尊きもの

↓物語の朗読です。下記に続く文字を目で追いながら、聞いていただくのも良いかもです。

 ある男が旅に出た。
 大きな夢を見つけるため。広い世界を知るため。強くなるため。

 男は貧しい国を訪れた。人々は満腹になるほどの食事をしたことがなかった。それでも空腹の男に食べ物を分けてくれた。

 男は裕福な国を訪れた。国の資産があるので、国民は皆、生活を保障されているため穏やかに暮らしていた。男はその安らかさに退屈を覚えた。

 男はビジネスチャンスに溢れる国を訪れた。やる気さえあれば一攫千金も夢じゃない。男は思った。ここで稼いだ金で貧しい国の人々を助けよう。
 それは旅を通して見つけた大きな夢だった。

 男はがむしゃらに働いた。おもしろいほど金が入ってきた。
 金持ちになった男のもとには人が集まってきた。更なる金儲けを持ちかけてくる者が多かった。中には犯罪まがいの話もあった。

 男は稼いだ金を携えて貧しい国を再び訪ねた。男は気付かなかったが、そこには美しい精神があった。人々は少ない食料を分け合い、充分な収入は得られなくても労働できることに感謝し、治療を受けられず逝く魂に敬意を捧げていた。

 権力と金を得た男は傲慢になっていた。貧しい人々に金を与え、悦に入った。
 人々は最初は戸惑い、そして喜び、もっと金持ちになりたいという欲が生まれ争いが始まった。

 得れば、失う。
 大切なのはなんなのか。しあわせとはなんなのか。
 得たものは失ったものより尊いものだったのか。

Copyright(C) MOON VILLAGE. All rights reserved.

↓曲とコラボしている、紙芝居風動画です。よろしければ、ご覧ください☆

https://youtu.be/tkWbEITzlOw

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

ご覧いただき、ありがとうございます!楽しんでいただけたら、スキしてもらえると、テンション上がります♡

ありがとうございます!ステキな日々をお過ごしください♡
3

mari

つきのむら

自作短編小説です
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。