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ゆとりのゲーム感想「スイカゲーム」


【はじめに】


いや、自称とはいえゲーマーの私がこんなもんやってどうすんねん、って思ったよ?でもさすがに無視できねぇなってぐらいに話題に上がるんだよこのゲーム。

はじめにはっきり言っちゃうんだけど、本作をプレイする前は、このゲームが日本中で大人気って聞いて、私は愕然としたね。こんな一見しょーもないゲームが日本人にウケてんのかと。仮にも任天堂やカプコンといった世界に名だたるゲームを送り出した日本というゲーム大国の国民が、こんなショボいゲームに夢中なのかと。ヤベーな〜日本終わってるな〜なんて思っちゃってました。私は日本のインディーズゲームの開発レベルは世界の中では低い方だと認識しているのだが、ここまでとは思わなかった。

しかし、そんなことも言ってられなくなった。このゲームをバカにしていた私に衝撃が走ったのは、今年の10月20日。この日は、任天堂が送るおそらく最後の渾身のニンテンドースイッチ用ソフト「スーパーマリオブラザーズワンダー」の発売日だった。

Nintendo Switch用ソフト
「スーパーマリオブラザーズワンダー」

このゲームは6月21日のニンテンドーダイレクトによる発表から世界中で話題になっていたソフトである。およそ10年振りとなる新作の2Dマリオ。マリオの生みの親である宮本茂氏が開発に関わっていないことから「2Dマリオ」の常識や型というのを見つめ直し、崩し、再構成したまさしく新世代のマリオと呼ばれるものだった。発表から発売までに約4ヶ月程の歳月を要したが、ネットの様子なんか見ると、マリオワンダーの話題は常に絶えない状態だったと記憶している。

そんな様子だったので、今作はリリースされるやいなや、圧倒的な売上を誇るだろうと誰もが予想していた。私もそうだ。過去最高に売れたハードによる2Dマリオの渾身の新作。必要なコマは全て揃っている。役満だ。もう誰にも止められない。誰もがそう思っていた。

ただ、蓋を開けてみたらとんでもない結末が待っていた

2023年10月29日のニンテンドーストア

ま、ま、ま、マリオが負けただとぅ!?

これは本当に私のゲーム史でのトップの衝撃だろう。あのマリオが負けるなんて。初週で63万本も売り上げたんだぞ。これだけでもマリオワンダーは凄いのだが、10月29日現在マリオは2位である。いや、ダウンロード版だけの結果やし、ニンテンドーストアにおける「人気」の基準はよく分からないので、完全に負けた訳では無いのだろうが、これは珍事として私の記憶に刻まれた。

さて、もったいぶっていてもしょうがないので紹介しよう。あのマリオを打ち負かしたゲーム、名を「スイカゲーム」という。一通りプレイしてみたので感想を述べよう。

【概要】

Nintendo Switch用ソフト
「スイカゲーム」

「スイカゲーム」は2021年にNintendo Switch用ソフトとしてAladdin Xから発売されたインディーズゲームである。

・・・まずここから違和感があるよな。話題になったのは最近だが、リリースされたのは2021年と2年前だ。よって、直前に告知があったわけでもなく、"新作のゲーム"としてのブーストもかかってないわけだ。

そんでもってこのAladdin Xという会社。申し訳ないが、聞いた事無い。調べてみると、ホームプロジェクターを主に開発・販売している会社でそもそもゲーム会社としてバリバリやっている訳でもないようだ。謎すぎるぞ!

さらに調べてみると、どうやら中国の「合成大西瓜」というゲームが下地となっており、それにアレンジを加えたゲームらしい。といってもそんなゲーム知らんかったからパクリだ!とはならんな。これにキレてる人もいるんだろうか。

プレイ画面

本作の紹介をしよう。本作をジャンルとして分けるとするなら固定画面パズルなのかな、という感じ。「スイカゲーム」と名前にある通り、スイカがメインとなるゲーム内容なのだが、ゲーム性は至ってシンプルだ。

上から果物を落として、カゴに入れていき、同じ果物同士でくっつくという特性を活かしてスイカを作るゲーム

以上である。ストーリーやモードなんかは皆無。インターネットランキングでハイスコアを競うぐらいで、ただメインとなるスイカを作るゲームに興じるだけのゲームだ。インターフェイスも簡素を極めており、音楽はループすらしないという地雷臭がハンパないスマホゲーのような印象を最初に受けた。本当に細かいルールなんか無くて、プレイして5分ぐらいで感覚は掴めるだろう。

この説明だけだとアレなので、説明すると、プレイヤーは雲に乗ってる謎キャラ「ポッピー」を操作して、ランダムに出てくるフルーツをカゴの中に落としていく。最初はスッカラカンのカゴだが、フルーツを落としていってカゴからフルーツが飛びでるぐらいいっぱいになったらゲームオーバーだ。あと、出現するフルーツは決まっていて、サクランボからカキまでが出てくる。

ゲームオーバーの状態

プレイ画面の右下をご覧いただきたい。「シンカの輪」という図が描かれている。この法則通りにフルーツを大きくしていって最終的にスイカを作るのがこのゲームのゴールである。フルーツの大きさは

