『愛は光にみちて』短編7/7 #海を渡る蝶
シスターは目路に熄えた恋人を見送りつづける、そんなうるんだ瞳を私にむけた。
私はといえば、昔話しに聞き旧した〝木の葉にかわった小判の話し〟を思いうかべていた。が、彼女のくれたあつい眼差しは私の蛇足を咽元で押しとどめ、揶揄することを宥さなかった。修女は物語の第二幕を語りはじめた。
#海を渡る蝶
その夜のこと。いつものように賑わう酒場のなかに、いつもとようすのちがうひとりの男がいた。男はうつろな目で、悪夢にうなされる譫言のように、おなじ話しをくり返していた。男は漁師