いつまでも、夢見る少女じゃいられない。

4月5日、ある作家の方のトークショーに行った。いま私は超絶定時に帰りづらいブラックな職場にいる。あえて空気を読まずに定時に帰り続ける私に更に圧力をかけるための席替えをしたこの日、それでも地獄のような逃げ帰り方で、トークショーの定刻に間に合うように枚方市へ向かった。

小学生の頃から文章を書くことも読むことも好きで、漠然と文章を書いて生きていくんだと思っていた。小学生の頃、『西の魔女が死んだ』という本が好きで、読書感想文を書き、志願して校内放送で読んだ。思い入れが強すぎたし拙い文章だったけれど、放送室から教室までの帰り道、隣のクラスの先生がわざわざ廊下で待っていてくれて、『良かったよ』と褒めてくれたこと、自分の名前が嫌いで、そのことについて文章を書いた時、当時の、大嫌いな担任の教師に(向こうも私のことが嫌いだったとおもう)、『なんか面白い文章だわ』といわれたこと、昔も今も、自分の意見を、公然の面衆で口に出すのはとても苦手だけれど、文章にして誰かに伝えるのは好きだし、それが唯一の自己主張の方法なんだとおもっていた。

だから、私は文章を書いて生きていくのだと、なぜか漠然と、一途に思っていた。

作家の方のトークショーに参加したのはこれが初めてだった。たまたまツイッターで見たお知らせで知った、それは憧れる作家の方の1人のトークショーだった。福岡から大阪に引っ越してきて、せっかく著名な方と実際に会えるイベントがたくさんあるのだから、まず1つ行ってみよう。

その人は、女性向けの官能小説をテーマにした新しい賞でデビューした作家で、その作品には過激な性描写が生々しく多々あって、デビュー作でここまで表現できる人だから少し、派手であけすけな物言いをする人を想像していた。けれど実際にあったその人は、柔らかな物腰で、落ち着いて1つのことを丁寧に話してくれる、あるいみ想像しやすい“普通”の大人の女性だった。『デビュー作があの内容であの賞をとった作品だったし、どの作品にもほぼ生々しい性描写があるからか、実際の作者である私も性に奔放な、あけすけな人間と思われていることがよくあるんです。でも私も人並みの羞恥心がある普通の人間なんですよ。デビュー作を書くときは、やるからには全てを振り切って書かなきゃ!!と奮い立たせて書きました。』

自分を投影して書くだけではダメなのだ、やるからには全てを振り切る!!!その覚悟の気持ちから全てが始まっていることに勇気付けられた。

ここまでが4月の文章。

あれから3ヶ月以上たち、もう7月も10日を過ぎた。文章を書いて生きていきたいとずっとおもっている、1日になんどもふっとよぎる、だけどわたしはそうはなれていない。

来月、私は結婚式を挙げる。

社会人になってからこれまで、1つ1つの目標に向かって、もはやそれ自体を乗り越えることを目標にして、ここまでやってきた。

遠距離恋愛の彼氏に会いに行くこと、遠距離恋愛から結婚に運ぶこと、大阪に引っ越してくること、仕事を見つけること、そして結婚式を挙げること。

こうやって1つ1つ夢を叶えてチェックマークをつけてきたわたしは、来月、この目標を達成したとき、何をを道しるべに生きるのだろう。

渇望するのは、自分の文章で金を稼ぎたい。ということ。

掃いて捨てても捨ててもまだ捨てきらないほど、同じ夢を抱く人はこの世の中にごろごろしているのに。

それでもほしい。

今しかできない。心から思う。今だと思う。誰に笑われても、自分のやりたいことに突き進む。

自分のすきなもの、嫌いなこと、心動かされたこと、憎むこと、新しく知ったこと、気付かされたこと。それら全てを書き記していきたいのだ。

ぬけぬけとこの道へ進んで行こう。




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