パンダ・ダーン

ショートショート(短い小説)を載せていきます。 よろしくお願いします。

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最近の記事

虹色パンダ 第3話

 僕が引き込もって1ヶ月たった頃、枕元に突然、虹色の大きなパンダが現れた。 「ジェンシー、起きて!」  ヤンヤン…?どうして。僕は飛び起きた。 「ヤンヤン…、どうしてこんな色に…。」 「パンダが魔法を使えるようになると、こういう色になるの。」 「会いたかった。ヤンヤン、人間とパンダの戦争が始まろうとしてるんだ。気をつけて。」 「私は大丈夫。魔法が使えるから。  あなたとずっと一緒にいたくて良い方法を思い付いたの。でも…。」 「何?話して。僕もずっと一緒にいたいよ。」 「餃子の

    • 虹色パンダ 第2話

      「ジェンシー!」  森の奥から、僕を呼ぶ声が聞こえる。  大きくて丸くて可愛い、僕の大好きなヤンヤンだ。 「ヤンヤン、会いたかったよ。」  当時、18歳だった僕は相手が別の生き物でも、自分の好きと言う感情に抗えなかった。  ヤンヤンと抱き締め合っている時のモフモフが、堪らなく心地よかった。  ある日、父にこう言われた。 「お前とパンダが付き合っている事が村中に知れ渡っている!もう会うのはやめなさい!」  僕の父は凄く厳格な人だった。逆らえるはずもなく、ヤンヤンとは会えなくな

      •    虹色パンダ

         僕はこの前、中国の山奥へ旅行に行った。  そこには、少しおかしな伝説がある。  500年以上前、村のパンダの生存率が人の数を越えてしまって、人間がパンダを大量虐殺した為、空から虹色模様のパンダが降りてきて、人を餃子の中へ閉じ込めてしまったらしい。閉じ込められた人は、生涯を餃子の中で過ごさなければならないという…。  村の住人にその話を実際に聞きたいのだが、何日歩き続けても人が住んでいるような家が見つからない。やはり、皆パンダによって餃子の中に閉じ込められてしまったのか…。

        • Mr.CURRYMAN

           ここは、凄くこぢんまりとしたカレー屋さん。僕は、ここでカレーと呼ばれ、食べ物として毎日お皿に乗せられている。  よく来るお客さんがいるんだけど、時々凄く悲しそうな顔をしている。ある時は、ずっと泣いていた。  僕は、その娘を少し楽しい気持ちにさせたくて、神様に頼み込んで人間になった。  今日もその娘は店にやって来た。 「あれ、カレーは?」  悲しそうな顔から、涙が溢れそうになってきた。 「カレーは、食べちゃったんだ。ごめんね。お腹が空いててさ。」 「ひどい!私もお腹が空いて

        虹色パンダ 第3話

          「愛」って何?

          「お母さんが、今まで一番幸せだったのはどんな時?」 「里佳がお腹に入ってる時だね。初めての妊娠で不安だったけど、痛みを感じる度に何故か嬉しさが込み上げてきて不思議な感じだった。  妊娠する前まで、休みの日は釣りにばかり行ってたお父さんが、毎日お腹に耳を当てて話しかけたり、お掃除とか手伝ってくれたりして…。陣痛が起きて産まれてくるまでに、丸々2日かかったけど、その時が一番幸せだったなあ。」  私は、当時の事を思い出してそう答えた。 「何で?大変だったんじゃないの?」 「だって

          「愛」って何?

          カレー職人ルドク 第四話

           僕は、一人でインドからアメリカへ出てきて行くあてがない。仕方がないから、公園で野宿する事にした。寒くて、食べる物も無くて、お腹が空く感覚さえも分からなくなってしまった。  公園でホームレスになって、3ヶ月が経った頃、見覚えのある顔の人に声を掛けられた。「ルドク、こんな所で…。」 「店長…。」 「クビにして悪かったよ。まさか、どこも頼るあてが無いなんて思ってなくて…。今日は、お願いがあって声を掛けたんだ。ルドク、戻ってきてくれないか?」 「え…。」 「インド人のお客さんがな

          カレー職人ルドク 第四話

          カレー職人ルドク 第三話

           僕は早速、慣れない土地で働き始めた。  この店は幸い、インド人のお客さんが多いからヒンディー語が通じる。でも、アメリカ人のお客さんもそれと同じくらい多い。僕の英語は、アメリカ人のお客さんには思うように通じなかった。だから、料理の説明をしても上手く伝わらなかった。それに、お客さんの要望すらも上手く聞き取ることができなかった。だから、段々辛くなってきて何度も辞めたくなった。  それでも僕は、ここで働いているとお父さんが見てくれているような感じがして嬉しかった。  僕が作るカレー

          カレー職人ルドク 第三話

          カレー職人ルドク 第二話

           僕は、お父さんが亡くなった事を知って、何もする気がなくなってしまった。  これからきっと、もっと寒くなる。寒い時期は、カレーがよく売れる。お父さんに会えなくなって悲しいけれど、いつまでも落ち込んでばかりはいられない。  僕は、毎日カレーを売り続けた。春になったら、アメリカへ行って、お父さんが言っていたレストランで働いてみよう。上手くいくか分からないけれど、やってみなきゃ分からない。  春になって、僕は一人でアメリカへ行った。初めての土地で、もう何が何だか分からなかった。

