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EU加盟国が環境規制緩和を支持 環境団体は批判

欧州連合(EU)の加盟国は3月26日、農業・漁業理事会に先立って開かれた農業特別委員会で、欧州委員会が提案していた農業に対する環境規制緩和案への支持を表明しました。農家の不満が高まり、域内各地でデモが相次いでいることを受け、共通農業政策(CAP)に基づく直接支払い条件を見直すという内容です。農業団体は「前向きなシグナル」と歓迎する一方、環境団体は批判しており、論議はまだ続きそうです。

ベルギーのダヴィッド・クラランバル副首相兼農業相は声明で「われわれは農家の声に耳を傾け、農家がさまざまな課題に直面している現在、農家の懸念に対処するために迅速な行動を取った。農家と加盟国の柔軟性を拡大し、事務的を負担を軽減しつつ、CAPによる高いレベルの環境対策を維持していく」と説明しました。規制緩和案は、4月22~25日に開かれる欧州議会で承認され、加盟国首脳による欧州理事会でも承認されれば、実行に移されることになります。

農業・漁業理事会後に記者会見するクラランバル氏(EUのウェブサイトより)

EUの農家は、CAPによる直接支払いを受けるためには、優れた農業・環境条件(GAEC)として、農地の一定割合を草地にしたり、水路沿いに緩衝地帯を設けて肥料などが流出しないようにしたり、さまざまな条件を満たさなければなりません。この基準が厳しすぎるという不満が、農家のデモの大きな要因になっていました。

このため欧州委員会は、GAECに関して加盟国の裁量を拡大し、土壌被覆や輪作、休耕地などに関する条件を緩和できるよう提案しました。さらに、農地面積が10ヘクタール未満の小規模農家について、CAPの遵守に関する規制や罰則の対象から除外するということです。

規制緩和案が支持されたことを受け、EU最大の農業団体コパ・コジェカは「前向きなシグナルが出された」と歓迎する声明を出しました。声明は「これらの見直しは、CAPの主要な目的を変更するものではなく、より持続的な農業への移行に向け、必要な柔軟性を農家にもたらすものだ」として、環境対策が後退するわけではないとも強調しています。その上で、「欧州議会に対し、4月末までに前向きな対応を取るよう求める」と訴えました。

一方、欧州環境事務局(EEB)や世界自然保護基金(WWF)、グリーンピース、欧州消費者機構(BEUC)など16団体はフォンデアライエン欧州委員長に対し、規制緩和案の撤回を求める書簡を送りました。書簡は「欧州委員会は環境と農業を対立させる偽りの主張に屈した。提案された内容は、CAPが長期的に支えるはずの雇用を弱体化させるだけだ」と批判しています。欧州議員にも書簡を送り、否決するよう求めています。

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