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忙しさの定義


「忙しそうだねー」

この言葉を受け取る時は慎重にならないといけない。
忙しさは受け手が決める尺度に因るからだ。

他人の「忙しさ」なんてものは、「昨日寝てない」問題と同じくらい
実はどうでも良いにも関わらず、言われた方にリスクが高い。
忙しさを認めると実態はどうであれ仕事が順調に行っているように思われるし
忙しくないと言うのも世間的にいかがなものかと不安になるからだ。

しかも大抵の場合、その言葉と投げかけてくるのは
SNSで繋がっている人で、かつ、
自分のことをSNSでしか見ていない(見ることが出来ない)人。
そして、そのSNSを発信しているのは、紛れもない自分。
誰に頼まれたわけでもない、自分自身なのだ。

かつて、相手の忙しさの尺度を図るものは、
かなり前は、電話・手紙による「近況報告」、
ちょっと前までは、ブログ・メールによる「限定的な発信」のみだった。
(当たり前のように忙しい売れっ子は除く)

しかしFacebookやTwitter、インスタグラムが発達した今、
簡単に、全世界に向けて、写真なんかも添えて自分の行動を発信でき、
何かやっている(風の)ことをアピールできるようになってしまった。

私は最近、「忙しそうだねー」と言われることが本当に多くなった。
暇ではないが波も大きく、仕事とプライベートの境界線が曖昧なので
月~金もしくは週5で働いている皆さんのほうが
トータルで見ると拘束時間も含め、働いていると思う。
でも、そういう人たちから見た私はどうやら忙しそうに見えるようだ。
まぁあくまでも「忙し"そう”」であり、「忙しい」ではない。

私はその「多忙の印象」がなぜ生まれるのかを考えてみた。

①発信することが多い=忙しそう
 →むしろ、『発信することが多い=暇』のほうが正しい場合が多い
②なんだか告知ばかりしている
 →イベントや舞台の告知はそれに費やす時間も多いと言う世間のイメージ
③忙しいと言ってほしいオーラがSNSに出ている
 →それは決してないと信じたい、が、あるかもしれない。無意識の恐怖。

告知ばかりするのは職業上(タレント・役者)仕方のないことだが、
受け取り側の印象は確実に「忙しそう」に固まる。
そして問題は、その受け手と出会った時、どう答えるのが正解なのか。

①お陰様で、忙しくさせて頂いております!
②そんなことないですよ~(ぼちぼちですよ~)
③全然忙しくないです!なんか仕事ください!!
④貧乏暇なし、ってヤツですよ~

いやーどれもしっくりこない。
人によっては、傲慢や謙遜に感じるかもしれない。
「忙しい」に対する答えは「忙しい」or「忙しくない」になるが、
どう言い方を変えようと、恐らくそこにゴールはない。

ある本で読んだことがある。
多分、交渉人とかの手口だったと思うけど、
「質問に対して、ほんのちょっと角度を変えて返答をすることで、
 こちらのペースに話を持っていける」

これを踏まえた上で、
これはどうだろう。

「楽しくやらせてもらってます」

完全なる的外れ回答でもなく、
ネガティブな印象を与えることもない。
忙しいどうこうを問題にするのではなく
その状態が今自分にとってどうかを答えるべきなのではないかと。

ちなみに。
舞台を10日後に控えているが、寝る間もないほど忙しい訳ではない。
こうやって好きなエッセイを書き、ブログも書き、SNSもUPしている。
私が忙しいなと感じるのは、脚本締切日の2日前くらいからだけ。
忙しいと言うよりは、追われている感じがする、に近いけど。
でもどの状況も楽しんでいる。大抵の場合は。

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