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「光る君へ」20話「望みの先に」

えー…推しが…。そして次回予告、こんなの無茶苦茶になってしまいます!!!


1.やらかしの後始末


さて、花山院に矢を射かけるという大やらかしをしてしまった伊周・隆家。
しかも乱闘の末、花山院側の付き人が命を落としています。

実は花山院はこのとき僧形でしたので、そもそも女性のもとに通っているということそのものがまずい。
それゆえ、「私は、ここに来ていないぞ!」となかったことにしようとしますが…
悪事千里を走る。一条天皇の耳に届いてしまいました。
定子を一途に愛している一条天皇ですが、それはそれ、これはこれ。最愛の后の身内だとはいえ、天皇経験者に危害を加えた者を許すわけにはいきません。

定子は、兄弟の不祥事により内裏を出ることに。
これには諸説あります。一条天皇から内裏を去るように言われたように描かれていました。
しかし通説では、「一条天皇は定子を引き続きそばに置きたかったものの、いたたまれなくなった定子が去った」と言われています。

これは意図しての演出である気がします。
貞観政要を読んでいるという描写から、一条天皇は民を大切にし、情にほだされず判断するという姿勢がいかに大切かということをよく考えているはずです。
藤原の言いなりにならない、賢帝としての一条天皇が描かれています。

2.為時の官職は?


さて、10年ぶりに位を得たまひろの父・為時。希望通り、淡路守に任官されます。越前守は、別の貴族の手に。
しかしこの人は漢文が苦手なようです。
宋人の対応をしなければいけない越前守には力不足ではないか?と推薦した詮子も道長も渋い顔をします。

ここで、まひろPが父をプロデュースします。
為時のふりをして漢詩を送るまひろ。その筆跡が、道長の目にとまります。
かつてまひろに送った漢詩に書かれた「為」の字と、「為時」の署名の字がぴったり一致しました。筆跡鑑定士1級だよ。

この手紙を見てなんとも言えない表情をする道長。御簾越しに、「殿」と呼ぶ倫子が聞こえてドキリとしました。

そんなこんなで、為時(まひろ)の漢詩の才能(と、道長のソウルメイト力)で為時は越前守の座に就任したのでした。

3.呪詛をしたのはだれ?


調子が悪いと寝込んでいる詮子。倫子が屋敷を調べさせると、たくさんの呪符が。状況的に、伊周が詮子と道長を呪詛しているのだろうと疑いをかけられます。
あっ…二年前によく見た展開…。

「呪い」でそんな大げさな、と思われそうですが、平安時代の感覚でいえばテロ計画を立てていたようなものです。さらに、臣下がやってはいけないとされる「大元帥法」(儀式?)を行ってしまったことで、火に油を注ぐような展開になってしまいます。
花山院とのいざこざだけならまだしも、呪詛はあかん。

ちなみに呪詛は本当にやっていなかったようで、おそらく詮子の自作自演or倫子の策謀or出世したい斉信の策謀orみんなの策謀
などなど色々な解釈ができました。

夜間、内裏に忍びこんだ定子さま。一条天皇に、「兄と弟の罰を、軽くして下さいませ。お情けを」と慈悲を乞います。
無言の一条天皇。定子への愛と、為政者として毅然とした判断を下さなければならない理性との板挟み。

定子は全てを察して、「下がります。お健やかに」と別れを告げようとします。でもここで呼び止めて、定子を抱きしめる一条天皇…切ない…。
結局、伊周は太宰権帥、隆家は出雲へと配流されます。

4.中宮様は、なすすべなく

処分が下る当日。藤原実資が率いる検非違使の一団がお迎え(意味深)に上がります。
すんなり出頭する、諦めの良い隆家。
「お健やかに」と、爽やかに、でもちょっと申し訳なさそうな顔で別れを告げる隆家。君が始めた物語だよ。
つくづく君は、生まれる時代が200年早かった。「鎌倉殿」の時代ならそこそこいい線行ったと思うのに。

しかし伊周は出頭を断固拒否。定子が、「帝のお沙汰に従って下さい」と懇願しても聞く耳を持ちません。
とはいえ、藤原実資はその帝の命によって来ているわけで。

進退ここに極まった定子さま。検非違使団の一人から短刀を奪い取り、
自らの手で御髪を切り落としました。

現代人からすると、「たかが髪を切ったくらいで」と思ってしまいますが、平安時代においては長く豊かな黒髪は女性の象徴であり、まさに「女の命」であったわけです。それを切るということは、社会的に自分を抹殺することと同義。

自害しなかったのか?という疑問についてですが、帝の后のように身分の高い人は自ら命を絶つことはありえないのです。やってはいけないこと。
だからあの場での断髪=出家は、定子さまにとってほぼ命がけの抵抗に等しい行動だったわけです。

どうして??定子さまは何も悪くないじゃないか!
定子さま推し筆者、無事召されました。

そして次回予告!!!
ついに越前編が始まりますね。
このタイミングで、「春はあけぼの」が来ますか!
しかも定子さまと清少納言、二人で音読している。
そうか…リアルタイムで栄華を描くのではなく、定子たちが没落した後に、その輝かしい時代を忘れないために、定子の名誉を守るために清少納言は筆を執る。

たしかに定子のように政争に敗れた側の人って、帝をたぶらかした悪女(例:藤原薬子)として描かれるか、すごく悲運の姫君として描かれるかのどちらかでしょう。
「そうはさせるものか。私の使えた主人は、美しくて聡明で優しく、こんなに素敵な方だったのよ」と、オタクの(物書きの)矜持が炸裂するのでしょうか。

書かずにはいられない女たち。
道綱母は妾の悲しみを癒やすために「蜻蛉日記」を、清少納言(ききょう)は主人の名誉を守るために「枕草子」を書く。
では、まひろを「源氏物語」執筆に向かわせるエネルギーとは一体何になるのでしょう。

すごい。「春はあけぼの」で泣く限界オタクになる日が近い。
来週はタオルを装備して見なければ。



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