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【レオマブ考察】さらざんまい10皿目まで(ネタバレ)

9皿目までの考察はこちら
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10皿目のさらざんまい、完全にレオマブ回であった。滾った。泣いた。
前回までの考察の訂正をしつつ、今回でひとつの区切りがついたレオマブについて改めて考察していく。ネタバレと妄想がひどいのでご容赦願いたい。

長くなりそうなので項目を立てておこう。

①マブの欲望

前回の記事でレオのゾンビ化、待ったなしだと予想していたのだが、完全に逆であった。お詫びしたい。
ざっとマブゾンビ化の過程を確認しておこう。

レオに「ひとりぼっちだった俺を見つけてくれた、俺がほしかった言葉をくれたマブじゃない」と言われ、大ショックを受ける。
→カワウソに「お前の欲望を叶えるときが来た」と言われ、自らゾンビ化を選択。ゾンビ化直前に「お前の心を取り戻せないならせめて、身勝手なこの欲望を満たしたい」、、、と微笑みつつレオを見る。
→ゾンビ化したのち、レオにしりこだまを抜かれ漏洩したのち「お前に告げたい言葉がある」と言いつつ「ずっと愛してる」と告白。


◆なぜマブは大ショックを受けたのか
これまでも「お前はマブじゃない!」とレオに散々言われてきたマブ。ところが、今回はそのときにはみせなかった、ショックを受けたような顔を見せる。

これまでと何が違うのか?レオの言動に注意しておきたい。
「ひとりぼっちだった俺を見つけてくれた、俺がほしかった言葉をくれたマブじゃない」
これが決定打である。

その後のマブの発言から考えて、たとえ偽物と思われていても、そばにいられればよかった、とマブは思っていたようである。それは、マブがレオとのつながりをなんとか保ちたかったからに他ならない。
しかし、マブが偽物のような態度でレオのそばにいたことで、レオは孤独だったのである。偽マブがそばにいることは、「本物のマブがそばにいないこと」を際立たせるのだから当然である。
つまり、上記のレオの発言を受けて、マブはようやく「自分の身勝手な欲望のせいで、レオを孤独にしていた」ことに気がついてしまった。だからはじめて「胸が痛い」のだ。レオを「愛する」マブにとって、レオを孤独にするのは不本意なことである。だから、ゾンビ化してレオに真実を告げることで、レオを孤独から救おうとしたわけである。だからゾンビ化直前の笑顔があんなに美しいのだ!


◆マブの欲望変遷

マブの欲望は一つに限定できない。レオの「マブを取り戻す」という明確なものとは対照的である。整理しておこう。

・ケッピ分裂前の欲望
 レオを孤独から救いたい(これが原初の欲望か?)
 相棒としてレオとずっと共にありたい(でも愛しているとは明確に言わない)
・ケッピ分裂時の欲望
 レオを助けたい(→達成。その代償として黒ケッピに絶望を渡している?)
・蘇生時の欲望
 レオとつながりたい(愛を告げたい=「身勝手な欲望」)
 レオと一緒にいたい(→こちらのみ達成。その代償としてレオとのつながり(欲望および愛)は封印して、カワウソと契約)
・ゾンビ化時の欲望
 レオを孤独から解放したい(=「身勝手は欲望」②→漏洩して全ての真実を知らせる)
 レオに愛を告げたい(=「身勝手な欲望」①→達成。そのかわり、レオと共に生きる未来は諦めた)

という感じではないか。ゾンビ化時のマブの欲望は達成されたことになる。
その代わり、レオが欲望(マブを取り戻す)によってなんとか保持していた「マブとのつながり」は失われ、カズキを襲撃するレオはマブを忘れてしまう。ところが、胸ポケットに入っていた「マブ」の標章によって、ギリギリ踏みとどまった感じであった。
マブの「レオを一人にしない」という欲望(もうここまできたら愛だろうが)が、いかに強かったかがここに現れていよう。レオの涙がマブの標章に落ちる瞬間が大変美しい。形を変えてだが、マブは「ひとりぼっちだったレオを救う」という欲望(というか愛!)を再度達成しているのだ。なんだ、聖母か?


