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うちで握ろう

春だ。新入社員の季節だ。
職業柄なのか、新しい人がくると自己紹介のときに「ハマってること」を教えてくれる。
今ハマってるマンガとかゲームとかカップリングとか。フロアは大盛り上がりで、さっそく同志があつまりランチの予定などをたてたりする。

・・・誰かわたしにも聞いてほしいな。いまハマってること、好きなこと。
転職してもう半年以上。私の旬ジャンルを聞いてくれるひとは、もういない。

でも聞いて!私のこと!!
どうにももてあました承認欲求で今、キーボードをたたく指が止まらない。

いま私がはまってること、それは「おにぎり」。


🍙
↑コレ。


ここ3か月くらい平行線の、プラスマイナス500gを刻むダイエットをしている。
お昼ご飯になんとなく気を遣って、コンビニで済ませる時はパンとか麺類をやめておにぎりを買うことにした。
久しぶりにおにぎりを食べたら、なんだか美味しくてやさしくて、ドはまりしてしまった。

コンビニのおにぎりは素敵すぎる。気づいたら新しい味が棚に並んでいるのが楽しい。
108円の安いものから、298円する高級なものまでバラエティも豊か。

学生のときは安くて肉っぽいからシーチキンマヨしか食べなかったけど、社会人になってからは違う。

今は、ビニールパッケージのおにぎり以外も買えるのだ。
美味しそうな具の物撮り写真が彩度高めに印刷されて、表面がざらりとした和紙っぽい質感のパッケージおにぎり。これはひとつ250円以上する。でも私は社会人なので買える。

もちろんいまでもシーチキンマヨは大好き。でも鮭ハラミ(298円)はもっと好き。

最近は昼にぎり、おやつにぎり、夜にぎり。にぎり尽くしの毎日だ。
そんなに毎日食べるなら自分でにぎれば好きなときに食べられるじゃん!と気づいて、毎朝せっせと握っている。おにぎり食べると頭も良くなるらしい。

ここ2週間くらい毎朝にぎにぎして、おいしいおにぎりの作り方が分かってきた。
まずお米を2合炊く。なんとなくの大きさにラップにわけておく。ここでちょっとにぎにぎして形を整えておくと後々楽だったりする。
半分くらい冷凍で、半分は冷蔵庫へ。

冷蔵庫のやつを使うときは1分チンする。アッチアチになるんだけど、ちょっと真ん中をホロホロさせて具をつめる。
だいたい私はツナマヨ。テンション上がる具で、ツナとマヨを和えるだけでいちばん楽だから。
そしたら手を濡らして、お塩をつけて、アッチアチのおにぎりをぎゅっぎゅっぎゅっとリズミカルに10秒くらいにぎる。海苔をまいて完成。
わざわざ書かなくても分かると思うけど、おにぎりのレシピにこれ以上もこれ以下もないと思う。
シンプルだからこそ素材と作り手の熟練度が光るのだ。

きれいな三角形にするには、手に力を入れすぎないのがコツだと思った。力を入れると、手の形や指の跡がついて不格好になってしまう。それを直すためにまたぺたぺた触るのはなんだか良くない気がする。

理想の三角形を思い描く。その底辺と角(つの)にやさしく手を添える。角に添えた手だけを動かして、コロッとご飯をころがす。ぎゅっ、ころ、ぎゅっ、ころ。リズムよく。

手についたお塩のざらっとした感じや、ごはんの熱で塩が染みこんでいく感じがすごくいい。「私がいま、ウマ味を浸透させてますからね」という感じがする。
ほどよい厚みで、丸っこい三角形。形の良いおにぎりほど美味しいのだ。


ふつうにご飯を食べるよりも、ちょっと握っただけなのになんでこんなにおいしくなるんだろう。
にぎれば愛着が湧く。かわいくて、おいしくて、おにぎりって無敵だ。

ところで、米を握ったものは2000年も前から日本で食べられていたらしい。もうDNAだ。遺伝子レベルでおにぎりが好きなんだ。
畑仕事をしながらおにぎりを食べたのだろうか、狩りの途中に草むらで一休みしながらかじっていたのだろうか。
何かをしながら片手で食べられて、そしてその中にちょっとしたおかずが入ってる。
勤勉で、工夫するのが上手な日本人の象徴みたいな食べものだ。

大好きだな~、おにぎり。いいよね、おにぎり。


おにぎり、ずっと日本にあってほしいな。
これからも先の楽しい日も悲しい日も、おにぎりの味は変わらないでいてほしいな。

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