アメリカ大統領選挙(スーパー・チューズデー)

スーパー・チューズデーというのは、アメリカ大統領選において『運命の分かれ道』ともいえる重要な壱日です

ところで、アメリカ大統領選挙ってニュースとかでよく聞くけど、「なんかずーっとやってるなぁ」って感じがしませんか?

話題が出始めてからちょっと気になっても、難しそうだし今更な感じで「もういいやっ」って断念した人はきっと多いはず

ずーっとやってるように思うのはたぶん

・前半の盛り上がり(スーパーチューズデー→党公認候補擁立)と後半の盛り上がり(選挙戦→本選挙)の違いがよく分からない

・しかも長い

・途中の期間で動きのない時間が長い

・ってゆーか、何回選挙やってるの?

・知らない人が出てきたと思ったら急にいなくなる

・そして、また違う誰かと誰かが戦ってる

みたいなことが理由ではないかと思います

でも、実はやってることは単純で(やり方が複雑なだけ)

・前半:各政党内の公認候補者を選ぶ
・後半:各政党の公認候補者どうしが対決する

ということだけで、どちらも全米規模でやるので分かりづらくなっているだけなのです

慣れない日本人にとっては、本選挙までの手順の多さやややこしさがネックになっているのでしょう

そんな大統領選挙のおおまかな流れはこんな感じです


(1)候補者の立候補
(各政党内で候補者が立候補を表明)

(2)予備選挙と党員集会(2~6月頃)
(各政党内で州ごとに支持する候補者を決める)
〇スーパー・チューズデー
 ↑コレがまさに今日

(3)全国党大会(7~8月頃)
(各政党の公認大統領候補者を決める)

(4)選挙戦(9~10月頃)
(各政党の大統領候補者どうしによる各地での
ディベートやテレビでの議論など)

(5)本選挙(11月の第1火曜日)
(各州の有権者が大統領候補に投票して
各州の選挙人を選出する)

(6)選挙人投票(12月の第2月曜日)
(選挙人が一斉に投票)

(7)議会の承認(翌年1月)

(1)~(3)までは、各党内での大統領候補者選びです

アメリカにはたくさんの政党がありますが、1852年に就任した第14代大統領「フランクリン・ピアース」以降「民主党」と「共和党」の二大政党のいずれかからしか大統領は当選していません

ちなみにこの人の先代、第13代大統領「ミラード・フィルモア」という人がペリーを日本に派遣した人です

※このあたりの年代の人はみんな、現代の歴史家の間では相当評価が低いらしいです(諸説あります ちなみに最下位はトランプさんだそうな)

そして理由はいろいろありますが、第三政党や独立候補の全州での立候補は困難であり、台頭していくのは難しいというのが実態です(前回選挙ではバイデンさん、トランプさん以外では1人だけ全州立候補できた人がいるぐらいです)

※大きくな理由としては、単純に資金力&知名度の問題と選挙制度の都合だそうです

※二大政党以外の立候補者は州ごとに一定数の有権者の署名が必要だったりします

それではココから、更に詳細に解説しますね



★大統領選の流れ

(1)候補者の立候補(だいたいが前の年のうち)
候補者は大統領選に出馬する意向を表明して、(一般的に)メディアの前や公共の場で立候補宣言を行います

ちなみに今回の選挙でいうと、2022年の11月にトランプ氏がいち早く立候補を表明しているので、現在も裁判中の同氏は足掛け2年ぐらい大統領選をやってることになりますね

立候補の資格は「35歳以上」「アメリカで生まれたアメリカ合衆国市民である(両親共にアメリカ国籍なら海外で生まれていても可)」「14年以上アメリカに住んでいる」というのが条件です
2020年の選挙の際の立候補者数は1,214人でした

大統領選挙の選挙権は「18歳以上のアメリカ国籍保有者のうち、選挙人登録をした者」です。選挙人登録というのは、なんか登録するんです(コレしないで投票すると刑法犯罪になります)

だから我々には見守るしかないのです

(2)予備選挙と党員集会(2~6月頃)
簡単にいうと「(3)全国党大会」で党の公認大統領候補を決めるための党内投票をする代議員(デリゲートといいます)を選ぶイベントです

二大政党では党が公認する大統領候補を選出するために予備選挙か党員集会を開催して、各州ごとに支持する大統領候補者を選定します。今、ちょうど各州でこのあたりのイベントが開催され始めていますね

