やぎ

私が初めてステージで歌ったのは5歳の時。
当時なぜか母は私をSAB児童劇団というところに所属させていた。
記憶はうっすらなんだけれどオーディションを受けにいったときのことは
少し憶えていて、とにかく待っている時間がいやだったなあ。
これは、SABホールでの発表会かな。


歌っているのが私で「やぎさんゆうびん」を歌った。
「しろやぎさんからお手紙ついた くろやぎさんたらよまずにたべた
しーかたがないのでお手紙かーいたさっ きの手紙のごようじなあに」
「くろやぎさんからお手紙ついた しろやぎさんたらよまずにたべた
しーかたがないのでお手紙かーいたさっ きの手紙のごようじなあに」

作詞まどみちお 作曲團伊玖磨 


黄金のコンビ様が書いた名曲なんですけど
5歳の私はいつも歌いながらいろんな疑問が頭の中をめぐり
止まらなくなってしまうのです。

さっきの「さっ」と「き」が離れているのは
そこで息継ぎが入るからです。
だからまず、歌の意味がわからない。
お手紙かーいたさっ! 「きの手紙」 って何?

しろやぎさんとくろやぎさんは動物なのに
手紙がかけるの?
郵便屋さんくるの?
手紙食べたのに誰からきたかわかるの?
やぎさんはずっとずっと手紙ばっかり書いているの?
手紙を食べてお腹が痛くならないの?

歌いながらこういうことが頭の中でぐるぐるぐるぐる
映像もぐるぐるぐるぐる
だんだんと落ち着かなくなってくるんですよ。

そして、この歌が最も私に興味をそそらせたのは
「紙は食べることができるんだ!!」ということ。
そして私はティッシュペーパーを口に頬張り
食べてみたのでした。
「おいしくないなー」

それ以来、紙を食べることはありませんでしたが
いまだに、この歌を聴くと
あのヤギたちはどうしたんだろう?と
無限ループに入るのでした。

おしまい。


大変大変感謝申し上げます