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北海道マラソン完走記ー後編ー

前編はコチラです👇

いざスタートラインへ

ずっと心配していたのは、当日の天気。
数日前の天気予報では、午前中から雷雨マークが出ていたのである。
晴れなのか、曇りなのか、雨なのか、雷なのか、、、

思っていたよりぐっすり眠ることができて、
目覚めるとそこにはピーカンの青空が広がっていた。
「天気予報って当たらないね~」とか言いながら。
その日の予報では、13時頃から雷雨に変わっていた。

朝ごはんは卵かけご飯と、MAURTENドリンクミックス320。
口が慣れたのか、昨晩よりスムーズに飲めた。

ありさが土踏まずにぐるっとファイテンのチタンテープを巻いているのが良さそうだったので、わたしも真似をして巻いた。あとパワーテープ(丸いの)を前腿と両肩に。
巻いたり貼ったりすると安心するのナンデダロ~

チンチン電車へ会場へ。

車内にはランナーさんがたくさんいて何だかホッとする。

そして到着したスタート地点。
見渡す限りの、ランナー、ランナー、ランナー。

続々と集うランナー

あぁこれこれ。高揚感。
ランナーさんたちのウエアやシューズを見たり、アップする様子を見たり、MCさんの声を聞いたり、写真を撮ったり、トイレ行ったり、やることいっぱい。

スタート前の元気なわい

私たちは一番後ろのJエリア横の公園でスタンバイ。
第一ウエーブは8:30に号砲が鳴り、一足先にスタート。
第二ウエーブは8:45。その15分の差がとても長く感じられた。

さあ始まるぞ!
不思議と不安はなく、ワクワクしていた。

テレビ塔を見ながらスタート

私たちは最後尾も最後尾。一番うしろからのスタートだった。
最後に「いってらっしゃ~い!」と見送られる気分はなかなかに良いものだった。

20キロまでの道のり

5キロくらいまではランナーが多すぎて、ゆるゆるペース。
日差しもかなり照っていたので、ちょうど良いくらい。

ありさの旦那様が我々の分の水を持ってくれていて、定期的に渡してくれたので本当に助かった。専属のサポートランナーがいるなんて、本当に幸せ。

5キロ過ぎくらいから少しずつ人の合間を縫って、前へ前へ。
とは言え上げ過ぎない。だって先はまだ長いから。

10キロ地点。
いいペース。まだ元気も気力も有り余っている。しかし暑い。
水を浴びて身体を冷やしながら、着実に進んでいくしかないのである。

15キロ過ぎ。
既に折り返しをして35キロ地点を走るトップランナーとすれ違う。
はえええええ。。。。
自然と「がんばれー!」と応援している。
がんばらないといけないのはこっちのほうなのに(笑)
応援することで自分も元気になるから声出しちゃうんだろうね。
ただ、徐々に足の重さが感じられるようになったのもまた真実で…

ようやく20キロ。
少し前から土踏まずに覚え始めた違和感を無視していたけれど、ムクムクとその存在感が大きくなっていた。同時にずっと一緒に走ってきた二人についていくのがしんどくなってきていた。

「先に行って~!」

少し先を走る、まだ元気のある二人に声を掛けた。
旦那様がMAURTENのジェルとボトルの水を渡してくれて、そこで一旦別れを告げた。ひとまずジェルを飲んで栄養補給。体に必要なものすべてが凝縮された濃い~い味がした。

まだ先は長い。
もっと引き離されるかもしれないけど、追いつけるかもしれない。
何せ42.195kmには魔物が住んでいるからね…

ここからもっと長い旅になるのだ。
わたしは焦ることなく、自分のペースで前に進む。

攣り、攣り、攣りまつりの始まりじゃあ!!

自分のペースで、とか言いながら、土踏まずの違和感は確実に進み、きちんと「攣り」はじめた。そして、だましだまし走ること数キロ・・・

うぐへっ…!

変な声と同時に、土踏まずと脛が同時に攣るという拷問がスタート。

右足、左足、交互に攣りは訪れ、走りながら攣りを収めつつ、また攣っての繰り返し。まさに『攣りまつり』開催中。パチンコで言うならフィーバー。

くるぶしの裏側?とかまで攣ってきちゃったりして、「足ってどこの部分でも攣るんだぁ~」なんて人体の不思議を感じていた。もう攣りすぎて、笑っちゃっていた。

『攣る』への対処と言えば、まず塩分。
私設エイドの方に塩タブレットを頂き、食べて様子を見る。
ん?少しは収まったか?

そして、ようやく25キロの大型エイドのあるエリアへ。
目に入ってきたのは『ペプシ』の文字。
絶対飲みたい!!
でもブースでは紙コップがないとボランティアさんが叫んでいる。
わたしはちょうど空になったペットボトルを持っていた。
それに注いでもらい、一気飲み!

うまぁ!!!

糖分が身体に染みわたる。
少し元気になり、また走り始める。
が、攣りは収まらない。

新川通の折り返しまであと少し。
と、ありさ夫婦が反対側の道に現れる。
相変わらず元気そうな二人に「攣ってるぅ」と報告。

『地を這う』に近い感覚で、ジリジリと進んでいくしかなかった。
まさに牛歩。
だって何やっても攣るんだもん。

今思い出しても不思議というか、理由は一切分からないのだけど、それだけ異常な攣り方をしていて、治る見込みだってなかったにも関わらず、気持ちだけは折れなかった。

絶対完走できる。

それだけは揺らがなかった。

完走”してやる”、ではなく、完走”できる”。
そう、ずっと思いながら走っていた。

30キロまでようやくたどり着いて、ある決断をする。
「土踏まずに巻いていたテープを取る」こと。
いつもやらないことをやるべきじゃないなぁ、とずっと思っていた。
おそらく強く巻き過ぎていたのだ。だから圧迫されて攣ったのだ。
その思いが膨らんでしょうがなかったので、ロスタイムは出るけれど、一旦道の脇に座って、靴と靴下を脱いで、テーピングをはがした。

