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男性器の機種変更6 少年から少女へ ミクの場合 【第2章】一日女装して過ごす

午前の授業が終わって給食を食べ終え、昼休みになった。
いつもならみんな外に出て遊ぶのだが、今日は誰も出ようとしない。
特に男子は全員教室内にいるようだ。
いくら校内とは言え、やっぱり出歩くのは恥ずかしいみたい。
他の学年の生徒に見られちゃうし。

トイレに行くと、スカート姿の女の子が立っておしっこをしてる。
男子だから当たり前だけれど、異様な光景に見えた。
教室に戻って席に座っていると、女子がやたらと話しかけて来る。
いつもは一人で読書とかして過ごすのだが、今日は読書なんてしていられないほどだ。

特に何を話すわけじゃないけど、入れ代わり立ち代わり話しかけてくる。
どうしたんだろう?
そんなこと考えていたら、お昼休みが終了した。

そして午後の授業も終わり、ホームルームの時間になった。
これでやっと、ワンピースから開放される。
みんなもそう思ったのか、全員が走って更衣室に向かい、元の服に着替えた。

僕も着替えようとしたのだけれど、ワンピースの背中のホックが見えないから外せない。
そう言えば朝着替えて教室に戻った時、後ろの席の女子が気付いてホックを留めてくれたんだっけ。
どうしよう・・・
焦れば焦るほど外せなくなる。

誰かに外してもらうしか無いなと思って、僕は一度教室へ戻った。
後ろの席の女子に外してと話しかけようとした時、先生が入ってきてホームルームが始まってしまった。
仕方なく僕はそのまま席につく。

「皆さん、今日一日異性の服装で過ごした感想はどうですか?」
そんな先生からの質問に対し、窓側の生徒から順番に感想を答えて行った。
全員が感想を述べたのだが、女子はズボンを履く機会が多いので、あまり感想はなかったが、一方で男子は初めて履いたスカートのせいか、『いつもスカートがめくれないよう意識しなきゃならなくて大変だ』とか、『もうスカートめくりは止めます』的な意見が多かった。

「はい、みなさん大変勉強になったみたいね。特に男子は女子の大変さがわかったでしょ?明日から優しく接してあげてね。」
「わかりました。」

これで終わりかと思ったが、最後に先生はこんな質問をした。
「それでは最後に、自分のこと以外に全体を通して何か気付いたことはありますか?」
するとある女子が手を上げて、こう発言したのだ。
「先生、ミクちゃんが本当に可愛くて、びっくりしちゃいました!」
突然名前が出て、僕はびっくりした。

するとこの発言を機に、みんなが発言し出した。
「確かに可愛いいよね、服装に顔が負けてないし。」
「ミクちゃんだけ本当の女の子に見える。」
「そうだよな、朝ミクが教室入ってきた時、みんなびっくりして言葉無くしたし。」
「やっと名前に服装が追いついたと思います!」

折しも世間は男の娘ブームで、女装の似合う男の子の人気が高く、その影響もあってか私の女装はめちゃくちゃ好評で物凄く盛り上がってしまった。
遂には「ミクだけずっとこのままでも良いと思います!」とか「こんなに似合うのに、男の子に戻すのはかわいそうだと思います!」といった意見まで出てしまう。

そしてそれを聞いていた先生が口を開いた。
「まぁ落ち着いて。みんなの意見は分かったけど、一番大事なのはヨシヒサ君自身の意見だ。ヨシヒサ君はどうだ?」
先生からいきなり振られて、僕は動揺してしまった。

普段全く目立たない僕が、こんなに注目を浴びている。
しかもこんな褒められたのは初めてなので、嬉しい。
まぁ褒められたのかどうかは微妙だけど。

でもそれとこれとは話が別。
ずっと女の子でいるなんて、できる訳がない。
そう思って顔を上げたところ、みんなが僕を見ていることがわかった。
僕は注目されることに慣れていないので、こんなに見られたら何も言えなくなってしまう。
だからこの時も「いや、その、」とモゴモゴするばかりで、はっきりとした意思表示ができずにいた。

するとそれを見て、一人の女子が手を上げて発言をした。
「先生、昼休みにミクと話したんですが、ミクはずっとこのままでいたいって言ってました。今でも女の子のままなのが、その証拠です!」
「ヨシヒサ君本当か?女の子の格好が随分気に入ったみたいだな。だったらずっと女子で良いぞ!」
「いやこれは・・・」

僕は一人じゃホックが外せなくてと説明しようとしたけれど、みんなの視線に耐えられず黙ってしまった。
「じゃあ先生、ミクだけ明日からも女の子で良いんですね?」
「別に構いませんよ、何年か前にも同じような生徒がいたので。」

言われてみれば僕が1年生の時、4年生の先輩がこの日を境に女の子として登校するようになって、話題になったことを思い出した。
でもまさか僕もそうなるなんて・・・

そんなこと言われても、僕は女の子の服なんて一枚も持っていない。
そう思った僕は、声を振り絞ってそれを訴えた。
すると女子から、こんな発言が出る。
「今日男子が着た服がたくさんあるから、それを着回しすれば良くない?」」
「いいねーそれ。そうしよう。」
「そうしようそうしよう!」
こんな感じで勝手に話がまとまり、僕だけ明日からも女の子の服装で良いとなってしまった。
どうしよう、この時僕は本気でそう思っていた。

女の子の一人が、昼休みに僕がずっとこのままでも良いって言ってましたと発言したけれど、実際のところは似合うとか褒められて気分が良くなっちゃって、「ミクほんとに似合うから、ずっとこのままでいなよ!」とか言われて、困って「あははは」って苦笑いしただけ。
それがいつの間にか「ずっとこのままでいたい」ってことになっている。

こんなことなら、はっきり意思表示すれば良かった。
そう思って後悔したけれど、今さらどうすることもできない。
それに、こんなことになるとは思っていなかったし。
こんな感じでホームルームが終わり、下校となった。

すると女子達が寄ってきて、「ミク良かったね!」とか「仲良くしよう!」とか声をかけてくる。
「ねーミク、そのままの格好で一緒に帰ろうよ!」
そう言ってくれた女子もいて、いつも一人で帰る僕は思わず嬉しくなり、「うん!」と言いそうになったが、流石にこの格好のままでは帰れない。

僕は元の服に着替えて帰りたいと話すと、その女子は「なんだ、つまんない。」と言いながら、ホックを外してくれた。
僕は更衣室で元の服に着替えて教室に戻ると、もう誰もいない。
男の子の僕には誰も興味ないんだ。
そう思いながら、僕はいつものように一人で帰宅した。

家につくと、早速お母さんが寄ってきた。
「おかえり、あれ?女の子じゃないんだ、残念。」
「当たり前だろ!」
「ところでどうだった?」
「うん、女の子は大変ってことが良くわかったよ。」
「そしたらお母さんにも優しくしなさいね。」
「考えておく。」
こんな会話をしたのだが、まさか僕だけまた女の子になるだなんて、とても言えない。
本当に明日からどうしよう?
ベッドに入ってそんなことを考えていたら、僕はそのまま眠ってしまった。


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