全日本大学駅伝

駒大の圧勝。

レースを振り替えても感想はこの一言に尽きる。

ここまで駒大がすごいとはと驚きつつ、改めて駒大の選手を考えるとこの結果にならざるを得ないと納得してしまう。

驚きの原因は、他の大学との差。優勝するだろうと見ていた駒大はまさかこれほど大差をつけて勝つことは想定外だったけれど、それより勝ち方がとても印象に残っている。最初から最後まで一度も先頭を譲ることなく圧巻の強さを見せつけての完全優勝に凄まじいものを感じた。昨年の駒大が歴代最強などと言われるけれど、今年の駒大は昨年のチームをはるかに超えている。

強さの原因とはなんだろうか。昨年はなんせ田沢選手がいたことは大きな安心材料だった。他にも強い選手もいたけれど、絶対のエースである田沢選手中心のチームだったことは間違いない。しかし、今年のチームは、強い選手がごろごろいる中でも絶対的なエースはいないだろう。その位置づけされている鈴木芽吹選手でも、走力的にはそのくらいの力があるだろうなと見ていながら、そのくらいのパフォーマンスはまだ出ていない。言い方を変えると、周りの選手が強く過ぎて目立たないということでもある。圧倒的に強い一人というより、大学長距離界のトップに立ってもおかしくないような選手が複数いる、というのが今年の駒大。

その強い駒大でも、今年の駅伝は駒大と中央大の太刀打ちになると思っていた。ここまで出雲駅伝と全日本の結果を見るとまったく歯が立たないと言わざるを得ない。吉居兄弟をはじめ13分20秒前半のタイムを持っている選手が3人いるチームは、普通に考えればえぐいはず。でも、よく考えたら駒大に比べて選手層の部分に差が出ているのかもしれない。

それより、中央大に関して気になっていることは、今までの2つの駅伝でまったく優勝争いに絡めなかったことだ。力的には駒大に劣るにしても、他の大学に比べて勝てる力が十分にあり2位を取っているはずだ。結果的にそれどころか、大きく離れている。しかも、離されるところは、3本柱のエース級の選手が走る区間だ。吉居選手のお兄さん以外に夏場に吉居選手の弟と中野選手が夏に結果を残しているから駅伝で走れない理由が思い当たらない。出雲では、合わせていないなぁと思ったけれど、続いての全日本でも合わせていないことは考えにくい。あくまで推測だが、来年のパリオリンピックの選考に向けて12月頭に開催される10000m選考会を目標にして準備する過程で駅伝に合わせず練習の一環として走っている可能性がある。選考会に出場することすら分からないのにこのことを言うのは良くないが、駅伝の不発の説明としてこれしか思いつかない。

駒大に話を戻す。強さの原因が強い選手が在籍していることだけではない。練習もなかなかすごいものらしい。先日の圧勝を受けて実業団にも勝つと各方面のメディアで言われている。実際にそうなのかはさておき、事実として実業団なみの練習をしているそうだ。どの大学もそうだが、基本的に練習では能力に応じてグループ分けしている。駒沢は「S]「A]「B]「C]でグループ分けしているが、「S]は田沢選手と一緒に練習しているエリート選手のグループだ。このグループは直接大八木総監督の指導を受けている。普通なら駅伝の区間賞などを目標にするだろうけれど、着眼しているところは日本の大学陸上界ではなく、世界だ。つまり、駅伝で区間賞をとって当たり前だ。その下の「A]グループは、俗にいう2流選手のレベルだが、駒大はあまりにも強すぎてこの「2流」選手が大学陸上界のトップを目指している。駅伝の枠を勝ち取るために大学長距離界のトップでなないといけない。前代未聞の強さは、まさに「箱根から世界へ」を物語っている。100回大会にあたってこれほどふさわしいことはない。


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