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所有者の人柄がオールドヴィンテージに反映される

オールドヴィンテージワインは、まるで時代を超えて受け継がれるような〝文化遺産〟としての役割を担います。とくに、今回抜栓したシャトー・カロン・セギュールのヴィンテージは、90年以上もの時を経てなお、経験豊かなソムリエさえも驚嘆させるほどの素晴らしい状態。その滑らかで深みのある味わい、優雅な香りは、まさに極上のベルベットのようでした。

希少性が高く、とても貴重なワインが今宵のレストランにもたらされたのは、かつてこの店を愛した常連客の遺品としてだそうです。ワインの「熟成」に魅了された彼は、ワインと誠実に向き合い、ワインと毎日〝対話する〟ワインコレクターとして知られていました。その彼が愛してやまない1933年のシャトー・カロン・セギュールは、瓶を丁寧にラップで保護し、新聞紙で光から守り、最適な温度(約13度)と湿度(約70%)を保つ地下セラーで、長い年月をかけて大切に保存されていたといいます。モノの本質を理解し、モノを大切にする姿勢は、おのずと人への優しさへとつながります。

優しく、力強い味わい「シャトー・カロン・セギュール1933」を通して、故人の人柄とその生き方に触れたような気がします。もし前オーナーが健在で、今このワインを飲んだら彼はどのようなコメントを発したのだろうかと想像を膨らませながら、今夜はエゾ鹿との絶妙なマリアージュを楽しんでいます🍽️✨

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