見出し画像

当たり前のように染み付いた感覚を生んだ2020年の読書。本は人の心を作る。

「自分の中に当たり前のように染み付いた感覚」が増えたと感じる2020年。色々な本を読むうちに、これ前も別の本でも言っていたな…と思ったり、そんなのもう知ってる、とサラリと流せるようになったり。でも、それって、この1年でいろんなことを吸収できたからこそなのかなと思う。


2019年は10冊ほどしか読んでいなかったのに、2020年は朝渋イベント、朝渋シェア読部などを経て、大体30冊ほどの本を読むことができました!

去年は随分前に買った本を「何でこれ買ったんだっけ?」と思いながら読んでみたり、人から勧められた本を読んでみたり、理由はさまざま。

そんな2020年に読んで、「今の自分に当たり前のように染み付いた感覚」を生み出してくれた本たちを紹介します。自己啓発本から新書、小説、エッセイ、漫画まで。


「自分はこれ!」と言えなくてもいいと分かってキャリアが見つかった話


「いろいろなことに手をつけすぎて自分が何者なのか、将来何を目指したいのかを語れない」

2020年のはじめ、そんなモヤモヤを抱えていた私ですが、年末頃には複業キャリアという決断をして、スッキリさせてくれた本。上記の悩みに対して、マインド的に解決してくれた3冊、実践式で解決してくれた1冊を紹介します。


①マインド的解決

『マルチポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』(ビジネス書、エミリー・ワプニック著)

画像1


去年1月、教員でありながらバンド、カフェ、コミュニティ運営などでも生計を立てて「毎日が楽しい」と目を輝かせている人に出会い、衝撃を受けた。その方に「君もきっとマルチポテンシャライトだからこれを読むと良いよ」渡された本。「マルチポテンシャライト」というのは、やりたいことがいっぱいで選べない状態のことだと知る。今はマイノリティだけど、マルチポテンシャライトの人にしかない才能もあり、これから先の時代で光っていく人材なんだそう。最高じゃないか。

1つに絞ることを教育でも社会でも強いられる中で、ずっとモヤモヤしていたものがパッと晴れた感覚!「転職だけが全てじゃない」「こんな働き方ありなんだ!」と心が軽くなった。

私もマルチポテンシャライトが受け入れられる環境の中で、やりたいことは全部やる人になりたい。願ったその先には、子どものように目を輝かせて、夢中で働く私が見えていました。


『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(現代新書、平野啓一郎著)

画像2


積ん読本棚から発見。自分が接する人や環境によって、自分のキャラクターだったり周りから見た印象が変わってしまい、「どれが本当の自分?」と悩んでしまう人に向けての本。

正解はどれも本当の自分。大人しい自分も、積極的に人に話しかける自分も、全部ひっくるめて「私」。これを分人主義というそう。分人主義で悩まないようにするためには、自分が心地良いと思える分人の構成を考えて環境や関わる人を調整していくこと。さらには心地良いと思える分人を知り、その割合を増やしていくと尚良い。「自分は何者なのか」なんて、どうでもよくなってきたし、嫌になってしまう自分のことは考えずに、好きになれる環境にいる自分の方をきちんと信じていこうと思いました。分人主義で悩まずに、分人主義を大いに活用して、なりたい自分に近づきたい!

『トリツカレ男』(小説、いしいしんじ作)

画像3


久々小説でも読むか、と内容も全く知らない状態で家にしばらく置いてあった本。そしたら主人公が自分そっくりだったんです。「トリツカレ男」と呼ばれる主人公は何かに夢中になると、とりつかれたかのようにのめり込んでしまう。しかし、飽きっぽく気づいたら別のことをしている。まるでマルチポテンシャライト。毎回違うことをしているうちに、とある女性に一目惚れしたことで、前に学んだスキルを活かして彼女に振り向いてもらおうとする。そんな素直な姿に心打たれてしまうお話。

「だいたいが時間のむだ、物笑いのたね、役立たずのごみで終わっちまうだろうけど、でも、きみが本気をつづけるなら、いずれなにかちょっとしたことで、むくわれることはあるんだと思う」

トリツカレ男の相棒であるネズミが言っていた言葉。私もこれまでたくさんのことに手をつけていたけど、どんなに期間が短くても1回1回に全力を尽くして物事に取り組んでいるうちに、いざとなった時に役に立つのかな、なんて心持ちでいられるようになりました。

②実践的解決

『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』(自己啓発、八木仁平著)

