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米農務省がインドのコメ輸出予測を下方修正

インドの水田=USAライス連合会のウェブサイトより

米農務省(USDA)は8月11日、2023年のインドのコメ輸出は前年比7%減の2050万トン、2024年は7%減の1900万トンとの予測を発表しました。USDAは世界の主要穀物の需給予測を毎月公表していますが、7月20日に発表されたインドの禁輸措置を受け、前月に比べ2023年は200万トン、2024年は400万トンの大幅な下方修正となります。禁輸措置の対象となった非バスマティ白米の輸出先はケニアなどアフリカが多く、食料安全保障への懸念が高まっています。

USDAによると、インドが輸出している米は、パーボイルド米(Parboiled rice)が最も多く、非バスマティ米(Non-Basmati rice)、バスマティ米(Basmati rice)、砕き米(Broken rice)と続きます。2022年は非バスマティ米がインドのコメ輸出のほぼ4分の1、世界のコメ輸出の11%を占めました。2023年1~5月のインドのコメの輸出量は960万トンで、非バスマティ米は300万トンでした。

インドは世界最大のコメ輸出国で、世界シェアは40%を占め、輸出先は140カ国以上に達します。低価格を武器に近年輸出を増やしています。非バスマティ米の主要輸出先はケニアやベニン、トーゴなどアフリカ諸国が多く占めており、これらの国々ではコメを自給できないため、安価なインド産米などに頼らざるを得ない状況です。

インドは禁輸措置の理由として、国内へのコメ供給を確保し、国内価格の高騰を抑えるためと説明しています。2022年9月に砕き米の禁輸や非バスマティ米に20%の輸出関税を課すといった措置を導入しましたが、非バスマティ米は20%の輸出関税を上乗せしても価格競争力は依然として強く、輸出を抑制できなかったようです。

インド産米の輸入国は、減少分をタイやベトナムをはじめとした他の主要輸出国に切り替えざるを得ません。しかし、タイやベトナムには供給余力はあまりなく、USDAによるとインドの禁輸前は1トン=125ドルだった輸出価格は、タイ米が657ドル、ベトナム米が644ドルに跳ね上がっています。

一方、インド発の食料危機を回避するため、インド政府は主要輸入国政府と個別に協議し、禁輸措置から除外することも検討しているようです。また、非バスマティ米の代替として、禁輸措置の対象でないパーボイルド米の輸出が増える可能性があるとUSDAは分析しています。高級米であるバスマティ米は中東や欧州、北米向けが多く、高価であるため、安価なバスマティ米の代わりにはなりにくいようです。

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