ネガティブ感情への対処法
ネガティブ感情は避けられない
よく多くの自己啓発本などで、
「ポジティブに考えることが大切。ポジティブな考えがポジティブな出来事を招き、人生がポジティブになる。」
と書かれているのを目にすることがよくあります。
しかし、「では、どうやって?」という肝心なところを解説した本は今まで目にしたことがありません。
ネガティブ感情というのは、要するに「心地良くない感情」、「出来る限り感じたくない感情」のことです。
誰しもネガティブな感情など感じたいわけがなく、できればいつでもポジティブな感情、つまり「心地良い感情」に浸っていたいと感じるものです。
しかしながら、ご存じのように、今の人間社会で生きている限り、感じたくないネガティブ感情を抱いて苦しんでしまうことは避けられません。
特に、私たち人間の潜在意識には、「罪悪感」や「無価値観」といった、自我による思い込みが根差しており、これらの思い込みが、さらには漠然とした「恐れ」や「不安」、「自己否定感」といったネガティブ感情を生み出しやすくなっています。
そして、社会自体がこの自我によって創り出された「恐れ」などのネガティブな思い込みをベースにして作られているわけですから、そういった社会の中で生きていると、どうしてもネガティブな思いや感情に意識が傾かざるを得ないわけです。
例えば、
「将来、お金が足りなくなったらどうしよう・・・」
「将来、戦争で生きていけなくなったらどうしよう・・・」
「将来、仕事が見つからなかったらどうしよう・・・」
「将来、会社をクビになったらどうしよう・・・」
といった感じで、今起きてもないことを頭で「妄想して」苦しんでしまうことは誰にでもあると思います。
ポジティブシンキングについて
では、ネガティブな感情に一生悩まされて生きていくしかないのかというと、そういうわけではありません。
どうせ同じ生きるのなら、できるだけネガティブな感情に翻弄されずに生きたいと思いませんか?
昔からよくある「ポジティブシンキング」というのは、ネガティブな気持ちに陥ったときに、ポジティブなことを意識することで考え方をポジティブにしましょう、という考え方ですが、これが常にうまくいくわけではないのは皆さんであればとっくの昔に承知のことだと思います。
だからと言って、あえてポジティブな意識転換をすることに全く意味が無いかというと、決してそういうことはありません。
例えば、
・生活習慣が乱れてしまって心身が不調になったことで、自己否定に陥るのではなく、代わりに、
「よし、明日から生活習慣を整えるために毎日少しずつジョギングするようにしよう。」
・高い税金の支払い請求書が来て不安な感情を抱いてしまったときに、
「私にはこの高い税金を支払うことが出来る豊かさがある。」
・職場の上司や同僚から非難されたと感じて落ち込んだときに、
「彼らのおかげで自分の思い込みの傾向を知ることができた。」
といった感じで、一見ネガティブな感情を生じさせるような出来事が起きたときに、それらの事象をポジティブに捉え直すことで、気持ちが前向きになるのはとても良いことです。
ただ、忘れてはならないのは、
無理してポジティブシンキングをすることで、本音からのネガティブな感情を抑圧してしまう危険性がある
ということです。
ネガティブな感情への対処法
大切なのは、ポジティブ、ネガティブに関係なく、
自分自身の本音の感情を素直に感じてあげる
ことです。
ネガティブな感情は感じたくないので、アルコールでごまかしたりして抑圧してしまうのは長い目で見てよくありません。
抑圧されたネガティブな感情は、いつか必ず何らかの拍子で現れてきてあなたを内面から苦しめることになります。
そのとき生じたネガティブな感情は、そのときに処理してしまいましょう。
では、どうするかというと、
不快な身体感覚に全意識を向けて感じてあげる
ことです。
例えば、会社で上司に怒られて、「悲しみ」や「怒り」、「自己否定感」などのネガティブな感情が出てきたときは、それらの感情に伴って生じる不快な身体感覚に意識を向けて感じてあげるのです。
上の例で言うと、
・胃の辺りが締め付けられるような感覚
・のどに重い鉛が詰まったような感覚
・胸が苦しくて心臓の鼓動が激しくなっている感覚
・頭の後頭部から胃の辺りにかけてジワ~と広がる全体的な不快感
などが感じられるかもしれません。
これらの不快感に「怒り」や「悲しみ」といった言葉でラベル張りすることなく、ただただ身体感覚に注意を向けてあげるのです。
感情というのは、感じて欲しくて出てきているので、充分感じてあげましょう。
身体感覚を感じたからといってすぐにネガティブな感情が消え去ったり、不快な身体感覚が無くなったりすることはありません。
短くても数時間はかかるでしょうし、場合によっては数日間要するかもしれません。
最初はかなり根気のいる作業かもしれませんが、慣れてくると、不快な身体感覚を感じてあげながらも、本を読んだりPCで作業をしたり、いろいろな作業を行うことができるようになります。
不快な身体感覚を意識的に感じてあげるということが習慣的にできるようになると、人生がとても楽になってきます。
究極的には、ネガティブだから悪い、ポジティブだから良い、ということは人間が勝手に決めたことで、どちらも完全な中立で良い悪いもありません。
ただ、これまでは、あまりにもポジティブ信仰みたいなのが強く、ネガティブな感情は排除すべき憎いもの、という思い込みを持ってしまう傾向があったように思われます。
しかし、ネガティブもポジティブも人間が勝手に決めたことで、本来は全ての感情が必要なものです。
ですので、まずはその時その時のありのままの自分を素直に感じてあげることを意識して生きてみるようにしてみましょう。
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