見出し画像

ワンピースを棚に戻すとき

153センチ。日本人平均よりもやや低いものの、驚かれるほどでもない身長です。まぁ小柄かしら?くらいのもの。


成長期が止まって以来、はや10年近くこの背で生きてきましたが、特段不便はありません。上の棚に届かないとか、満員電車で埋もれるなどはありますが。その1つ1つが日常で、いちいち気にしてなんかいられもしないし、ましてやマウントをとる気にもなりません。全てのからだのことは、評価ではなく事実として捉えたい。


でも、ワンピースを選ぶ時だけは。そのときだけは己の身長が心底恨めしく思います。あと数センチ、身長が大きいか、あるいは丈が短ければ…と、試着室で鏡を何度見つめたことか。話しかけてくるタイプのお店で店員に話しかけられなかったのも、まぁそういうことなんでしょう。


それならばスカートで、というのも毎回思うんです。思うんですけど、駄目なんです。

ワンピースでなければ、みなぎらないファッションの力が、絶対に、ある。


ワンピースは、紐でゆるく縛るか、胸下で切り替えがあるものを選びます。できるだけ裾がふわっと広がるタイプで、でも生地や色は少し大人っぽいものを。

そうして選びぬいた、しっくりくるワンピースは着るだけでどこへだって行けます。


足元から胸まで風が通り過ぎるくすぐったさも

1枚だけでコーデが完結する潔さも

動くたびにひらひらする裾も、ちょっとだけいつもよりも開放的になっちゃって

もうね、どこへだって飛び出せるような気がするんですよ。


そう考えると、わたしにとってワンピースとはいつもよりほんの少し自由になるための服なのかもしれません。


だからこそ、自由にしてくれるかもしれないワンピースを前に、身長だけを理由に諦めなければいけないことが悲しいのです。

ズボンが足の太さゆえに入らないときより、肩幅でトップスがギチギチになるより、ワンピースが着られないことのほうが、格段にショックは大きい。


基本、1枚で勝負する洋服だからこそ自然と選ぶ基準も厳しくなりますし、これだ!と思った1枚を諦めなければいけない悲しさは、他の洋服の比ではありません。


お裁縫の得意な人であれば、ちょちょっと自分で裾をいじることができるのかもしれませんが、家庭科のミシンでボビンすらできなかったわたしがそんなリスクを侵せるはずもなく…泣く泣く戻します。


便利な世の中なので、インターネットで検索をすれば身長が低い人向けのブランドだって簡単に見つかりますけど。

でも正直、そうしたブランドはやっぱり高くて、現実的にも手が出しにくいことも事実で。結局ショッピングセンターに入った時と同じ荷物量で去るというのが、わたしの現実です。


あと何回、素敵なワンピースを逃すことになるのか。うぅ…


それでも、何度だってワンピースを探すんだと思います。ほんの少しだけ、自由になりたいんですもの。

関連?記事↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?