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世界の有機農業面積は26%増の9638万ヘクタール 日本は92位に後退

スイスの有機農業研究機関FiBLとドイツのIFOAMが2月13日に発表した年次報告書によると、2022年の世界の有機農業栽培面積は前年比26.6%増の9637万6196ヘクタールとなり、過去最高を更新しました。オセアニアや欧州、南米、北米、アジア、アフリカの全ての大陸で増えており、有機農業が世界的に拡大し続けていることが示されました。日本は27.7%増の1万5319ヘクタールと大きく伸びましたが、ネパールやモロッコなどに抜かれ、前年の89位から92位に後退しました。

大陸別の有機農業の栽培面積

首位オーストラリアの栽培面積は48.6%増の5301万6058ヘクタールと、全体の55%を占め、有機農業大国としての地位を不動なものとしています。前年5位のインドが77.8%増の472万6715ヘクタールと大きく伸び、アルゼンチンや中国、フランス、ウルグアイを抜いて2位に浮上しました。

主な有機農業国

3位は前年2位のアルゼンチン、4位は中国、5位はフランス、6位はウルグアイ、7位はスペイン、8位はイタリアと続きました。米国が11.4%減となり、前年の8位から9位に順位を下げました。ドイツが10位、カナダが11位、ブラジルが12位となり、欧州や米州が上位を多く占めました。

有機農業の栽培面積とシェアの推移

 有機農業が世界の農地全体に占める割合は、前年の1.6%から2.0%に拡大し、過去最大となりました。有機農業のシェアを国別に見ると、リヒテンシュタインが43.9%(前年40.2%)と首位を独走し、オーストリアが27.5%(26.5%)、エストニアが23.4%(23.0%)と続きました。 オーストラリアは14.8%で15位、中国や米国は0.5%で98位グループにとどまりました。日本は0.3%(0.3%)で、ルワンダやベトナムなどと111位グループとなっています。

有機農業のシェアが高い国

日本は、2021年5月にまとめた「みどりの食料システム戦略」で、2050年までに有機農業の面積を25%(100万ヘクタール)に拡大する目標を掲げています。しかし、世界的にはかなり遅れており、もっと真剣に取り組まなければ、目標達成はかなり難しそうです。

 一方、2022年の有機食品の小売売上高は、世界46カ国で1347億6000万ユーロ(約21.5兆円)となりました。首位の米国が585億6000万ユーロと、全体の43%を占めました。2位ドイツが153億1000万ユーロ、3位中国が123億9800万ユーロ、4位フランスが120億0760万ユーロ、5位カナダが58億ユーロと続きました。 米国は欧州連合(EU)全体(451億ユーロ)も上回っており、消費者の健康志向の高まりで有機食品の需要が高まっていることが分かります。

主な有機食品消費国

2022年の米国の有機食品輸入量は前年比18.8%増の216万8901トンと急増しており、遺伝子組み換え(GM)作物が多い国内では賄えず、輸入依存が高まっていることが分かります。メキシコ(47万7925トン)やエクアドル(24万7697トン)、アルゼンチン(23万9078トン)など、中南米から多く輸入しています。 

EUの有機食品輸入は5.1%減の272万6775万トンと、前年を下回りましたが、米国を上回る有機食品を輸入しました。エクアドル(34万5522トン)やドミニカ共和国(25万1378万トン)、ウクライナ(21万9125トン)などから多くを調達しています。 

日本の有機食品の小売売上高は16億2300万ユーロで、13位でした。ただ、前年比伸び率は8.4%と、データがある8カ国の中ではカナダ(9.7%)に次いで2位となりました。有機食品の需要は、まだ少ないながらも、伸びているようです。 

1人当たり有機食品消費量が多い国

1人当たりの有機食品消費量は、スイスが437ユーロと首位で、2位がデンマーク(365ユーロ)、3位がオーストリア(274ユーロ)と、欧州勢が上位を占めました。米国は176ユーロ、日本は13ユーロでした。 有機食品のシェアは、デンマークが12.0%と首位で、2位がオーストリア(11.5%)、3位がスイス(11.2%)と、欧州の同じ3カ国が上位を独占しており、これらが有機食品の先進国と言えそうです。

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