このシーン、レオが「ほんとは…俺は…」と言いかけているが、ここもまた「お前よりもっとまえからマブを愛してる」的なセリフかと思うと激アツである。つながりを失ったはずなのに、残されたマブの愛が、レオの愛を喚起したのである。


◆結局、マブの心臓はなんだったのか

今回明かされたのは、カワウソとマブの取引。
レオに愛を告げる(=つながりを取り戻す、或いは強くする)ことで、マブの心臓は爆発し、マブは死去する。。。ということだったようだ。前回マブの機械の心臓に血液が循環していないことを指摘したが、つまりあれはペースメーカーなんかではなく「起爆装置」であったのだから、当然である。


つまり、マブの心臓は壊れてなどいなかったわけである。あの鼓動はマブ自身のものである。むしろマブが持ち合わせているレオへの欲望・愛を抑制するために、自らの手で「心臓を拘束していた」状態だったと言っていいだろう。

◆人形焼はなんだったのか
カワウソとの取引が成立した際、「レオが嫌いだ」と言ったマブに対し、カワウソは「私のためにまた人形焼を焼いてくれ」と言っている。マブが抑えているのは、「つながりたいという欲望」。
ストーリー序盤では、人形焼は生焼けであった。マブがまだうまく自分の欲望を人形焼に収められていなかったのである。それが9皿目では上手に焼けたのだという。擬態がうまくなった…生々しい欲望を漏らすことがなくなった…ということだったのではないか。心臓とあわせて、人形焼もまたマブの抑圧の象徴である。


◆レオマブはお互いの欲望を知っていたのか?

9皿目でカワウソは「欲望の権化」だということが明かされたが、レオの欲望だけを映していたわけではないことが、今回明らかになった。漏洩シーンでマブに覆いかぶさるカワウソは、間違いなく「マブの欲望の鏡」である(レオにはカワウソにしか見えてないが、マブ視点だとレオの姿)。


詳しくは次の項目で述べたいが…全部を知っていたわけではない、というのが私の見解である。
ひとつだけ強調したいのは、マブゾンビ化の直前レオが
「誰だって欲望のためなら、簡単につながりを捨ててしまえるんだ」
と吐き捨てているところである。マブは欲望のためにつながりを封印、レオもまた、自分が望むマブを求めるあまり目の前のマブとのつながりを捨てようとしていた。これが10皿目を通して逆転したのである。そこだけは二人の欲望がシンクロしたと言えるだろう。


②ケッピ臣下時代のレオマブ

ケッピの臣下であったことが判明したレオマブ(つまり彼らは河童だ)
彼らがその時代、どんな関係性にあったのかを予想しておこう。

◆ケッピとの関係性は?凌雲閣に何をしに来た?
6皿目ラストでレオは「見つけた!」と言って凌雲閣に乗り込んでくる。私は完全にケッピを狙ってきたのだと思っていたが、これは「ケッピを守るために探していた」ということで間違いなさそうだ。
二人はいわゆる側近だろう。
もう一度復活して軍服を着てほしい。それだけである。

◆レオマブの出会いは…
前述したレオの「ひとりぼっちだった俺を…」のセリフに尽きる。俗っぽくいえば、マブから声をかけたのである。マブのほうが身分的に上位で、仕事の相棒を探していたところで、レオをスカウトした可能性もある。
レオが欲しかった言葉というのは、「お前が好きだよ、認めてるよ」とか「お前はひとりじゃない」とかそのあたりだろうか。レオを孤独から救う言葉であるはずだ。レオは自己評価が低そうなので…案外チョロかった気がする。

◆(極論)レオマブは付き合っていた…?
これはレオマブ考察の最重要ポイントだと思うのだが…
「付き合っていなかった(はっきり告白しなかった、肉体関係はあったかもしれない)」としておきたい。
根拠としたいのが、マブが「ずっと愛している」というシーンのセリフである。
「お前に告げたい言葉がある。私の唯一無二の相棒、今までもこの先も、ずっとお前を愛している(最高にいい声)」
蘇生前にちゃんと告白していたならば、こんな言い方はしないと思うのである。今までそばにいたのにずっと言えなかったから、ゾンビ化して、漏洩してはじめて言えたのであろう。
なぜ蘇生前にも言えなかったのだろうか。それこそ「つながり」を失うかもしれないからではないか。相棒としてのつながりを壊さないために、マブは自分の気持ちを抑えていたと見ていいだろう。


