悪魔城伝説で学ぶ中世ヨーロッパ・4

(専門家ではないので雑談としてご覧ください)
今回は「中世ヨーロッパでの異端」について書いてみようと思います。
悪魔城伝説の舞台である15世紀ヨーロッパは宗教の力が大変強く、その教えから少しでも外れた者や教えに反するもの、反すると『思われるもの』に対しては、世間は非常に攻撃的でした。例を挙げれば「孤独な者、放浪する者」「障害を持つ者、異形の者」「異装の者、異教の者」……。

よく、日本に比べて海外は個性的で個人主義、なんて言いますが、中世ヨーロッパ時代の保守的な考えは半端無くて、他人と少しでも違えば異端者扱いのレベルでした。例えば年ごろなのに結婚していないとか結婚したのに子供ができないとか、他人とは違う突拍子もない事を言ったり行ったりする程度の事でも簡単に『そのような事をするのは悪魔の仕業』となりました。
明らかな異能を持つラルフやサイファ、その身が悪魔と化してしまったアルカードはもう完全にアウトなのですが、なんでも中世ではグラントの職業である「軽業師(旅芸人や楽師も)」と言うのは乞食以下の軽蔑すべき職業だったそうで、グラントも人々に阻害されていた、あるいは疎外まではいかなくとも軽視されていた可能性は高そうです。

なぜ中世では軽業師(芸人や楽師)が蔑まれていたのでしょうか。所説ありますが、どうやらこれも当時の教会の影響なのだそうです。
「軽業師が芸を始めると人々は聖職者の話も聞かずに彼らを見に行き、詩人が歌うと人々は聖歌を歌わずに彼らの歌を歌ってしまう」……つまり聖職者たちは、自分達より人々に対して影響力があるものは許せなかったのでしょう。
何回も書いてしまいますが悪魔城伝説の舞台である15世紀ヨーロッパは教会の力がとても強く、聖職者の権力や影響力は凄まじいものがありました。そしてこの時代は、役に立たない娯楽や生産性の無い快楽は蔑むべきものでした。ちょっとオトナの話になりますが、夫婦の営みですら教会の教えに縛られていたそうです(笑)。なんでも例え夫婦であっても決められた日にしかできない……とか決められた体位しかできない、とか……女性上位はダメとか、それらの規律を破ったら一週間懺悔しなくてはならないとか……この辺り興味のある方は、あとはご自分でお調べ下さい(笑)!
(ちなみに中世では同性愛はもちろん禁止されていましたが、上流階級ではこっそり流行ってたらしいです。そーゆー行為は子孫を残す聖なる行いであり、快楽の為にそーゆー行為するのは悪!……と言うのが聖職者達の教えだったそうですが、下々の者には禁欲させておいて、お偉いさんは結構好き勝手やってたらしいと言う説もあります)
そのような理由で、芸を職業とする人々の地位はとても低いものでした。

中世ヨーロッパは、現代の感覚からすれば差別と迫害だらけの世界でした。
本当にものすごく簡単に言えば、教会の教えをきちんと守っている事が確実にわかっている者以外は殆ど全部異端扱いと言う感覚でした。なので、身元がはっきりしない旅人や、街や村と言うコミュニティを外れて暮らしている事が多い狩人などは基本的には一般市民よりも格下の扱いだったそうです。ファンタジーゲームなどの街では基本的に旅人大歓迎で友好的ですが、実際の所、旅人やよそ者はかなり白い目で見られていたそうです。
悪魔城伝説で言えば、人里離れて暮らす吸血鬼狩人のベルモンド一族なんて異端も異端、とても高貴な一族とは思えなかったんだろうと思います……。

でも、悪魔城伝説四人組は当時の身分制度で言えば本当に最下層周辺の者達ばかりで、だけど滅亡しかけていた世界を救ったのはそんな彼らなのだと考えると非常に熱いなあと思いました。悪魔城伝説の渋い設定が大好きですv


☆地位や身分、宗教に関する話は歴史やフィクションの世界であってもデリケートな部類だと思うので、私の話だけを見てのイメージはお気をつけ下さい。何かに引用されたい時はご自分でも調べてみる事をおすすめいたします(^▽^;


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