          カレー職人ルドク 第二話

          カレー職人ルドク 第一話

           僕のお父さんは軍人さん。普段は、戦場に行っていて、一年に一回しか会えない。だから、いつも一人で街角でカレーを売って生活している。  僕は、アメリカ人とインド人のハーフだから目が青い。そのせいか分からないけど、あまり友達がいない。お母さんが唯一の話し相手だったけど、去年の夏に流行りの感染症で亡くなってしまった。  今日は、クリスマス。やっと、お父さんに会える。ずっとこの日を待ち望んでいた。  僕は、いつものように屋台の準備をしてカレーを売った。今日は、いつもより買ってくれ

          カレー職人ルドク 第一話

          R君の元カノ(4)

          「人間!羨ましすぎておかしくなったのか。そんな、別の人になんかならなくていいよ。 この鍋の中を見てごらん? もう少ししたら、君の未来が見えるから。 きっと、例の人に比べ物にならないくらい、君にふさわしい未来かもしれないよ。」妙なことを言う小豆だと思ったけど、私は半信半疑で鍋の中を覗いてみた。そこには、今と比べてさほど年を重ねていない私がウエディングドレスを着て、タキシードを着た男性とキスをしている場面が映し出されていた。 その人は、R君ではない。 でも、R君より私のタイプに近

          R君の元カノ(4)

          R君の元カノ(3)

          鍋から、黒い小人が出てきた。「おい!こんなにしょっぱい水で浸け置きしやがって!何考えてんだ、お前は!!!」 「お汁粉を作ろうと思って…。」「しょっぱい…。真水が好きなのに!なにこれ!?塩ではないな。」 「私の涙…。」「馬鹿じゃないの。食えたもんじゃない!全部涙?」 「うん…。」「弱虫な人間め…。何があったか分からんけど、どうしたんだよ。」 「(人間じゃないから言っても誰にもバレないか)好きな人の元カノになりたくて…。」「はあ?意味分からん。」 「私は、彼女になれなかったから。

          R君の元カノ(3)

          R君の元カノ(2)

          R君の元カノになりたい気持ちが大きくなればなる程、凄く苦しくなってきて、泣いてしまった。なぜか、涙が止まらなかった。私は、R君に選ばれなかったんだねえ…。あの娘は、R君に選ばれたけど…。どうしよう。涙を止めたいのに、止められなくなっちゃった。 床が水浸しになりそうだったから、私は涙を鍋に溜めることにした。鍋いっぱいに溜まったところで、涙は止まった。良かった…。身体中の水分がなくなるところだった。こんなに雪が降っている。今日はクリスマスかぁ。R君はまだ例の元カノと一緒の部屋にい

          R君の元カノ(2)

          クリスマスのミルクティー

          ここはオシャレなカフェ。 普段はこんなオシャレなカフェなんかにはいかない。 12月の特別な日、夫の仕事が遅く終わると言うので、ここで気分転換でもすることにした。 雪が降ってきて、少しロマンチックな気分になってきた。 ミルクティーを飲んでいると、身体が温かくなってきて、居眠りしてしまった。 なんか、凄く変な夢を見た。 私は、ミルクティーの湯船に浸かっていた。 そこから、紅茶の葉っぱの魔物が出てきた。 「おい!ちょっと聞いてくれよ! 何でまた牛乳と同じ湯に入れられるんだよ

          クリスマスのミルクティー

          R君の元カノ(1)

          「俺が毎日ご飯作ってあげてさ、仕事から帰ってきたら「ご飯まだなのー?」って。男と女が逆転してると思わん? 外食する時は、いつも決まって居酒屋。俺は定食屋が良いのに」 R君は運転しながら、元カノの話を1時間以上もしてきた。初めてのデート。夜のドライブ。 前の彼女の愚痴を聞かされてるのだけど、私はその人の事が羨ましくなった。 私はそんな風に、恋人に大事にされた事がないから。R君はその人と別れたばかりで、まだ同棲中なんだと言う。 この日は、長い時間ドライブして家の近くまで送ってもら

          R君の元カノ(1)

          野良猫

          私は、野良猫です。今年で3歳になります。 今日、若い女性が私のそばを通りかかりました。 なぜかとても寂しそうな顔をしています。 「どうしたの?どうしたの?」と心の中で呟きながらその女性の後を追いました。 目が合うと、「私も大事にされたいのに」とその女性の心の声が聞こえてきました。 ごめんなさい。私には、どうすることもできません。 でもあまりにも可哀想で、私は神様にお祈りしました。 「神様、私を3年間も生かせてくれてありがとうございます。食べ物をお腹いっぱい食べることができな

          やきもち焼き【中国語】※和訳付き

          爱吃酷我爱过的男生有时候对我说Z小姐的事情了。 “昨天和她一起去吃饭了。”“她很漂亮,但是不喜欢她。”等等。 有一天我觉得要成为Z小姐,所以去美容院烫直发。我得到油亮的头发。但是当天他和Z小姐一起去喝酒了。 我非常难过。 两个月后我和他分了手。 但是现在也要成为Z小姐。 ------------------------- ※和訳 私が大好きだった男は、時々私にZさんの話をした「昨日は彼女とご飯食べに行った」「彼女は綺麗だけど、好きではない」など。 ある日、私はZさんに

          やきもち焼き【中国語】※和訳付き