フォローしませんか?
シェア
川崎ゆきお
2015年1月13日 10:16
他の少女とは少し様子が違っていた。何か特別な子供ではないかと思えるような節はあるが、それはただの外形だけかもしれない。髪の毛の色が他の村人とは少しだけ違い、青っぽい。また、瞳の色が黒ではなく、少し薄い。目が悪いわけではない。 ただの村娘で、その両親もただの百姓だ。その少女、名をまゆと言い、親が適当に付けた名だ。 まゆは特別な人間では
2015年1月11日 09:54
浮田は名前通りではないが、まだ若いのに浮き世離れしたことに興味がある。浮き世とはこの世の俗事のようなもので、世間一般のことだ。世の中が浮いている。天空の町に住んでいるわけではないが、世間で暮らしていると浮き沈みが激しい。浮き世とは一般社会という意味だろうか。 浮き世離れとは、一般社会から少しはずれたところ、世間から一寸浮いたところ。浮き世そのものは浮いているわけ
2015年1月10日 10:09
坂田はこの上着ではないかと思った。デパートの古着市で。 寺や神社の大きな縁日のとき、古着の露天が出る。それを見ても何とも思わなかったのだが、都心のデパートで見ると新鮮だった。 冬の終わり頃から春先に着るカジュアルなコートだ。そのタイプは余るほど持っている。だから着るものに困っているわけでもないし、また古着しか買えない経済状態でもない
2015年1月5日 12:41
黄昏時、黄昏ている人がいる。その年齢も黄昏ている。だからミスマッチではなく、黄昏時には風景と同化している。 そこへ年齢的には黄昏をとっくりに過ぎ、とっぷり夜に入っている老人が現れた。若い方の黄昏人よりも恰幅がよく、身なりも良い。 道ばたでポツンと黄昏れているわけには行かないので、二人とも黄昏やすい黄昏の丘にいる。黄昏なので、朝日では