◆レオマブはお互いの欲望を…

やはり知らなかったと思う。特に、レオの方が精神年齢が低そうなので(人間関係の経験値が低い?)、マブが精神肉体通してつながりたがっていたなんて、想像もしていなかったのではないか。その証拠に、ゾンビ化するマブを見てレオは「意味わかんねえ」と言っている。レオとマブでは、欲望のベクトルが違っていたと言っていい
孤独だったレオにとっては、マブは執着対象である。それは間違いなく欲望なのだが、マブの欲望よりも素直と言ったほうがいいだろうか。前回も言ったが、マブはレオへの執着を表にしなかったはずであり、それを受けたレオもマブへの執着をおおっぴらにはしなかった気がする。関係を保つために。
お互いのつながりを保つために「欲望を抑えていた」ふたり。でも今回は、欲望をようやく漏洩できた…ことで、つながりが消えてしまったわけである(表面上は)


③マブから考える黒ケッピおよびカワウソ

覚えておいでだろうか。
マブは黒ケッピと接触した唯一の存在であったことを。私は以前、黒ケッピによってマブの欲望が搾取されたと思っていたのだが、マブは欲望を抑制していただけで失っていなかった
では黒ケッピとの接触はマブにどんな影響を及ぼしていたのか。
おそらく言葉のまま、「絶望」の部分であろう。欲望があるから絶望する…と考えれば欲望と同等のエネルギーがあるのが絶望。黒ケッピはマブから絶望を搾取した…?(だから、カワウソに「レオとのつながり」を禁止されても、ポーカーフェイスを保てた?)

一方カワウソは、「絶望によってつながれない世界を支配する」という目的があるとのこと。「つながりは毒」だとも言っている。しかし、ここに矛盾を感じるのである。「つながりが断ち切られるから、絶望する」のではないかと思うのだ。希望がなければ絶望はない…その逆も然り。
だからカワウソは「希望の皿」を求めていると考えられる。

結局河童もカワウソも、白ケッピも黒ケッピも表裏一体ではないのか。
どちらが欠けてもだめだから、融合しなければならない…と。レオマブがその典型ではないか。マブもレオも、絶望を知って「胸が痛い」感覚を知ったから、お互いの愛を確認できたわけである。
そして、春河のセリフ。
星の王子様は僕に、欲望か愛か選べっていうんだ。でもこわかった。選んだらまるい円が壊れちゃうんじゃないかって」
おそらくここが重要なのであろう。レオマブの今回の邂逅と別離は、その前兆でしかない。個人的には、ケッピとカワウソがつながる可能性にワンチャンあるのではないかと思っている(耳が忙しい回になりそうだ…)


④今後のレオマブ展望

希望の皿化されたマブゾンビは、「マブ」と書かれた標章だけを残して消滅。皿自体は、燕太蘇生に使用された。
一方レオは、悠に撃たれたのち、ケッピの独力によって皿化(4枚)と、「レオ」と書かれた標章を残して消滅。
そのふたつの標章は「つながって」いた。

ちなみにマブが標章化する際には、「おわらない・はじまらない・つながらない」ループから外に出て行くモチーフが展開されていた。そして、ケッピは「レオマブ、今は少し眠るといいケロ」とのこと。そして久慈兄は「円の外側へ行こう、つまらないつながりを絶とう」と言っている。

この円の外側というのは、「つながらない世界」であると同時に、「欲望か愛かでつながりを測らない世界」だとも言えるのではないか。すると、カワウソおよび久慈による「絶望、つながらない(愛も欲望も、人のつながりを消滅させる)」世界に対峙するものとして、「欲望も愛もさらけ出して、それとは違うつながりを得た」レオマブが再登場する可能性は高い。白と黒の軍服で出てきてくれたら最高である。で、ケッピの融合を援護するのだ。
二人の再登場を信じて楽しみに待ちたい。たぶん最強の河童になっていそうである。

最後に。深夜とはいえ地上波で、宮野さんと細谷さんの、こういった方向性でのレオマブ演技を堪能できたことには、感謝しかない。耽美を目指してくれた監督には最敬礼である。

長文にお付き合いいただきありがとうございました!

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