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今更だけど語りたい、「おかえりモネ」の魅力。


妊娠、出産を経て、子育てが始まって早3ヶ月。やっと暮らしにゆとりが持てるようになってきた。

色々と振り返りたいことはあるのだけれど、どうしても語りたいことがひとつ。この10月まで放送されていた朝ドラ「おかえりモネ」だ。

私の出産、そして子育て中の一番の楽しみであり、癒しの時間であった朝ドラ。「おかえりモネ」とともに乗り越えたと言っても過言ではない。

地元宮城県を舞台にしたドラマということもあり、始まる前から楽しみにしていたけれど、見始めてみると、想像を超えるその魅力に魅了された。

ドラマの雰囲気や、物事に対する価値観や考え方がすごく自分と近くて、頷きながら見ることも多かった。

そんなドラマの魅力を私なりの視点で語ってみたいと思う。まとまりがなくて、かなり長編になっていますが、もしよければご覧ください。

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①他の朝ドラと一線を画す「静」の物語

朝ドラといえば、日本を元気を届けるような、元気でおてんばな主人公が、周りを巻き込み動いていくような明るい物語や、逆境を跳ね除けて頑張るような物語をイメージすることが多いだろう。

勇気をもらえて、わかりやすいストーリーにはなるのだが、実は私は少し苦手にしている部分もあった。

でも「おかえりモネ」は違う。朝ドラらしい爽やかさはあるが、決して明るいだけではない。なんとなく始まった頃から、ドラマ全体の雰囲気が静かで落ち着いていて、でも凛としていて厳かな雰囲気を放っていた。

主人公をはじめ、登場人物は皆、見えない過去の傷を抱えている。それでもそれぞれが、少しずつゆっくりと前に進んでいく姿を、静かに見届けるような物語になっている。 

一見、暗くも捉えられる物語だが、でも確かな熱を感じられる物語。なんとも抽象的なのだが、その独特なこのドラマの雰囲気が私がすごく好きだった。

②物語を通して伝える震災の記憶

「おかえりモネ」の物語には、東日本大震災が大きく関わっている。震災の話がドラマに組み込まれるのは、ここ最近は珍しくなくなったが、少しドラマチックすぎたり、あっさりと描かれすぎたりしていることも多いと個人的には感じていた。

でもこの物語では、震災をストーリーとしてしっかり組み込み、中身の濃い物語を作りながらも、震災自体をとてもリアルに描いていて、震災について改めて考えるきっかけをくれたと感じている。そのバランスが非常に素晴らしいと思った。

震災から10年。宮城県出身でわずかではあるが震災を経験した身としては、そのことがすごくありがたいと感じた。

③感じる自然への尊敬の念

初めて「おかえりモネ」を観た時に感じたのが、自然の美しさを表現しているということだった。オープニングや冒頭のシーンで、地元である宮城県の海や山の美しさを切り取ってくれていることがとても嬉しかったのを覚えている。

そしてそれだけでなく、物語全体として、自然に対する尊敬の念を表現していることを感じた。特に登米編では、森林組合のサヤカさんを通じて、自然と共に生きる姿、自然と人間の共存のあり方のようなものを見られた気がする。

自然は時に怖いけれど、でも素敵なものをたくさん与えてくれる。私は学生時代、農村について研究していた時期があったので、自然への尊敬の念は持ち続けてきた。それをドラマを通じて、こんなに表現してくれたことがとても嬉しかった。

④地方の新たな捉え方

普段の朝ドラだと、地方に住む主人公が、夢を見つけて東京に出て、そこで飛躍していく姿を描くことが多い印象があった。しかし、「おかえりモネ」では、主人公のモネは、ずっと地元の力になりたいという思いを持ち続け、東京に出た後、帰ってくる選択をする。

地域、地方への物語を、ここまでクローズアップした朝ドラは今まであまりなかった気がする。(あまちゃんぐらいかな?)

