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大熊由紀子著、『 誇り・味方・居場所ー私の社会保証論』を読んで

半世紀以上に渡る福祉医療ジャーナリスト生活の中で、伝統的な社会保障学とは一線を画する手法と活動を実践してきた著者が送る珠玉の提言の数々です。

思わず一気読みしてしまいました。

ジャーナリストとしての最初の仕事は、2000年には、100万人になると言われていた寝たきり老人問題に取り組み、

「寝たきり老人」は、「寝かせきりにされた犠牲者」だった、

と、発見したことだったそうてす。

なんとか、問題解決の糸口を見つけようと、高齢化の進んだ北欧、西欧の国々を訪ねたところ、日本なら、施設や病院で寝巻き姿で横たわっているような重い障害のある人たちが、おしゃれをし、車イスに乗って、思い思いに自宅での暮らしや外出を楽しんでいたそうです。しかも独り暮らしの方もです。

そこで、著者は、休日になると貯金を下ろして高齢化先進国を訪ね、その訳をつきとめようとしたのだとか。

そして、

24時間対応のホームヘルパー、

福祉と医療を繋ぐ司令塔のような訪問ナース、

車イスや自助具をからだに合わせて貸し出すシステム、

国民全員が持っている「家庭医という名の専門医」の気軽な往診と病院との連携、

自宅での死を支援するシステム、

そして、納めた税金が、住民サービスとして必ず戻ってくるという政治・行政への信頼感

等の秘密にたどり着いたそうです。

そして1989年秋には、

朝日新聞主催のシンポジウム「寝かせきりゼロへの挑戦」を企画。

そこからは、まさに 前例とか、背景とかにこだわらず、あるべき姿を訴え続け、同じ志の方達と変革を発信し続けてこられたそうです。

「前例や制度は、越えるために存在するもの」

「倫理は、想像力と度胸に裏打ちされてこそ価値がある」

だからこそ、これが読者のみなさんに、お伝えしたいことだそうです。

まだまだ盛りだくさんの本なのですが、

いちばん印象的だったのは、

ご自身のお母様のケアの体験から、

真の社会保障とは、人間にとって最も大切な、『誇り・味方・居場所』を保障することだ

と言い切られているところでした。

社会保障なんていうと難しそうですが、

明日は我が身の問題ばかりで、ついつい読んでしまいました。

たまには、こんな本読んでみるのもよいのではないでしょうか!?








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