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〈レポート〉 やってみたらわかった!クラウドファンディングで市民が本を出すということ

きみトリプロジェクトの舟之川です。

昨夏のクラウドファンディングからまもなく1年となる7月中旬。わたしたち無名の市民3人が、クラウドファンディングで制作費を募って本を出版した、この経験と学びをシェアするイベントをオンラインにて開催しました。

題して、「やってみたらわかった!クラウドファンディングで市民が本を出すということ」。募集ページはこちら。


当日ご参加くださったのは約30名の方々。「どんな期待をして参加してくださったのか」をうかがってみました。

・どのような経緯で3人でやることになったのか 、どのように役割分担したか 、想定内・想定外はなんだったのかとその対応を聞きたい。
・クラウドファンディングで大変だったこと、成功のコツを知りたい。また、実施にあたって出版社に対しておねがいしたいこと、やって欲しかったことなどあれば聞きたい。(出版社の方)
・講演する都度、多くの方に書籍化を望まれてきた。その割には、出版社の反応は悪いため、クラウドファンディングに関心を持ち始めたところ。
・いつもイベントなどの案内文が素敵だな〜と思っています。今回も直前に知ったのですが、イベントの案内文章に惹かれて参加しました。

まさに出版のクラウドファンディングを検討中の方から、具体的な関心を持って来てくださった方、なんだかおもしろい体験ができそう!とピンときたという方まで、いろんな動機でご参加くださいました。

ファシリテーションを担当した高橋ライチからは、きょうの場の目的【深く、新たに、あらためて】を共有しました。
皆さんの活動において思いの源泉を深く掘る機会、
新たに可能性を発見する機会、
あらためて自分の事業を進めるモチベーションUPの機会
そんな場になれば、と。

この場の背景もご紹介させていただくと、実はこのイベントは、クラウドファンディングのリターンで、「講演招致プラン」をサポートしてくださったIDO(イド)さんのご協力で開催しました。

IDOとは、I Dig Out(私は掘り出す)の頭文字をとったもの。自分が本当にやりたいことを掘り出し、実現するために、いろんな人がスキルや思いを持ち寄る、みんなで使える「井戸」を作ろうと、高橋ライチが名付け親になって始まった相互支援のコミュニティで、なんとこの日が140回目の開催だったそうです。

これまでIDOのメンバーからコツコツ集めてきた参加費をきみトリのクラウドファンディングに贈ってくださり、「クラウドファンディングのリアルが聞きたい、やった人にしかわからないことをシェアしてほしい」というリクエストまでくださったことはとてもうれしく、光栄なことでした。

また、クラウドファンディングで行動を起こしたことが、このようなパワフルな循環につながっていくことを参加者の皆さんにもご紹介でき、とてもうれしいオープニングとなりました。


1stセッション: きみトリプロジェクトとわたしたち

このプロジェクトの立ち上げは、「学びのシェア会」という個人が学んだことをシェアするコミュニティでの活動が発端になっています。その会の中で生まれた問題意識「10代の頃に知っていたかった!知っていてほしいことがある」を本の形にして届けたいとプロジェクトとして立ち上げました。一人ひとりの自己紹介や普段のきみトリ以外の活動についても、ここで行いました。

学びのシェア会

きみトリプロジェクト

2ndセッション: クラウドファンディング成功の鍵

まずは、クラウドファンディングの歩みについて時系列で紹介しました。クラウドファンディングの経験者の方に隊長(リーダー)をお願いし、All-in形式、3週間の短期決戦としました。目標金額、支援者の人数、手数料、資金の使い途、スケジュール、期間中のイベント開催などについて概要を紹介しました。

▼実際のクラウドファンディングのページ

概要

次に、クラウドファンディングの成功の鍵について、さらに詳しく解説していきました。5カ年計画のプロジェクトであること、なぜクラウドファンディングという手段をとったか、出版とその先に目指してきたこと、成功要因分析、工夫や注力したことなどをエピソードを交えながら紹介していきました。

成功要因

クラファン詳説

ここで質疑応答の時間をとりました。「スピーチ中の質問、感想ツッコミ大歓迎!」 としていたこともあり、皆さんから次々とチャット欄に書き込みが入って来ました。

いただいたご質問
・「クラウドファンディング扱いで出版」というのは、どういうこと?
・クラファンの途中で商業出版が決まったとのことですが、最初から商業出版はめざさなかったのですか?
・プラットフォームをCampfireにしたのはどうして?
・当初考えていた自費出版において、流通はどのように考えていましたか?
・オールイン方式だと、資金が足りなくて自費出版ができない心配はありませんでしたか?
・自費出版も考えたうえで、何故クラファンに行きついたのでしょうか?自費出版とクラファンでの出版のメリット、デメリットを知りたいです。
・クラファン開始の時点で、原稿は何割くらいできていたのですか?
・2019年1月にプロジェクトをスタートしてから、クラファンまでの間は何をされていたのでしょうか?
・クラファン中のイベントで印象深い回などあったら知りたいです。
・クラファン隊長の働きについてもう少し具体的に知りたい。
・初版は何冊発行されたのでしょうか?
・書店営業って、どのようにするのですか?

