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浅はかでした。

浅はかだった。

僕が稀人ハンターとして活動するのは、ドラマ『JIN−仁−』の坂本龍馬のセリフ「死んでいった人たちがまた生まれてきたいと思う国にすること」「正直に生きてきた人たちが、笑って暮らせる世にすること」に胸を撃ち抜かれて、自分もこういう社会の実現に貢献したいと強く思ったからだ。

この話はあちこちでしてきたのだけど、もし「具体的にはどういう社会なんですか?」と問われたら、モゴモゴ口ごもっただろう。今の今まで、理想だけがあり、具体がないことに気づいていなかった。

こころが折れそうになったとき』(上原隆著)を読んでいたら、その具体となる言葉が記されていて、「これだ!」と脳みそが沸騰した。

この本の最終章で、大正から平成まで生きた哲学者、市井三郎が紹介されている。彼は国の発展の指標であるGNP(国民総生産)やブータン発祥のGMH(国民総幸福量)のような「人間にとって良いもの」を国家の評価軸にするのではなく、「苦痛の量の軽減」を尺度にしたらどうかと考えた。

「人間社会のすべての成員が、自分の責任を問われる必要のないことから課される苦痛を、できる限り減らそう」(『思想の冒険―社会と変化の新しいパラダイム』)

例えば肌の色、国籍、出自などは自分ではどうしようもないことだ。そういうことが理由で強いられる「不条理な苦痛」をできる限り減らすことを評価軸、そして目標に据えた国や自治体があったらどうだろう?

少子高齢化、人口減少が急速に進むなか、それでも強引に経済成長を目指す社会は、すでに限界を露呈している。それよりも、「人間社会のすべての成員が、自分の責任を問われる必要のないことから課される苦痛を、できる限り減らす」方向性に希望を感じるのは僕だけ?


本ってすごいなあ。一冊の本が、僕の目標に新たな指標を与えてくれた。これから、具体的には?と聞かれたら、市井三郎さんの話をしよう。あ、市井さんの本を読まなきゃ。

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