見出し画像

「苑」と「円」を通じて育まれる「縁」

日本の焼肉店で多く目にする「苑(えん)」という屋号は、深い意味を持っています。この漢字は、広々とした庭園や公園のように、人々が集まり、楽しく素敵な時間を共有する場所であることを示唆しています。「苑」を冠する場所は、人と人との「縁(えん)」を結び、深める場所ともいえるでしょう。

こうした「縁」の形成において、アルコールは昔から効果的な役割を果たしてきました。とくにワインは、その豊かな香りと味わいで、世界中の多くの地域で親しまれ、食事の楽しみをいっそう高めるとともに、相手との距離を縮める役割も担っています。

きょうはとりわけ良質のホルモンが入っていると、オーナーが合わせてくださったのが「ドメーヌ・ド・シュヴァリエ2013」。葉巻、甘草、ジビエの香りに、ピリッと黒コショウのアクセント香。シルクのようななめらかな舌触り、丸みを帯びたやわらかい果実味が特徴です。ホルモンのなかでも、とりわけ「心臓」の凝縮感ある牛の旨味と絶妙に調和します。

今夜の焼肉店が良質な炭とともにこだわるのが、まあるい「円(えん)」形状の網です。肉の旨味とやさしいタンニンが互いを引き立てあうように、ワインとのペアリングもまた友人との関係性をより深い「縁」へと昇華させてくれました。「苑」がもつ文化的な意味合いと「円」がもつ物理的な形状は、「縁」を育むために重要なファクターかもしれない、そんな哲学的なことを考えながら、今宵も美味しいお肉を頬張っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?