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車椅子で役者をやるもの。(seen18 意地とプライド)

めまぐるしく芝居の時計が廻る。

「演劇を車椅子の俺がやる」

それは確かに少しずつだが、確かに近づいてきてる実感がこの頃から仕出した。とはいえ、まだワークショップをやり始めたり、その世界の方と話しが出来たりレベル。イベント司会の仕事を頂いたりもしたが芝居には繋がらず。年齢的な焦りは正直あった。

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「年齢なんて関係ない」

そんな言葉は嘘だ。何かが見えてる人、やる事が決まってる奴がいう言葉だ。俺はこの時、48歳。強がってはいたが周りを見渡せば歳ばかりが上なだけ。早く。早く。早く。本当に舞台をやる事、役者として立てるのか?いつ?いつなんだろう?愚直にやればいつかと思って頑張る自分と現実との時間の乖離に諦めそうになる事もこの頃にはあった。でも踏み留まれたのは紛れもなくこのままで終われない、今、歩みを止めたら。止めたらきっともう無理だという思いと現実からだった。それから宮地大介に対する意地と自分自身へのささやかなプライド。プライドだけは絶対にもう無くしたくなかった。

そんな時。「あの人」から連絡があった。

「4月の演劇ナイト、宜しくね。グループライン作ったからスケジュール宜しく」

来た。

マジか。マジか。マジか。

違う意味で頭が真っ白になった。正直、この連絡があるまでは口約束。そう思っていた。だってさ、あり得ないんだ。こんな事は。俺はいつも「自分が逆の立場だったら」と考える癖がある。自分が演劇の主催者だったら多分してない、それは出来ない約束。それをこの人は覆した。この時の気持ちは今でも忘れない。普通じゃないんだよ。だから自分でやるつもりだった。やるしかないと考えていた。誰かに声をかけてもらえるなんて思ってなかった。大ちゃんと再会してから。ワークショップに参加してから。自分でラジオやり始めてから。ワークショップをスタートしてから。全ては自分でやるしかないと考えての行動だった。それが出演のオファー。あり得ない事が起こった。泣きそうにはならなかった。ただただこの現実が嬉しくて嬉しくて。それしか覚えてない。ただただ嬉しかったのだ。ただただこの人に声をかけなきゃよかったと思われないように。

「ありがとうございます。やります‼️宜しくお願い致します‼️」

それは2019年になるほんの数日前の事だった。そして2019年になった。

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いよいよ怒涛の1年が始まるのだ。


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