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マスターの論文判定会とジャパニーズの定義問題座談会

 寒い日が続いているが、27日の土曜日は朝からウイスキー検定の公式テキストの原稿、そしてガロアの泡盛特集の原稿を書いて、一度オフィスに行き、その後久しぶりに本屋に寄る。昨日、28日の日曜日はマスター・オブ・ウイスキーの論文審査の最終チェックと、午後から開かれるジャパニーズウイスキーの定義問題についての座談会の準備。
 12時すぎに事務所に行き、12時半から論文審査の判定会を行う。審査員は私を含めて4人。うちHさんは急な用事があり参加できないということで、書面で判定結果を事務所に送ってもらった。残り3名が結果を持ち寄り、16名の論文をそれぞれ審査、評価を下してゆく。結局1時間くらいの話し合いで、今年の合格者(1次試験)は、11名ということに決定。昨年論文審査に通っていて、筆記・官能だけを今回受ける受験者1名を加えて、2月25日の二次試験にのぞむことができる人数は12名ということになった。
 その時に話し合われたのが、従来のやり方では2次試験ができないということで、例年個別にやっていた官能テスト、ブラインドテイスティングを、個別ではなく全員でやる方法はないかということが、話し合われた。これだと筆記1時間、官能30~40分、その後の個別の口答試問が2時間、トータルで4時間くらいでできる。受験者も大変だが、1日で二次試験をやってしまおうと思ったら、これしかないかもしれない。今週、早い段階で合否通知を出し、その後に試験の変更点についても通知したいと思っている。
 論文判定会を終えたところで、2時からこんどは2階のウイスキースクールで、ジャパニーズウイスキーの定義問題の座談会。やはりHさんが欠席ということになり、私を含め9人が参加。うちわけは世話人2人、マスター・オブ・ウイスキー4人、そして造り手2人である。まずは、私のほうで次号3月12日に発売するガロアの巻頭で、なぜジャパニーズ、それも定義問題について触れるのか、ジャパニーズの現状など混じえて20分程話をさせてもらった。
 昨年、ジャパニーズウイスキー生誕100年ということで、私たちは『ジャパニーズウイスキーイヤーブック2023』を発行した。その中で網羅した日本のウイスキー蒸留所は全部で76か所。ところが1年経って、今回のイヤーブック2024では、その数が114か所となっている。実に1年で38か所増えたことになる。はたしてこの流れ、勢いはいつまで続くのか。そして一昨年、ジャパニーズウイスキーの輸出金額は561億円と、前年より100億円近く増え過去最高を記録した。しかし、例の処理水排出問題もあって8月以降、中国への輸出が急激に減り、11月までに統計では約480億と、2022年の561億を抜くことは不可能となってしまった。
 そうした不安要素も含め、今ジャパニーズの定義を、日本洋酒酒造組合の単なる内規ではなく、法的根拠をもつなんらかの法制化ができないか、そのための緊急座談会であると、申し上げた。この3年間(4月1日から、いよいよ内規が組合内で効力を持つことになる)、コロナもあり、ウイ文研、ガロアとしても見守ることしかできなかったが、この問題はいつも私たちの頭の中にあった。いつかは…と思っていたが、やるのは今しかないのだろうと思う。
 もう1つ、この問題については私たちだけでなく、いろいろな所で検討が行われていて、来月70歳を迎える私がやるには荷が重いと思っていたのだが、私でもできる、いや私にしかできない方法があることを、今回のマスターの論文審査の過程で知ることができた。同じ思いを抱くマスターの受験者が、その方法について、具体的に提起してくれたからである。もやもやしていた頭の中が整理され、目の前がパッと開けたようにも思えた。
 この方法ならできるかもしれない。そしてその端緒を開くのは、私の役目かもしれないと思ったのだ。もちろん、私は単なる言い出しっぺとしての役目だと思っている。実際には2~3年はかかってしまうので、実務や、いずれその代表は次の世代に継げたいと思っている。これこそが、私たちが、今年からテーマとして掲げた“次の100年プロジェクト”の嚆矢となるものだと思っている。

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