料理とはなにか


一年程前に新宿の書店で
“cook”という一冊の料理本に出会った



私は既に会計を済ませ
帰路につこうと思った矢先
ふと目に止まった



著者は坂口恭平さん
建築家、アーティスト
たくさんの肩書きが並べられている


彼は躁鬱病であり、
この本は鬱から明けるための
料理という創作行為をはじめた
彼の日々のキロクだ



この本に出会った当時
わたしはあてもなく会社を辞めて
これから先どうしようかなと
フラフラとしていた時期だった



冷静になって今振り返ると
記憶も曖昧なことが多く
ふと涙がとまらなくなったり
空元気になったりと
私も躁鬱を繰り返していたように思う





そんな時にこの本に出会い
ふと目が止まり気付けばレジにいた




いま思うと潜在的に
自分と同じ境遇の人の
奮闘記にひかれたのかもしれない



久しぶりにこの本を手に取ると
“料理とは何か”
という一節が目に飛び込んできた



私にとって料理とは“マインドフルネス”だ
生まれた頃からアスファルトに
建てられたマンションで生活している
私にとって一番身近な自然は
食材に触れることだった



やさいの切り口から自然の美しさを感じ
季節のうつろいをみてきた


マインドフルネスとは
今ここに意識を戻す訓練のこと

忙しなく思考が止まらなくなる
私が1日の中で一番今ここに集中できるときは
料理をするときなのだ


自然がもたらしてくれた
食材の力が私を今ここに戻してくれる


私にとって
料理とは“わたしが私でいられる時間”
である


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