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オーディオビジュアル薬の作り方 Vo.1: Deep Sleep by Digital Pharmacy

前回の記事で、なぜ音響心理学を使って作曲しているかの説明をした。

それから、自分のアルバムでも使用しているし、作曲仕事でも随所に使用してきた。


ただ、音響心理学をメインに作品を発表したことがない。
ある日、偶然、人との出会いをきっかけに、Digital Pharmacyというプロジェクトを一緒に始めた。


Deep Sleep

Digital Pharmacyを簡単に説明すると、「見て聴いて感じる薬」というコンセプトのアートである。

それから、製薬の効果があるような音響心理学の文献や論文を読み漁り、11種類の作品(NFT)を発表した。
その中の1つ、Deep Sleep(睡眠薬)の制作過程を説明する。

作曲コンセプト

睡眠薬(Deep Sleep)は「寝かしつけ症候群」の特性を使って制作している。

車内の聴覚情報は、静かで低周波数の音響環境。しかし視覚情報は移り変わりの速い車外景色。この聴覚と視覚の乖離によって脳がバグり眠気が引き起こされる。

Deep Sleepの音楽は、低周波数を強調したアンビエントミュージックを基本としている。
この曲はドローンサウンドとフィールドレコーディングの2つのレイヤーで構成されている。

フィールドレコーディングは、ドライブ中の車内音(アクセル音をメインとする)をレコーディングし、使っている。リバーブを少し加え立体感を出している。

この車内音の音量変化とピッチ変化をデータ抽出し、ドローンサウンドのボリュームとピッチシフトにリアルタイムマッピングして、変調させている。

こうすることで、よりリアルな車内音の揺らぎを音楽に当てはめることができる。

ビジュアルコンセプト

ビジュアルに関しては、水平に右から左に推移するストライプを高速に動かし、車内から見える高速の視覚情報を演出した。

川の流れのような、ずっと見ていられるシンプルなループ映像は個人的には好きである。

製薬

結果、Deep Sleepを見ると、ドライブ中の助手席に座ったような感覚を作り出す不思議なオーディオビジュアルアートになってると思う。

もしよかったら寝る前に「見て聴いて感じて」ほしい。
睡眠導入剤になるかもしれない。



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