しかし地方移住など、地方の魅力に気づき、住まいを移す人が増えている今この時だからこそ、この物語は胸に刺さるものがあると思うし、時代を先駆けている気がした。

そして、モネの地域への熱い思いは、まるで学生時代の自分を見ているようで、ぐっときた部分も多かった。地方では、顔の見える小さな世界になるからこそ、あの人のためにという思いで動くことができる。 

そして亀島の人たちはしぶとい、というシーンにも共感した。離島や過疎地と呼ばれる地域は、なんとなく弱いイメージ、助ける存在として捉える人が多いだろう。でも、実はそんなことはない。私たちが逆に教わることがたくさんあるぐらい、元気をもらえるぐらい、明るくて、賑やかで、しぶといのだ。それは、学生時代の経験から、ずっと私が思ってきたことだった。

だから、それを描いてくれたこの物語の脚本には思わず唸ってしまった。これがどれだけの人に伝わるかわからないが、そういう思いをわかって、伝えようとしてくれる人がいることが嬉しかったし、私自身、久々にそういう感覚を思い出せてよかった。

しかし一方で、地方に住むことを全面的に肯定しているかと言えば、そうではない。ちゃんとすーちゃんのような、地元を離れて東京で生きるごく普通の子を描き、りょーちんみたいに地元に残り苦労をしている人を描く。そして、モネもすぐに地元に受け入れられるわけではない。それがすごくリアルだと思った。そして、この誰もが間違ってるわけじゃないこと。色んな人の視点に立って、誰も取り残さず、多様性をきちんと描く。そんな脚本には本当に脱帽した。

⑤お仕事ドラマとしても楽しめる

東京編になってからは、海や山といった自然と離れてしまい、全然別物になってしまうかと心配していた。しかし気象報道という世界で、スピード感とリアルな仕事風景を知ることができてとても楽しんで見ている。

個人的な話になるけれど、大学の時は関わっていた地域コンサルタントのような仕事に少し懐かしさを覚えた。フリーで地方を飛び回ったり、事象を科学的に検証してパワーポイントでまとめたり。大学時代の研究やアルバイトをしていた頃の感覚を思い出した。そして、モネがキラキラしてて羨ましく思ったり。やっぱり大変でも、好きな仕事をするのは楽しいんだな。

⑥モネ×菅波先生のむずキュン

今までのように、静かで少しシリアスな感じもある「おかえりモネ」だが、その中で描かれる恋愛模様も、すごく好きだった。なんといってもモネと菅波先生の関係性がすごくいい。個人的には、最初から菅波先生のキャラはいいなぁと思っていたのだけれど、気がつくと、世の中でブームが巻き起こっていて驚いた。

普通、物語の相手役だと爽やかだったり、明るい性格の人が多い印象だが、菅波先生は違う。キャラはかなり掴みにくいし、面倒くさい。でも時折見える優しさにキュンとして。あの不器用な優しさは、ずるいなぁ。しかもそれを演じている坂口健太郎がハマり役だなぁと思ったり。

モネも2人とも奥手だから全然進まない恋模様にむずむずして、これがいわゆるむずキュンかと一人で納得してたり。そこら辺の少女漫画とか恋愛ドラマよりキュンキュンしたなぁ。

でも、好きとか、愛してるというわかりやすい言葉を使わないで、リアルな恋愛模様が素敵でした。そして、結婚とか距離とかに囚われない新しい愛の形を知ることもできて、学ぶことも多かったです。

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と、「おかえりモネ」の魅力を語っていたら、かなりの文字数になってしまいました。最後まで読んでくれた人いたかな?笑

自分の学生時代にも、ついつい思いを馳せてしまいました。懐かしいなぁ。

地域の力になりたい。それは、私がずっと思ってきたことだけれど、今はだいぶ離れてしまっています。

でも、それでもいいのかな、とも思います。

もしかしたら、今は別のところに目を向けているだけかもしれないし、いずれまたそこに心が向く時がくるのかもしれない。いずれにしても、今までの経験や思いがなくなることはなくて、芽生えた気持ちはずっと胸の奥にある。

だから、今は目の前にいる大好きな家族と一緒に過ごす時間を大切に。この日々を目一杯愛して、過ごしていこうと思います。

では、長くなりましたがこの辺で。