皆さん熱心に聞いてくださったことがわかる質問ばかりでした。一つひとつにお答えしていき、休憩に入りました。

3rdセッション: クラウドファンディング、その後

出版後の活動をご紹介しました。こうしてあらためて見てみると、出版後半年でほんとうにたくさんの活動をしてきたのだなと思います。

その後

そして、メンバーそれぞれの、きみトリの執筆〜クラウドファンディング〜出版を経験した学びや変化、これからの向けての抱負などをスピーチしました。

また時間をとって、いただいた質問に答えていきました。
装丁者について点字図書館の音声データの入手方法について、アンバサダーセットの申込方、カフェやスクールとのご縁をどうつくったか、編集の自由度について、3人チームでの危機はあったか......などなど、たくさん寄せていただきました。

まとめ: クラウドファンディングで市民が本を出すということ

2時間の場の最後に、この日のイベントのタイトルについて、あらためてふりかえり、まとめとしました。

クラウドファンディングで本を出すことの一番の利点は、「自分たちで編集、監修できる」ということだと思います。

また、「運動」として、多くの人にこのテーマに関心を持ってもらうことができます。10代の人が今社会の中でどのような位置付けにあるのか、わたしたちもトークライブや記事で発信することで、10代の頃を思い出してもらったり、問題意識を共有する機会をつくりました。

さらにこれは「市民活動」なので、本を出すことがゴールではなく(ゴールの一つではありましたが)、これをどう活かしていくかが重要だった、とわたしたちはとらえています。

まとめ

参加してのご感想

・出版までと出版後の「モチベーションが高くなる環境設定」のチームワークぶりが印象的でした。さらに、出版は一つのプロセスであり、出版後の社会活動にどう活かしていくのかが本質であることも共感でき、勇気を貰えました。
・チームで動いている強さを感じました。書籍化に向けて、自分もチーム作りを意識しようと思います。
・昨年のSNSイベントから拝見していたので、今日のイベントでまとめ的な話を聞けて、一緒に本づくりに参加しているような感じを受けました。
・恥ずかしながら、皆さんの事も、本の事も何も知らずに、知人に紹介されて参加しました。自分の仕事で重要な鍵となっている「対話」についてたくさん聞くことができ、自分も仕事で実践していきたいと思え、勇気をいただくことができました!
・じわじわと何かしらエネルギーが湧いてくる感じがありました。クラファンは自分も経験したことがあるのですが、丁寧なプロセスを追ってきていらっしゃったことが、すごく伝わってきました。
・みなさんで「プロジェクトのトリセツ」をつくられたのですねー
・出版して終わりじゃないことに、なるほど~と思いました。個人的には場づくりに関して興味があります。きみトリを活用させていきたいです!!
・フリーで書籍の編集者をしているが、企画が通らない。出版社にいた頃から初めての著者は通りにくいのを肌身で感じていたが、今は実績がないと難しい。Amazonでセルフパブリッシングを勧めていたが、クラファンで製作費を募るのも手法の一つだと感じた。
・翻訳本を出す予定があり、チームで関わっているのですが、皆さんの、適所適材や声かけ、熱意、お祝いなど、いろいろ参考になったのと、心が暖かくなりました。
・著者が装丁や題名を自分でつけられないことへのストレートな不満を聞けてよかった。商業出版では売れなかったら責任は出版社なので、かなりの重圧を感じながら決めている。著者も納得してくれていると思っていたが…。目からうろこだった。
・登壇先で書籍化を望まれながら、出版社に反応の悪さのギャップに愕然としていたところ、あらためてまずは自分なりの編集と執筆を重ねて、具体策を練っていくことにします。


終わった直後の投稿でも書きましたが、わたしとしては、最後まで残っていたリターンを無事にお届けできた安堵感と、プロジェクトとして一つの節目を終えたという充実感がありました。それもこれも皆さんが、とても熱心に参加してくださって、この場で起こっていることをそれぞれのやり方で味わい、楽しんでくださったおかげです。

ご参加くださった皆様、場を提供してくださったIDO様、あらためてありがとうございました!

IDO当日写真加工済


お知らせ

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8月21日(土)13:20〜14:20
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