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【レオマブ考察reboot①】人形焼と欲望(ネタバレ)

さらざんまいロスがひどい中、配信サイトとDVDで見直しを繰り返している。特に9話10話11話を見直しているのだが、追加でいろいろ考えたことがあったので、雑感程度に残しておく。

以前の考察記事は→ 9話 10話 11話

基本的にレオマブのことしか考えておらず、神々による考察記事も読み漁っていないため、諸々解釈違いがあるかと思うが、こんな辺境だしご容赦願いたい。もちろんネタバレもしている。


◆人形焼とは何か


これは11話の記事でも少し書いたのだが、改めて。
マブがカワウソから強要されている「人形焼」とは一体なんなのか、ずっと引っかかっている。マブがスピンオフで甘いものをよく調理しているのはわかっているのだが、果たしてそれだけか?というところだ。

まず人形焼の基本をおさらい。
外がカステラ生地、中がだいたいあんこ、のお菓子である。浅草名物。
あんこを包んでいるもの…であるため、私としてはやはり、マブの欲望(=あんこ)を込めた擬似しりこだまのようなものだと思うのである。


◆なぜカワウソは「人形焼」を欲するのか

カワウソ「私のために人形焼を焼いてくれ」
といってマブを押し倒す場面。


マブにとってレオに押し倒される(抱擁・同衾)行為は「欲望」の対象
カワウソは欲望エネルギーを集めている

ということから考えて、マブの欲望を惹起して、それを人形焼に詰めて欲しいということなのではないか。そして、マブが欲望の詰まった人形焼を制作するには、もちろん彼の「欲望」の対象が必要。それはレオだ。
だからこそ、蘇生マブとレオを引き合わせたとき(7話Cパート)に、「マブの心臓を動かすためには、お前の助けが必要だ」と言って、レオが逃げないようにしたのではないか。


◆人形焼の出来=マブの欲望コントロール精度?

続いて、「生焼けの人形焼」とは?という問題
人形焼がマブの欲望の器だとするなら、生焼け=未完成となる。未完成の欲望の器とは?
ここで、作中2回レオが人形焼を食べるところを振り返ってみたい。

1回目は8話、誓を追うところである。
最初の一口でレオは「これ生焼けじゃん…」というものの、花やしきでは残り2体を文句も言わずに食べている。おそらく完食している。
その隣のマブの表情。思い込みかもしれないが、ほんのすこし、表情が柔らかくないか?

レオに対する欲望を込めた人形焼を、レオが食べてくれる
自分への疑いははれていないものの、そばにいることは継続できる。そばにいながら、「つながりたい」欲望をレオに受け入れてもらえる。そのことへの嬉しさがあるのではないか。
この場面、直前にエンタが
「どんなに尽くしても報われなかったら虚しいだけだ」
と言っているのが、レオのために欲望を抑えながらそばにいて、「偽物」と思われるマブの状況に重なってつらい。ただ誓の言う通り、それでもレオのそばにいるのは、他でもないマブが選んだことなのだ。

2回目は9話。ほっかほかの人形焼が完成し、それを食べたレオが「この味、本物のマブだ…!」とレオが感激し、抱き合う半裸の二人が映し出されるところ。


ここでは欲望の器として完成した人形焼(生焼けではない)によって、レオはマブが本物だと認識している。「つながりたい」欲望を抑制していても「本物だ」と思えたのは、マブの欲望の抑制がうまくコントロール出来ているからにほかならない。人形焼に込めた欲望をレオに食べさせることで、マブ本人の欲望は抑制していても「本物だ」と認識させることに成功している。
人形焼の完成度=マブの自分の欲望のコントロール精度、ということではないかと思うのだ。

それを象徴するように、半裸で抱き合う二人を映し出したあと、画面にはカワウソマークが小さく点灯し、時限爆弾を抱えて拘束されるマブの心臓が映し出される


この場面、レオが「本物のマブだ…!」と好意を露わにしているので、マブとしては「レオ、愛してる!」と同じテンションで抱きしめ返したいに違いないのだ。だが、それをしてしまえばカワウソとの契約違反となり、心臓は爆発、レオのそばにいられなくなる。欲望を露わにすることは、できないのだ。
この場面、マブ表情はまったくわからない。個人的には少しだけ、感情が漏れ出た表情だったのではと思う。


◆マブのメンテ=ダブルバインドの生命線

9話後半では、そんなマブの欲望耐性を試すかのように、カワウソが半裸のマブに問いかける。
「さあマブ、お前にとって大事なのはだれだ?アイツ(レオ)か、私か?」と迫る。マブは「カワウソだ」と答える。

これによって、完成した人形焼によって表面上「つながった」かに見えたレオとマブは、再び断絶する。断絶することにより、マブはまた「それでもレオのそばにいたい」とカワウソに忠実な人形となり、行き場をなくした欲望を人形焼にしつづける。レオはそれを食べ、ますます本物のマブへの欲望を肥大化させる。カワウソはそれらを搾取しつづける。

このことから考えると、マブのメンテとはなんだったのかということになる。レオには「本物に近づくため」という説明をしていたようだが、果たしてそれは本当なのか?むしろ逆ではないのか
レオが本物だと信じない程度に、でも本物になる可能性がゼロではないので離れないように、不即不離の関係に保つためのメンテではないのか。

レオのそばにいるためには、このメンテはマブの生命線だ。レオと繋がってしまったら死。だが、完全に離れないためにはレオに本物のマブを求め続けさせなければならない。

本物になってはいけない、だが、完全な偽物でもいけない。

ケッピと再会した際に、「私はあなたが望まれている私ではないのです」と言っているのもそのあらわれだ。偽物なら「マブではない」と言い切ればいい。この遠回しな言い方に、マブの葛藤が見える。つらい。
このつらさを一人抱えて、それでもレオのそばに寄り添っていたマブの想いの強さに、涙がとまらない。


人形焼の最後の登場は、10話欲望フィールド。
ゾンビ化マブの周りにごろごろと転がっている。やはり彼の欲望の象徴だったのだ。

今後浅草で人形焼を買うことがあれば、レオの気持ちになってマブの欲望…もとい「愛」を噛み締めたいと思った次第である。


レオマブ考察Reboot①、お付き合いいただきありがとうございました。
気になったモチーフや小さなテーマで、次回もさらざんまいを振り返りたいと思います。よろしくお付き合いくださいませ。

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