画像4


キャリアのための自己分析本は、もうこの1冊だけでいいと思う。やりたいことは「好き」「得意」「価値観」の重なるところ、というシンプルな自己理解方法。この3つの探り方が本の中にぎっしり書かれている。

個人的にハッとさせられたメソッドがこちら。

・やりたいことを見つけた時には「運命的な感覚」があるというのは大きな間違い。「なんか面白いぞ」と感じる程度。
・細かい実現手段はやりたいことを見つけたあとに考える。
・短所を克服すれば、「人並みの成果と退屈な仕事」が手に入る。長所を伸ばせば、「圧倒的な成果と充実した仕事」が手に入る。

何事も期待値を上げすぎず、将来の仕事に役立つかどうかも気にせず、やりたいことをやってみる。苦手なものではなく、「心地良さ」があるものに焦点をおいてみる。

この本を使いながら、マルチポテンシャライトの複業の仕事を考えていた結果、「ああ、これかもしれない」とやりたいことが見えてきたのです。

キャリアを決めたところで去年は終わり、実践にうつすのは今年からですが、「私はこれがやりたい」と自信を持って言えるようになったのは、2020年最初の自分からすると考えられなかったこと。それだけでも2020年は自分を褒めることができています。


人生で起こることはすべて、捉え直し!


2020年も、たくさん、たくさん、悩みが出てきました。でも、今の状況もきっと次の糧になる。雨のあとは虹が出る。そう信じてこれた本を紹介します。

①『深夜の、かけこみ横丁』(自己啓発?、村上萌著)

画像5


女性の仕事、恋愛、友人関係などのお悩み相談に、NEXTWEEKEND代表の村上萌さんが答えてくれる本。悩みの中には読んでいる方まで落ち込んでしまいそうな内容もありましたが、萌さんの手にかかれば、全て魔法のように、物事を捉え直す力で良き方向へと導いてくれるんです。落ち込むことがあった時は、この本の中から近いお悩みを探して読んでみたい。この先も、人生の愛読書となるであろう本でした。ここで、グッときた捉え直しを3つご紹介。

親友と呼べる人がいない→親友と言葉にする必要はない。「いつもこの人」な訳ではなく、楽しい時間になるように行き先やメンバーを組み立てていくプロジェクト式と考えてみる。

この言葉から私も昔友達関係が難しいなと思ったことをnoteに書いてみた。私も学校でも会社でもない「第三のコミュニティ」に身を置いて自分のやりたいことをやっているうちに、周りの友達が遊びに行っているのをSNSで見ても何も思わなくなった。「誰といるか」よりも「何をしたいか」という自分軸に身を置く生き方がいい、と心が軽くなりました。(この間大学の友達とこの話をしたら「私は旅行先はどこでも良くて、誰と行くかを大事にしたい」と言われ真逆の考えに驚いたので、ここは価値観次第だと思う)

自分が何者でもないことに不安を感じる→常に自分の選択を言語化して振り返ることで、「何をしている者か」という今日の自分に納得をしてみる。「何者か」になれるわけじゃないけど、「何者でもない自分」に焦ることは少なくなる。

まさに、自分がこの本を読んだ当時抱えていたお悩み。これ以降、1回1回のフワッと思い浮かんだことと選択した理由を添えた発信を心がけてみた。「これは違ったな」と思うことも、その時選択した理由を考えたら納得感が出た。決心したことにも「理由」をつけたことで、より実践に落とし込みやすくなっていった。1月にSHEメイトナイトの発表も決まったし、発信することも大事なのかもしれない。

なんのために生きているかわからない→(萌さんの)2歳の娘は今日の予定も知らないまま生きている。目の前の出来事を全力で楽しんでいて、これが人間の本能なら捨てたもんじゃない。

2020年、ずっとマスクをしながら生活するなんて、誰が想像できたことか。コロナに限らず、何年先のことも、明日にだってどうなるかもわからない。だとしたら考えたって仕方のないことより、心動くものに行動して「今を楽しむ」を大事にしよう。

そのおかげで今年は、楽しそうと思ったものにはすぐ飛びついた。目指すキャリアのことばかり考えていたけれど、それ以外のスポーツ、モーニング、映画鑑賞、コミュニティプランナー……。心動くものに従ううちに、自分の選択から価値観も見えてくるので、その点も良かったです。


②『学園アリス』(コミック、1〜31巻、樋口橘著)

