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リカレント教育が身近になってることを示唆するニュースまとめ

「リカレント教育」っていうけど、今更大学院に行くわけでもないし、自分には関係ない話だ、と感じている人も多いのではないでしょうか。でも、実はリカレント教育はヒタヒタとあなたの身近に来ているかもしれない。そんなことを感じさせるニュースを独断と偏見で選んでご紹介します。

企業が社員の次のキャリアをサポートする時代:Amazonの事例

ここ数ヶ月で一番印象的だったのはこのニュース。これ、ある意味では「リストラ」のニュースだと思うんですね。すごいスピードでオペレーションを進化させ続けるAmazonで、あるポジションがなくなってしまい(この場合は荷物の仕分け・配達作業などがロボットでディスラプトされることが示唆されている)大量の働く人の再配置が課題になる。その人々をただレイオフするのではなく、足りていない職種への転換をサポートするための学習支援(しかも学んだ後一定の数は社外に出てしまうことも許容)というのは非常に象徴的な事例だと思います。今後広がっていくといいなと個人的には思います。

大人の学び直しに必要なこととは

この記事の主旨とは違いますが「11月26日に首相官邸で行われた就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォームで、安倍晋三首相はかねてより推進するリカレント教育の重要性について言及した。」という点が言及されています。安倍首相はよく理カレント教育について言及しますね。

こちらの記事では大人の学び直しに必要なことは「目的や課題設定を自ら行い、進む道筋を探りながら進んでいく探索的な学びをおこし、いかにそれを持続させるかということ」ではないかと提言されています。これについては異論ないのですが、学び直しをする、しないが完全に「自己責任」になるのも少し違うかなと。背中を押すという意味で、上記のAmazonのように「こういうことを学んでくれるとこういう可能性がひらけます」と、企業側からもイニシアティブがあるのは良いバランスだなと思っています。逆に、そこをうまくデザインしないと、消極的なボリュームゾーンが学んでみようと思うに至らないんじゃないかと。そこを今後も研究テーマにしたいなと改めて思います。

大学にとって企業が新しい顧客になる:上智大学の事例

社会人の学び直しのニーズを考えると既存の大学が持っている教育コースだけでは不十分、社会人が求めるようなコースの設計ニーズが出てくるだろう、とは思っていたのですが、そこをついて上智大学が攻めたプランを出してきたなと思いました。自らが持つ教育機能とブランドを背景に、企業に対してコースを組む権利を売りに出しています。企業側から大学に「社会人が食いつきそうなコースを売り込む」ケースが出るかな、と思ってましたが、逆でしたね。

「越境すること」学び方の広がり:電通とソフトバンクのケース

「越境すること」=自分が所属する場所から離れた場所で課題に取り組むことで、新しい学びを得て自分の普段の所属元に持ち帰る、というサイクル。これを実際に電通とソフトバンクという企業の間で行なっているケースの紹介。

面白いのが、この取り組みが始まったきっかけが「お互いにオフィスが汐留にあったから」というもの。(もちろんそれだけではないと思いますが)「インターネットに繋がっていればどこでも仕事ができる」という傾向とは逆に、「優秀な人同士で知を交換していくためにますます場所が重要になる」というパラドクスが続いていくのかなと感じさせられます。

実務家教員要請講座の整備、続々

社会人の学び直しを支援する上で、従来の教員だけではなく実務経験を持った教員が必要になる、ということで実務家教員養成のためのコースが各大学で検討され、文部科学省がそれにお墨付きを与える形で推進しているというニュース。この東北大学の件だけではなく各大学が採用をニュースにしています。

今後の予想としては「キャリアのゴール付近に先生としてのキャリアを入れる」というのが一つの主流になるというのがあり得るのではないかと思っています。そこから逆算して「教員ポストにスライドしやすいからこの職務経験を積んどこう」という人が出てくるかもしれないし、一方で今の昇進要件である「マネジメント」の力だけでなく、「知を体系化して他人を育成する」力がより企業内で評価されてくる可能性もあるのではと。(でも、それって結局マネジメント力に含まれるのかもしれませんが。)

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