サクランボ

イチゴ

ブドウ

オレンジ

カキ

リンゴ

ナシ

モモ

パイナップル

メロン

スイカ

の順番に大きくなっていく。

フルーツを大きくする方法は一つ。同じフルーツ同士を繋げるだけだ。サクランボ同士をくっつけるとイチゴになり、そのイチゴにイチゴをくっつけるとブドウになる・・・これを繰り返していってメロンとメロンを繋げたらスイカになってゲームクリアである。

もう一つ、本作のキモとなる要素がある。それは、「物理演算によるフルーツの挙動」である。この要素あっての本作といってもいいぐらいのキーポイントだ。本作はフルーツを落としてもぷよぷよやテトリスのように規則通りに落ちてピタッと止まってくれない。本作のフルーツの動きには物理演算が使われていて、さながら本物のフルーツのようなリアルな動きをする。当たり前だが、実際のメロンの上に実際のリンゴを少し高いところから落とすと、ピタッと止まらずにコロコロ…とリンゴは転がってしまうだろう。スイカゲームもそんな感じに「ゲーム的動き」をしてくれないのだ。この物理演算の動きを予想しながらフルーツを配置していく所にプレイヤーは脳ミソをコネコネしながらプレイすることになるのだ。

あとは、次に落ちてくるフルーツが分かるネクストが右上に表示されているぐらいでゲーム性はシンプルそのものである。これ以上話すことは無いから感想にいくぞ。

【感想】

さて、実際にやってみた訳だが、これがまぁ面白い。言っちゃえば、「2048」に物理演算の要素を足して、かつ落ちゲーの型を使っている訳だが、これが奇跡的に噛み合っている。私は2048が好きで結構やっていたが、スイカゲームはそれの比にならんくらいハマっている。それはスイカを作るのが結構難しいことが理由なんじゃないかなと思った。

まだやってない人、1回やってみ?結構難いんよこのゲーム。私は初見の時にラッキーでスイカを作れたんだけど、その次にスイカを作れたのはなんとプレイして10時間経ったぐらいだ。あーまた失敗した、あーまた失敗したが連続して、どうしてゲームオーバーになったのが分からない。ムキになってやってみるが、今度はまた別のミスで敗北だ。パズルゲームにはある程度慣れてると思っていたが、まだまだだったみたいだ。

そして、もう一つの理由としては、運の要素が絡むのが面白い。毎回毎回ランダムでフルーツを落とす訳だが、これは2048でも同じだった。しかし、本作の方が運の要素が強いと感じる場面が多かった。それも物理演算の動きが加わっているからだ。このリアルに動くフルーツの挙動を完全にコントロールするのは難しく、頭の中ではこうやって動かしたい!というのが分かっているにも関わらず、明後日の方向にフルーツが行ってしまう、こんな場面が何度も起こり、全く予想していなかった盤面になってる、なんてのがずっと起こってるのだ。これを完璧にコントロールするのがこのゲームのやり込み要素というかクリアを安定させるのに必要なのだろう。

今でもこのゲームを狂ったようにやっている訳だが、やっていて違和感はある。

「これってパズルゲームか?」

今更ぷよぷよのような落ちゲーをパズルゲームとは言わないだろう。あれは直感的にパズルを解くタイプのロジカルなゲームではなく、動きをパターン化させて、それを正確に実行する、というアクションゲームの要素が強いゲームである。格ゲーとかも一緒だな。本作も間違いなくぷよぷよのようなゲームの類で確立されたセオリーの中で攻略法を編み出していくのか、というもはやesportsのようなプレイ感覚である。だから凄いパズルゲーム!と言われると私は少し苦虫を噛み潰した顔をしてしまう。

これに対戦要素とかくっつけたらヤバそうだな〜 ぷよぷよとかパズルボブルみたいにさ、相手におじゃまフルーツを押し付け合うんだよ。もし、そんなゲームが出たらもうずっとやっちゃうね。いかに強い連鎖を組んでいくのかをずっと考えるマシーンと化すよ私は。本作は奇跡のようなゲームバランスなので、変にいじらない方がいいのかもしれないが。というか2048のシステムのすごさに改めて驚いた。

ゲーム性以外の要素だと、微妙だな。音楽は1種類しかない上にループもしない。ゲームをスタートしようとすると謎にロードが入る。インターフェイスもまぁ普通といった感じ。フルーツに表情があるのがいいぐらいか?ゲームシステムほぼ100%のゲームだ。

【まとめ】


本作がマリオに勝てたといっても過言ではないぐらいの面白さだった。いや〜本当はボロカスに言いたかったんだよな。運の要素も強いし、難易度も高い所も言いたかったんだけど、にしてもゲームシステムがよく出来たゲームだった。1ゲームが15〜20分くらいなのもいいね。軽くて面白いゲームなんかなんぼあってもええですからね。満足満足。本作を手に取っていない人は是非。そりゃもう是非!






(本作はSwitchでリリースされている。価格も240円と安いので気になった方は購入してはいかがだろうか)


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