画像6


出会ったのは小学4年生の時でしたが、朝渋の漫画部で紹介する漫画を決める時、迷わず引っ張り出してきて読み返した漫画。自分を形成したものの1つだなと改めて思ったお話。何が良いって、主人公の「捉え直し力」がすごいのです。主人公の真っ向に立ち向かう性格、特殊な家族背景があることなどから、四方八方から嫌がらせを受けるのですが、必ず「笑顔」、嫌がらせをされた相手ですら困っている時には手を差し伸べる。そんな姿に周りから徐々に信頼されて仲間を作っていく。(本当に学園アリスはストーリーもキャラクターにも深みがあってそこも推せるけど、ここでは割愛。いつか語るnoteを書こう)

「捉え直し力」は物事を良い方向に持っていくだけでなく、仲間も作ることができるのかもしれない。小学生の時既にこの漫画で、私の価値観やマインドの基盤が無意識に作られて、村上萌さんの言葉も響いたのかも?と無理やりかもしれないけど、繋がるなと思ったのでした。


こんな文章書きたい!書く人としてのロールモデルが増えた


「心の内側からの想いを書く人生でいたい」

文章にハマり出した2020年。そう思った私は、エッセイも読んでみました。発想力豊かな人、言葉の紡ぎ方が美しい人。書いて生きていきたい私が本を読む中で見つけた、ロールモデルの方々をご紹介します。


①ヨシタケシンスケさん

画像7

エッセイ 『思わず考えちゃう』

今や絵本界の超大物ですね。恐縮です。とにかく日常にあるどんなものでも疑問を持つ視点が独特です。ヨシタケさんの持つ疑問はまるで子どものようで「そこ!?」というものから「なるほど、確かになぜだろう」と考えさせられるものまで。本を読むと、ヨシタケさんの頭の中を全部見ているような感じになる。普段からメモを用意していて、移動中でも会社員の時の仕事中でも感じたことがあったらすぐ書いていたそう。とにかく些細なことでも、面白くてもつまらなくても、全部メモする。そこに「尖った自分らしさ」が出てくるのかなと思います。そんなヨシタケさんの頭の中のエッセイ。

②岸田奈美さん

画像8

エッセイ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』

noteから有名になって作家になった方。岸田さんにしかない家族背景を中心に繰り広げられる。それに加えて、登場する家族と読み手に優しさをくれるエッセイ。状況だけだったらシリアスに陥ってしまいそうだけど、岸田さんのエッセイにはユーモア×シリアスのコントラストがあって、読み手は感情をずっと動かされる。読み物だってエンターテイメントの一種。飽きない文章を書けるようになりたいです。

③最果タヒさん

画像9

エッセイ『「好き」の因数分解』

とにかく言葉の使い方が上手い。美しい文章。あと、抽象的な言葉で書かれているので、「読む人がどう思うか」を考えられる余白を持たせている。素人な私は、「如何に分かりやすくか」でしか書く人としての自信を持てないので(ありがたいことに私が書く文章は「わかりやすい」と言ってもらえるけど)、最果さんの境地までいけるようになりたいなと思う。何年かかるかしら。

この本では、最果さんの48の好きをなぜ好きなのか、深掘りして語るエッセイ。最果さんとその物の経験、その時感じたことが五感をフルに使って描かれている。言語化力に感動するばかりです。


言葉って何だろう


『わたしの心のなか』(児童文学 シャロン・M・ドレイパー著)

画像10


何故買ったのかよく思い出せないけど、確か帯のフレーズから衝撃を受けて購入。しかし2年ぐらい前から積ん読となってしまっていた1冊。生まれつき言葉を話すことができない障害を持ったメロディという女の子の話で、たくさんの考えや想いが募っていくのに伝えることができない葛藤を描いている。他の子ども達よりも頭が良く勉強ができることもあって、もどかしいと感じることがしばしば(でもすごく強い女の子)。思うように伝えられないというのは障害あるなしに関わらず、悩む人はいるんじゃないかな。言葉を伝えられるからこそ広がる可能性を知ると、私も言語化力を高めたり、それをきちんと人に伝えていきたいなと思います。


本の蓄積を糧に2021年、無意識に行動として表れるように


いろんな本との出会いがあった1年。2020年の読書は、自分の価値観として蓄積されていく感覚がものすごくあった。「本は、人をつくる」と実感できた1年でした。

冒頭でも言った「もう知ってる」が増えてきたけれど、2021年は「どう読み取るか」をもっと意識したい。さらには2021年も、この先も、自分をつくりあげていきたい。本を読んで、言葉に落とし込んで、心に染みついて、無意識に行動にうつす。

それこそが、読書の価値なんだなぁと思えた1年でした。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?