しかし人生はそんなに甘くない。
テーピングを取ったからといって、攣りが全面解決されるわけではなかった。ただ、気持ちだけはスッキリした。

攣ったり、収まったり、たまーにボーナスタイムのようなゾーンに入った時間帯もあった。そのおかげで1キロくらい、めちゃ速く走れた。そうやって自分の浮き沈みを楽しみながら走った。

ただその頃から、膝が痛み出した。膝は登山の時も痛んでいたので「あぁここでも来たか」という感じだった。膝が本気で痛むと走れそうもなかったので、ヤバさを察知した時は競歩っぽいランニングスタイルに変えて、腕で走った。腕を振るって大事。それでマジで前に進むから。

膝と、攣り。このふたつを抱えながらも、やっぱり気持ちは折れなかった。いい時間帯が来るまでは耐えて、元気になったら走って、それ以外は騙し騙し歩いたり競歩したりして、を給水の間隔(2.5kmごと)で繰り返した。

完走できる。

ぶれないわたしがいる。

ゲリラ豪雨はプレゼントか罰ゲームか

35キロくらいだったと思う。
予想通り、雨が降り出した。しかもゲリラ豪雨。
比較的すぐ止んで、恵みの雨に近い、いい感じの降り方だった。
この雨は、プレゼント。

それからまた少し経って、37キロくらいだったろうか。
また降った。やっぱり豪雨。
わたしはその頃、北海道大学構内に差し掛かっていた。
大学内を走れるというのは北海道マラソンの目玉のひとつである。

木々に囲まれた広大な構内。
道は緩やかな傾斜があり、そこを滝のように雨が流れていく。
これはちょっとした流水プールではないか!
シューズはびしょびしょ。いや、ぐちょんぐちょん。
ここまでくると、罰ゲーム。
笑っちまうほどの、罰ゲーム。

強く激しく降りしきる雨を浴びていると、気分は「ショーシャンクの空」状態。この42.195kmという監獄から抜け出すのだ!!

さぁラストスパートだ

足は攣っているのか攣っていないのか、もう分からない。
分からないけど、走るしかない。

ここまでくれば、足を止めることなんて出来ない。
他のランナーも同じ気持ちだろう。
全体のペースが上がっているように感じる。
その大きな波に押されるかのように、とにかく前へ。

大学を抜け、道庁、時計台へ。

最後の直線。レンガ道を爆走。
もうゴールはすぐそこだと思ったのに…
大通りまで出たのに、ゴールが意外と長い…

ラストスパートしたいのに、ちょっと萎えてペースが落ちた。
と、タイムの表示が見えた。
もうすぐで5時間を過ぎそうだった。

グロス5時間は切りたい…!!
最後の力を振り絞り、ダッシュ!ダッシュ!ダッシュ!!

完走すると信じて疑わなかった。
それが叶う時が来た。

最後の一歩はこれまでの何千何万歩よりも大きく。

そしてわたしは無事、ゴールを迎えた。
全身びしょ濡れ。足は棒のようになった。
それでも、笑っていた。

ありがとう。

ゴールした後、そこで倒れるわけにはいかない。
自分で歩いて、宿に戻るまでが、マラソンです。

まず、完走タオルとメダルをかけてもらう。
雨で冷えた体にタオルが優しい、メダルは重い。

あれ、目に雨が入ったのかな…

否。それは紛れもなく涙だった。
感極まった?ホッとした?嬉しかった?つらかった?
たぶんその全部。
しかし涙が出たことには自分で驚いた。

完走アルミコップも

ボランティアさん、沿道の応援の方、こんなにたくさんの人が、支えてくれてくれた。雨の中でも、ずっと。
あぁ素敵だな、マラソン大会って。やっぱりそう思った。

そして、ありさ夫婦と合流した。
彼らはわたしより8分早くゴールしていた。
お互いの健闘を称え合った。

体ボロボロ、笑顔は最高!

ありさは「もう二度とフルは出ない!」と宣言していた。
どうせ走るくせに(笑)

まさか自分がまたフルマラソンを走ることになるとは、3ヶ月前は夢にも思わなかった。ありさに誘われて、エントリーして、練習して、当日を迎えた。

そして、ずっと「完走できる」自信だけがあった。

欲を言えば、もっと速く走りたかったし、足だって攣りたくはなかった。自己ベストなんぞ出しちゃいたかった。

記録はコチラ

けれど、良くも悪くも、マラソンの全てがごちゃ混ぜになったような大会に参加できたことが貴重だったし、今後への自信にも繋がった。

きっとこのnoteやSNSでたくさんの人が応援してくれて、具体的な応援もたくさん頂いて、背負うべきものを背負わせて頂いて走れたからこそ、それが強い後押しとなって走り切ることができたのだ。

本当に本当にありがとうございました!!

自分で自分を褒めたいと思います!!(笑)

最後に。

フルマラソンを走った後はサッポロビールをがぶ飲みしようと思っていた。
たくさんのご馳走を頂こうと思っていた。

だけど、腹が減らない(MAURTENのおかげか?)。

とりあえず寿司を食べ、ピザを食べ、ビールを2杯くらい飲んだが、もういらない。ギブアップ。それからしばらく寝たのち、食べたもの全部吐いた。(お食事中の方すみません)

胃腸の弱さ、健在。
タイムラグがあってのダメージ。。

今はもうすっかり回復し、身体も動くし、元気です!

ありさと。

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