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シュタイナー教員養成コース 【養成コースのカリキュラム】

9月から始まった教員養成コースは興味深いことばかりで、正直消化しきれないほどの濃い日々を送っています。
年末に日本へ一時帰国後、1月はドイツ国内のWaldorf学校で教育実習を4週間を行い、気がついたら3月になっていました。
シュタイナーは「すべての教育は自己教育である」と述べていますが、本当に多くのことを吸収、内省、アウトプットする日々です。

養成コースのカリキュラムは下記の通りで、シュタイナー学校の時間割と同様、まとまって授業が組まれています。
1時間目は基礎講座、2ー3時間目はカリキュラムといったように、一週間ずっと同じ科目を同じ時間に集中的に学んでいます。

【1年目】
午前中:
・人智学(アントロポゾフィー)の基礎講座・・・シュタイナーの『神智学』や『教育の基礎としての一般人間学』をじっくり読み議論する時間
・教授法・・・シュタイナー学校のカリキュラム、ストーリーテリング、算数、植物学、文化史について
・芸術の導入方法・・・音楽、フォルメン(線を描くこと)、リズミカルワーク、オイリュトミー、彫刻、スピーチについて

午後:
・専門科目・・・英語、手仕事、ガーデニング、音楽、体育他

4週間の教育実習(1回目の実習)
・課題は、実習先で日、週、月の学校のリズムを学び、2人の子供を徹底的に観察すること

シュタイナー教育はオーストリア生まれの思想家ルドルフ・シュタイナーの人間観に基づき、ドイツで生まれた教育方法です。そのため、シュタイナー教育を実践する上で、シュタイナーの人間観(人智学=アントロポゾフィー)を知ることは基礎となります。
一方でシュタイナーの思想は一般的な教養でさらさらと読める本ではありません。西洋だけでなく、東洋、他地域の哲学・歴史・文化・神話等、多くを知る必要があります。

今後私が取り組んでいきたいのは(私自身の消化にまだまだ時間がかかりますが)、シュタイナー教育の背景や本質を、シュタイナー独自のアントロポゾフィー単語を使わずに、伝えていくことです。シュタイナーが提唱していたものは、決してアントロポゾフィーの世界観を理解する人だけに留める閉鎖的なものではなく、人類全体へのものだからです。

教員養成コースで必修のシュタイナー本『教育の基礎としての一般人間学』 (原著Allgemeine Menschenkunde als Grundlage der Pädagogik (GA 293))は、1919年にドイツで初めて開校される際に、シュタイナーがその学校の教師になる人々に対して行ったスピーチを、書き起こしたものです。
内容は非常に濃く重要なものですが、シュタイナーが生きていた当時の時代背景や、価値観は現在と全く同じではありません。

そのギャップを埋めるため(?)、英語翻訳が数年前に出版されました。
最新の英語翻訳本は、2019年に編集されたMargot M. Saar氏の The first Teachers' Course Anthropological Foundations, Methods of Teaching, Practical Discussionsですが、1996年の翻訳本The Foundations of Human Experienceとは表現が大きく異なります。また、100年前には"常識"だった内容でも、現代では差別的と捉えられかねない部分等は、削除されています。

シュタイナーの言葉を一言一句忠実に訳すことが重要だという意見ももちろんあり、賛否両論あると思います。訳された時点で翻訳者のフィルターが入るため、ドイツ語の原著を読むことが大前提だとは思いますが。。

これから少しずつ授業の内容をNoteにまとめていきたいと思います。

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