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秩序の敏感期を逃したと思ったらどうしたらいいの?


質問

2歳9ヶ月と9ヶ月の二児のママであるフォロワーさんから、こんな質問を頂きました。

「『マンガ ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』を読ませていただきました。
とても楽しくて、すぐに読み終わってしまい、もっとモンテッソーリ教育を知りたいと思ったらこちらにたどり着きました。

本を読み疑問に思ったことなのですが‥
【秩序を乱されずに育った子は安定した人格を築ける】
と書いてありますが、我が家の子供は2歳差です。

ちょうど敏感期(※0-6歳の子どもの、あることがらを身に着けるためにそれに特別敏感になる時期。2-3歳頃にピークなのが秩序の敏感期。)のはじまりの2歳から、今までの秩序を乱す出来事が他の子よりもたくさんあったと思います。そして、2歳半の頃に引っ越しもしました。まったく別の環境に家を建て、引っ越してしまいました。今まで仲の良かったお友達とも離れ離れになりました。

案の定子供は今すごく不安定で、いやいやだけでなく、ママへの甘えや執着も最高潮、そして他人(お友達やお友達のママ)と仲良くすることを嫌がります。すごく攻撃的です。

こうなってしまった場合、私たち親はどのように息子に接してあげることで
秩序を守ってあげられるのでしょう。

また、攻撃的なことをしたり言ったりするときに、私はどのように対応したら良いかわからず、とても疲れてしまいました。」

答え

秩序→今からであっても、できるだけ毎日同じように、外的な秩序をつくりましょう。

(例)

朝の着替えの流れを同じにする、食事の準備を同じにして、手伝ってもらう、部屋の配置を固定する、お部屋の整理整頓 など より丁寧に心がけてあげてください。

攻撃的→心と体のバランスを整えるべく、ママやパパと一緒に楽しんでお手伝いをできるように考える。

(例)

●一緒に料理:ゆでた野菜を切る、調味料をいれる、まぜる、ゆでたまごの皮をむく。

●一緒の掃除:机を拭く、鏡を拭く、食器を洗う 等

解説

今までの秩序を乱す出来事が他の子よりもたくさんあったと感じていらっしゃるようですが、今からでもまったく遅くありません!今日から何かを変えてみようと思ったその日から、スタートすることが大切です。

モンテッソーリ自身は少し怖いことを言っていました。例えば、敏感期を逃した子どもは最終バスに乗り遅れるようなものだと。それくらい、敏感期はかけがえのない貴重なものだと大人に伝えるためにそういったかもしれません。でも、だからと言ってこの時期に敏感期を踏みにじるようなことをしたからもう取返しが付かないこと!と悲観することはありません。

ベストタイミングを逃せば、少々意識的に努力をする必要が出て来るかと思いますが、いつだって思った時から、その日から何かを変えれば必ず状況は変わっていきます!

秩序とは?

・いつもある場所に置く、必ずあった所に戻す(場所)

・いつもの順序にする(順序)

・持ち主をはっきりさせる(所有物)

・いつものやり方で行う(習慣)

こんなことを大事にして、一つ一つ丁寧に(ママがくたくたに疲れずできる範囲で)心がけていったらいいと思います。

引っ越しをしたらいけないの?

秩序の敏感期にいる時に、引っ越しをするにはどうしたらいいかという質問はよくききます。

事前におすすめしているのは、例えば引っ越す話を前もって何度かしておくとか、カレンダーで引越す日を知らせるとか、引っ越したメリットを話しておくとか(公園が近いんだよとか、広くなるんだよ、とか) 先を見通せるように話をしておくこと。さらに、実際の引っ越しも当日や荷造り荷ほどきなどを少し手伝ってもらうなどして、環境が変わっていくことを一緒に一員として加わらせてあげること。すると自分が知らないうちに急に環境が激変した、というよりもショックがずっと少ないと思います。また、引っ越し後に落ち着かなくても、やがて必ず慣れていくので大丈夫です。

引っ越し後の対処法

引っ越し後に子どもが不安になっていてるようなら、環境とつないであげる必要があります。

ここは、みんなで寝るところだよ。ここは着替えが入っている所だよ。などと、改めて丁寧に紹介してあげるといいと思います。今一体どこにいるのか、それを把握するために周辺環境をお散歩して外から見たり、近くを探索するのもよいでしょう。

また、前のところがよかった!と泣くようなら、「そうだね、前の所もよかったよね」と受け止めつつも、「でもここも、こんな素敵なところがあるんだよ~」と大人がニコニコして、(例えば近くに公園がある、日当たりが良い、広くなった など)肯定的なことを繰り返して伝えてあげるのも大切だと思います。

