格した雄介は故郷を離れるその直前、唐沢家に挨拶に来る。
唐沢老人は、餞別にと世に7組しか存在が認められない数百万の将棋の駒を雄介に渡す。いざとなったら換金できるように。

雄介にとってこの駒は、恩人からもらった宝物。
そして将棋を再び嗜んだことで、この宝物を元アマチャンピオン東明にだまし取られてしまう。
駒を買い戻すために東大卒業後は一流企業でお金を稼ぎ、駒を買い戻すと事業を立ち上げた。
目立つつもりはなかったがメディアに取り上げられてしまった雄介。
彼の前に現れたのは上京を機に連絡を絶っていた父親だ。
縁を切るつもりで大学に入ってからは一切連絡を取っていなかった。育児放棄に虐待を受けて育ったにとっては、父親は親ではなかった。
しかし世の常というか、毒親はどこまでも毒親で、当然の様に雄介に金品をたかる。
同時に駒をだまし取った東明も雄介の前に現れる。目的は賭け将棋だった。

東明に関しては将棋の授業料と割り切る雄介だが、身なりの悪い父親の存在は雄介の部下から信用まで奪おうとしていた。

幸せにはなれないのかと悩む雄介
変死体は誰だったのか
雄介が大事にしていた駒が死体と一緒にいた理由とは
雄介の最期とは

一人の棋士の人生が描かれた小説です。

子供は親を選べないとよく言うけれど、可哀相としか思えない序盤。たまたま、唐沢氏と出会えたことは雄介にとっては良かったのかもしれないが、親権に勝てるものはなかった。法律も守ってはくれなかった。
平々凡々に生きることが難しい社会を描写している。

才能だけでは変えられない過去
一人の頑張りだけでは動かせない運命

色々思う所がある小説でした。
ただ、個人的にはミステリーとも違うし、読了感が少し足りなかったので読み返しはしないかな~


おすすめ度:★★★☆☆
コスパ  :★★☆☆☆


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