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路上園芸ツアー、上野から浅草まで2時間ず~っと植物を愛でながら歩きました【レポ記事】

2023年9月10日に、「路上園芸ツアー 〜いつものまちの見方が変わる!街角のはみだす園芸や植物を愛で歩く、ウォーキングツアー~」を実施してまいりました!

上野駅から浅草雷門まで、約2kmのコースを2時間かけてウォーキング。ただただひたすら路上の植物を愛でながら歩いたツアーのレポートです。

ガイドは、路上園芸鑑賞家 村田あやこさん

村田あやこさん

今回のツアーガイドは、路上園芸鑑賞家の村田あやこさん。近所にある年季の入ったプランターにふと目が留まって以来、街角の植物や路上にはみ出た園芸を10年以上愛で見守っています。

架空の学会「路上園芸学会」(会員は村田さん1人)として、これまで鑑賞してきたものを日々発信し続けているマニアな方です。

まずは"ビンゴ"で路上園芸視点をインストール

路上園芸ビンゴカード

植物を愛で歩くと言っても、普段何の気なしに歩いている街中で「どこを見てどう愛でたらいいの? 」って戸惑いますよね。

村田さんが”路上園芸ビンゴカード”を用意してくれました。「こういう植物を探してみよう!」というヒントが書かれていて、あっという間に村田さんの路上園芸視点を自分にインストールできます。

たとえば"ハミ根っこ"は、「飼いならされてたまるものか」と言わんばかりに鉢を大きくはみ出して成長している植物。"配置の美学"は、限られた空間を巧みに駆使して作り上げられている園芸です。植物に囲まれている室外機、見たことありませんか?

開始直後、「ヤブガラシ」の解説で景色が一変

15時、上野駅から浅草方面に向かってウォーキングスタート!した瞬間から村田さんによる怒涛の路上園芸解説もスタートです。

上野駅を出てすぐ、村田さんがふと立ち止まって「これは自然と生えてきてるヤブガラシですね~」と話しはじめた瞬間、グッと”路上園芸ワールド”に引き込まれる感覚が……!

だって普段、フェンスに絡まってる植物をしみじみと見ないじゃないですか。何度も来たことある街なんですが、今までとまるで変わって見えてくるので不思議です。

自然に生えてる緑?計画的に植えられてる緑?

まだ上野駅から離れていません。今度は上野駅近くの花壇に注目です。

「この花壇、計画的に植えられた植物が育っていますが、ほら、下の隙間から自然と生えてる植物もいますよ。さっき見た、自生してるヤブガラシもそうですが、街中ではさまざまなルーツを持った緑が混ざり合ってるんです。」と村田さん。

なるほど、一見同じ「緑」でもそういう違いがあるとは……! ほかに、軒先などによくある、住人が楽しみで個人的に育てている植物もあります。それをふまえて周りを見渡すと、本当いろんな「緑」があるな~。

草の名前10個でも覚えると、散歩が楽しくなる

ナガエコミカンソウ

「これわたしが好きな植物のひとつで、」と村田さんに名前を教えてもらった”ナガエコミカンソウ”。よく道端に自生してるそうなので、出会ったことはあるんでしょうが、教えてもらわなければ気づけなかったです。ちっちゃいミカンみたいなのがたくさん付いててかわいすぎる……。

目に映った植物全部の名前を覚えるぞ! と意気込むと疲れちゃいそうな気もしますが、村田さん曰く10種類覚えておくだけも歩くのが楽しくなるそう。道で見つけたとき、友達に会えたような気持ちになるんだとか。

わたしは今回、ナガエコミカンソウ1つしか覚えられてないですが、それでも「次いつ会えるかな~」とワクワクしながらツアー後の日々を過ごしてます。

はじめて、「猫じゃらし」で秋の訪れを感じた

村田さんの「この猫じゃらし、エノコログサって言うんですが、犬の尻尾みたいな穂がたくさんついてますね~。秋を感じます。」の一言にハッとするわたし。忘れてましたが、路上の景色も、季節ごとに変わっていくんですよね。

長い間コロナ禍が続いていたし、「今年は忙しくてお花見に行けなかった……」なんて年もありますが、特別桜やひまわりを見に行けなくても、いつもの道でたくさんの草花が季節を知らせてくれてる

そんなようなことを日々忘れずに過ごしたいな~、と思いました。

リボン使いを通して、人の営みに思いを馳せる

さて、まだ15時半ごろですが、ここからは住人やお店の人が個人的に育てている植物が多く見られるようになってきました。

植物が倒れないようにひもで結んだり、割りばしで支柱をつくったり。大事に育てるための手仕事が垣間見えます。贈りものを梱包するかのように結ばれていた赤いリボンがよくて、思わずシャッターを切ってしまいました。

別の用途で使われていた道具が、鉢として使われていることもよくあることなんだそう。村田さんは「転職鉢」と呼んでいます。

トロ箱が使われていることが多いということで、ツアー中もたくさん見かけました。ほかにも、ラーメンに使う調味料の缶や漬けもの鉢などいろいろな容器が転職していておもしろかったです。暮らしを感じますね。

壁画のような、妖怪のような緑のインパクト大

名前などの情報を調べることに固執しすぎず、ひと目見て「うわ! なんかすごい! 」「なんかヘン! 」と思う直感も大事にしている村田さん流路上園芸鑑賞。

まるで壁画のような植物(植物壁画)や、

妖怪のような植物(植物のふりした妖怪)は目に入った瞬間「うおおおお!」と圧倒されるものがありました。美術館みたいです。

散歩をはじめてから1時間くらいで、トイレ休憩タイムがありました

店先の路上園芸で、ごはんの場所選ぶのもよし

さて、これでもかってくらい「緑」を愛でてきたツアーももうすぐ終わり。浅草雷門が近づいてきました。歴史感じる味わい深い植物が、入口や周辺でどっしりと構えているお蕎麦屋さん、お寿司屋さんなどが多い印象です。

村田さんは「この路上園芸好きだな~」という直感で飲食店に入ってみると、ごはんも「おいしいな~、好きだな~」と思うものに出会えることが多いそう。わたしも今度やってみようと思います。

路上園芸を愛でながら歩いていると、たぬきに出会うことも多いそう

緑を愛で倒したわれら、突然の雷門におどろく

17時ちょっと前、無事浅草雷門に到着です。約2時間。約2kmの道のり。お疲れさまでした……。結構しっかり歩いたな、という感じです。

路上園芸に関する情報だけ、シャワーのごとく浴びながら、見ながら歩いてきたので、最後突然現れた雷門を見て「そういえば浅草歩いてたんだ! 」とおどろいたのはわたしだけじゃなかったはず。

日常のなかの非日常、"路上園芸ワールド"から日常に戻った瞬間でした。

でももう”路上園芸視点”がしっかりインストールされたわれら、いつでも街中の「緑」を愛でる準備はできていますね。

執筆・撮影 田口めんたいこ


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