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江川達也『東京大学物語』|絶対に忘れられない漫画が、そこにはある

秀才・村上直樹は、東京大学を目指して猛勉強の日々を過ごしていた。ある日、悪友の佐野に連れられ、テニスの試合を見に行くが、そこで試合にでていた、同学年の水野遥に一目惚れしてしまう。遥に一目惚れしてから一週間。村上は毎朝、遥を待ち伏せすることに。ある日、遥に挨拶をされ、狼狽した村上が返した言葉は、「オレと、つきあってください」だった!突然の告白に、遥は…?

エロいと評判を聞いて、高校生の時に読んだのだが、この漫画はエロさではなくて、もっと別の重い何かを孕んでいて、耐えられなくなって、すぐに読むのを投げ出してしまった。成人して、社会人になって、学生時代を俯瞰して見られるようになって、この作品の面白さを知ることができた。主人公・村上直樹の葛藤が、劣等感が、学生時代の自分の精神とシンクロして、それが凄く気持ち悪かったのだと理解できた。学生の頃は成績が全てで、女がステータスで、その優越感と劣等感に苛まれる様が、強烈に心に刻まれていく。エロさはその先にある。這いずり回る精神が、エロさに打ちのめされていく。

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