しばらく時間がかかるかもしれませんが、必ず慣れていくので安心してください。大人が安心していることで、子どもも安心します。

また、引っ越し後は段ボールがまだ完全に荷解きできていなかったりと片づけが大変だと思いますが、できるだけ、前の状況に近いように外的な秩序を整えて整頓してあげることも、心の安定にプラスになります。

今まで仲の良かったお友達とも離れ離れ

お友達については、実はママが思うほどのショックはないと思います。特定の友達をものすごく重要視するのは実は学童期以降です。それまで、幼児期に大事なのは友達よりもむしろ家族です。

勿論、一緒に楽しく遊べる新しいお友達が見つかればそれはとても新しい環境に順応するのに役に立ちますので、ママパパに余裕ができた頃、公園や、近くの公民館や児童館のイベントなどに少しづつお出かけしたりしてみてはいかがでしょうか?(勿論、幼稚園などにいくようになれば自然にお友達ができますね。)

攻撃的になる

攻撃的になるというのは、不安のあらわれです。爆発的なエネルギーを持っている時期ですが、心と体のバランスが分離してどう表現していいのかわからなくなっているのだということが原因の一つだと思います。

そこでおすすめなのはその二つのエネルギーを統合してあげるべく、「手や体を使って」「くりかえして集中できて」「なおかつ、誰かに感謝されること」をやることです。

お手伝い・・・なかでも食事に関する事は最高の活動だと思います。一人でではなくママやパパと一緒に、やりたい時期なので、「パンをトースターにいれてね」「これをかきませてね」「これをバターナイフで切ってね」「これをまるめてくれる?」何でも参加させてあげてそしてキーワードは「ありがとう!すごく助かったよ!」という言葉と笑顔です。

料理でなくても構いません。パパと一緒に車を洗うでも何でもいいので、身体を使って集中できるような何かを、一緒に楽しくやっているうちに、少し変わってくるはずです。うまくやれない部分は難易度を落として、させてあげましょう。(例 雑巾を使うのではなく小さいスポンジを渡す、調味料はあらかじめ一回分を小さな容器に入れて全部入れていいようにしてから渡すなど)

攻撃された時の対処法

不安になっているので、大人が感情的になって厳しく怒ったりするのは、あまり効果がなく、かえって逆効果になる場合もあると思います。暴力をふるったら、「痛いよ」「悲しいよ」「叩かないよ」と、(怒りなどの感情を押さえつつ)でもしっかりと伝えましょう。その上で、上にあげたような、子どもの気分がパッと変わって、そして集中できるようなことを探してあげられるといいと思います。

繰り返しますが、「手や体を使って」「集中できて」「なおかつ、誰かに感謝されること」が、鍵です。いくら、テレビやタブレットの画面を見ていても、子どものエネルギーは統合されません。実際に手や体を動かして繰り返せることが大事です。

今あるお子さんの姿は、エネルギーが乱れていることによる、仮の姿です。それらが統合されることで、子どもの心はすっきりして、必ず本来の善い姿が現れて来ると思います。

おすすめの本

最後に、おすすめの本を紹介します。

①「幼児期には2度チャンスがある」(相良敦子 著、講談社)

1999年に、モンテッソーリ教育の第一人者、相良敦子先生によって書かれた本です。タイトルの通り、0-3歳のチャンス、3-6歳のチャンスをどう生かして子育てをしたらいいのかをわかりやすく書いてある本です。

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②「親子が輝く モンテッソーリの言葉 21の子育てメッセージ」(相良敦子著、河出書房)

相良敦子先生が、最後に出された著書です。それまでに経験された様々なことをもとに内容をそぎ落として、本当に伝えたいことをわかりやすく書いて下さったのだと思います。ちなみに、「マンガ ママひとりでするのを手伝ってね!」と同じ編集者さんが担当されています。幼児期にモンテッソーリ教育を知らずに、敏感期を逃してしまったママの体験談なども書かれていて、多くのママの救いとなる本です。

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いかがでしたでしょうか?何か参考になる部分があれば幸いです。

最後に私がこれまで、モンテッソーリポータルサイトでインタビューしてきた中からおすすめの記事をご紹介します。

おすすめの記事①

0-3歳のモンテッソーリ教育のスペシャリストにしたインタビューでも、3歳以下のお子さんに対する接し方のヒントがたくさんあると思います。

「0-3歳の困った行動の原因」(サラ・ブレイディ先生)

おススメの記事②

相良敦子先生の生前のインタビューです。0-3歳の「秩序の大切さ」を語っていらっしゃいます!こちらもあわせてご覧ください。


あべようこ




子育て中のママパパに役立つような情報を書いています。 これからも頑張りますので応援お願い致します!! 保育士、モンテッソーリ教育資格者(0-12歳)、おもちゃコンサルタント、おむつなし育児アドバイザー。