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「大丈夫だよ」ってことは、自分で決めなくていい

ここ数か月、手がずっと痒かった。

始まりは昨年12月ごろ。
手の皮が何か所もむけて、ささくれが痛くて、「冬は乾燥するなぁ」なんて思いながらハンドクリームをひたすら塗っていた。

でも、いつもの青い缶のクリームをいくら塗っても全然治らなくて、ドラッグストアで買った少し高いクリームを試してみたけど、「少し良くなるかな」ぐらいで、根本的には解決しなかった。

でも、痒いだけだし。痛いわけじゃないし。
まぁ、たまに痛くなる時はあるけど。
痒くて仕事に集中できないこともあるけど。
皮膚がむけすぎて血が出て、ばんそうこうを何枚も消費するけど。

でも、大丈夫でしょう。手だし。
別にお腹や頭が痛いとかじゃないし。

年齢的なこともあり、冬の乾燥がダイレクトにきているだけかな。
こまめにクリーム塗って、水分補給もきちんとすれば、そのうち治るさ。
大したことない。大丈夫――。

そう言い聞かせて過ごしていた。
だけど、私の手の痒みは、冬が終わって春が来て、梅雨入り宣言がされても全然治らなかった。

いくら何でもおかしいかな、と、次から次に出てくる手の湿疹(皮膚の下に気泡みたいなのがいくつもあって、翌日に皮膚を突き破って出てくる)を眺めていて、ようやく思うようになった。

思い切って、会社に年休申請して、皮膚科に行ってきたのが、6月後半のこと。

診察券を受付に出しながらも、「やっぱり大したことないんじゃないか。病院に来るほどでもなかったのではないか」と、来たことを少し後悔していた。

名前を呼ばれて診察室に入り、「今日はどうされましたか?」と若い女性のお医者さんに聞かれたときも、「手に湿疹みたいなものができて、痒いんです」と、少し申し訳ない気持ちで伝えて、手を見せた。

そしたら、私の手を見たそのお医者さんが、
「まぁ! これは大変でしたね」
と少し驚いたのだった。

そして、私の手をじっくり見て、向けた皮や湿疹の近くをピンセットで取って顕微鏡で見たりして、時間をかけて調べてくれた。

私はその先生の様子を見て、
「あ、私のこの手は、『大丈夫』じゃなくて『大変』だったんだ。お医者さんに診てもらうレベルのことだったんだ」
と思って、すごく安心したことを覚えている。

乾燥に利くクリームか何かを処方してもらって終わりかな、と思っていたけど、数分間先生は顕微鏡を覗き込み、うーん、と言いながら調べていた。

結局、「悪さをしている菌みたいなのは、見つかりませんでした。一旦、少し強めの乾燥に利くクリームをお出しします。また、飲み薬も処方しますね。」ということだったけど、それでも私は十分だった。

診察後案内された処置室で、看護師さんからクリームを丁寧に塗ってもらい、赤外線を当ててもらったら、何だかもう治ってきたような気がしていた。

そして、処方してもらった薬を飲み、クリームを塗ったら、数日で劇的に回復した。
思い切って病院に行ってよかったな、と思った。本当に。

「大したことない」とか、「大丈夫」とか、自分で自分のことはそんな風に思ってしまうけど、辛かったりしんどかったりしたら、きちんと誰かを頼っていいんだ。むしろ、頼ったほうがいい。


半年に及ぶ手の湿疹との戦いから、そんなことを学んだ。


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