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高齢者に席を譲ってはいけない?


先日会社の人が
「歳をとって見た目は変わったけど正直高校生くらいから中身はあまり変わっていない気がする」
と言っていた。

その言葉に数人の人が
「わかるわかる」
「俺もそうだわ」
と賛同していた。

昔は、中年になったら自動的に思考もその歳なりになるものだと思っていた。
40代の人なんてみんなしっかりしていて大人であるのが当たり前だと。
「大人」という、若い自分とは違う人種くらいに思っていた。
言葉も通じないんじゃないかというくらい。

いざ自分がそうなってみると、本当に何も変わらない。
実際は変わっているのかも知れないけど、昔に比べてしっかりするどころかメンタルは病み病みになるし、何だったら若い頃の方が悪く言えば向こう見ずではあったけどその分やる気もあったし、大人だったような気さえする。

先日母が
「今日ショックなことがあった。何だと思う?」
と聞いてきたので、何かと思えば電車で初めて席を譲られてしまったと言う。

そんな母は80代。
「この前病院で先生に歳言ったら全然見えないって、60代くらいと思ってましたって言われた」と大はしゃぎするような人。
身内贔屓もあるかも知れないけど、確かに若く見える方だとは思う。
それでも80代。席を譲られても不思議ではないはずだけど

「どんな人が席を譲ってくれたの?」と聞くと
「高校生の男の子たちだったわ」
と言うので、
「それは今日たまたま席を譲りましょうって学校で言われたんじゃないの?
それに高校生から見たらおばさん程度でもおばあさんに見えるもんよ」
と言っておいたが
「白髪染めに失敗したからおばあさんに見えたのかも」
と何とか自分を納得させようと頑張るので
「そうじゃない?白髪だとどんなに若い人でも年寄りに見えるよ。早く染め直したら?」と返した。

今日母に会ったら、白髪は綺麗に真っ黒に染められていた。

高校生の男の子たちは親切で本当にいい子だと思うしもちろん何も悪くない。
でも、先日母の話を聞いてから私は電車で席を譲りたい時は黙って立ってドアの方に歩くようにしている。

友人の母も同じようなタイプらしく、足が悪くなってから家から一歩も出ないらしい。
「ずっと家にいると筋力も落ちるし近所の散歩とかも無理なの?」
と聞くと、
「絶対に近所の人に足を引きずっているところを見られたくないらしい」
「歩行器みたいなのを買ってあげたら?」
「買ったよ!でも絶対に使わない。こんなの使って歩いてると歳取ったと思われるって」
近所の人なら大体の年齢くらいわかってそうなものだけど。。

「それに、最近白内障の手術を受けたんだけど、目がよく見えるようになっちゃって」
と言うので
「よかったじゃない!」
と言うと、
「それがそうでもないらしい。鏡見て、こんなに皺があると思わなかった、もうちょっとマシだと思ってたって落ち込んでる」
友人の母も確か昭和10年代生まれの80代。

80代になってもこんなもの
「私はもうおばあさんだから」
と諦めて開き直った方がいいのか、心が若い方がいいのか私にはわからない。

そんな私も以前美容院で表紙に
「美しい50代の何ちゃらかんちゃら」
とデカデカと書かれた雑誌を目の前に置かれて悲しくなったことがある。
その空気に気付いたのかどうか、若いアシスタントの女性が
「雑誌、それでよかったですか?」
と聞いてくれた
気を使わせてごめんなさい
「大丈夫です」
と言っておいたが、本当は嫌だった。

こんな時、
「嫌だーもっと若い雑誌持ってきてよー」
なんて笑いながら言える方が自分も楽だし相手も楽だったに違いないけど。

その後、美容院の予約アプリの自分の年齢を書く欄を実年齢からそっと100歳に変えておいた。

何がしたいのやら。
女性はめんどくさいんです。




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