ちなみに、ややこしくなるのでココでは割愛しますが、ノーマル・デリゲードに対してチート権限を持ったスーパー・デリゲートというものも存在します

①予備選挙
特定の大統領立候補者への指示を宣言している各州の党員に有権者が投票して、一般党員の代理人となるデリゲートを決める選挙のこと

②党員集会
政党が党員や支持者を集めて党の指名候補者を選出するイベントなどのこと

地域ごとに地元の党員や支持者が一堂に会して議論したり、挙手や投票をしながらどの大統領候補者を支持するかを決め、その候補者を支持する党員の中からデリゲートを選出します

※大統領候補は、自分が党からの指名を受けそうだなって思ったこのタイミングぐらいで、自分とは全然違うタイプの人の中から副大統領候補を決めます

※一般的には予備選挙が採用されることが多く、党員集会は主に一部の州でだけおこなわれます

※予備選挙・党員集会が集中して開催される3月第2火曜日(第2週目の火曜日になることもある)、正に今日その日のことを『スーパー・チューズデー』といいます

※どうでもいい話ですが何故火曜日に行うのかというと、月曜日を選挙の日にしちゃうと投票所の遠くに住む人たちは日曜日から移動しないといけなくなるからです(昔の話です)。みんな日曜日は休んで、家族と過ごしたいのです

さて、その日に集中して開催されるということは、大統領候補にとっては自分のことを支持してくれる大量の党員を確保できる絶好の機会になります

したがって、スーパー・チューズデーというのは大統領選に向けた今後の戦略的にムチャクチャ大切な日になります

(例えば1992年の大統領選で、それまで負け続きだったクリントン候補がスーパー・チューズデーに行われた予備選挙で圧勝したところから大逆転して、そのまま大統領になりました)

(3)全国党大会(7~8月頃)
主要政党が各党の公認する大統領・副大統領候補を正式に指名するための集会です

「(2)予備選挙と党員集会」で選出された各州のデリゲートが集まって議論や投票を行って大統領候補を決めます

※予備選挙や党員集会で勝負が決まりかけているときは、主要候補者以外の陣営は党大会前にあきらめたりすることもあります。そのときの状況次第で党大会前に早期に決まっちゃう場合もあるんです

(4)選挙戦(9~10月頃)
有権者を惹きつけるために、大統領候補は数回にわたってテレビ討論をおこない、候補者同士が政策や主張を訴え合ったりしながら全国的・州ごとの選挙戦を展開します。ちなみに後で出てくる選挙人制度があるせいで、候補者は人口の少ない州にも頑張って訪問しないといけません

(5)本選挙(11月の第1火曜日)
有権者が各州で大統領候補に投票します。このとき、投票された票が直接大統領の選出に関わるわけではなく、投票結果は州ごとに集計され、結果に応じて大統領候補がその州の「選挙人」を獲得します

選挙人というのは、各州の議会の構成に基づいて(というか人口に応じて)州ごとに数が決められた代表者のことで、本選挙の結果に応じて各政党に振り分けられます(多くの州では勝者側が総取りだったりする)。この選挙人というのは自分の党の大統領候補者に投票することを誓った人で、党から指名や投票で選ばれます。

選挙人は全米で538人いるので、大統領に選ばれるためには「(6)選挙人投票」で270人以上の選挙人を獲得する必要があります。なので、人口の多い州で勝った候補がドンっと有利になります(たとえば、カリフォルニア州は上院・下院合わせて55人います)

(6)選挙人投票(12月の第2月曜日)
各州の選挙人が大統領および副大統領に対して正式な投票を行います。選挙人は通常、その州での一般選挙の結果に従って指名された候補者に投票します。各州の選挙人投票の結果が確定した後、合衆国議会で開票されて正式に大統領および副大統領が選出されます

ちなみに、獲得した選挙人の数で大統領が決まるので、実質的には本選挙の結果をもって決まってるみたいなもんです。あと、法律では制約されていませんが、選挙人が自分の党の候補者以外に投票したりすると罰せられる州もあったりします(なにより気まずいです)

(7)議会の承認
選挙人が投票した結果は1月に合衆国議会で確認されます。新しい大統領と副大統領は1月20日に就任します

冒頭に書いた「NARUTOを読んでて閃いた」理由が知りたい方は、NARUTOを読んでみてください。秒で理由がわかると思います

ちなみに、アメリカを象徴するかのような歴代大統領の彫刻が彫られた写真の岩山は「ラッシュモア山」という名前で、彫像は左から順番にジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルト、エイブラハム・リンカーンです

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?