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思い出をつくりたくて、夏

今年は夏がなかった。
誰とも会えず、どこにも行けず、家とスーパーとバイトだけの往復。
そんな自分を癒すために、9月上旬に久しぶりの一泊二日の旅行をした。女3人、何の気兼ねもない、縛りもない、自由な旅。しかも念願の登山が待っている!

山は決まっていた。

あなたと越えたい 天城越え

そう、石川さゆりの天城越えで有名な、天城山

わたしにとっては8つ目の百名山。

実は天城山は総称で、山の名前ではない。最高峰は万三郎岳(1405m)。そして兄であろう万二郎岳(1295 m)が並んでいる。なぜか万一郎岳はない。かなしい歴史があるのかもしれない。

まだ暗い内にホテルを出発し、登山口までドライブ。日の出とともに登り始める。その後のスケジュールでそうするしかなかった。アラフォー女3人が眠たい目を擦りながらまだ眠ったように静かな山に入っていく。

標高自体はそこまで高くない。色んなサイトで調べてみても、レベル5のうち2くらいで、初~中級向け、所要時間は4~5時間とあるので、登山ブランクがあっても、経験が浅くても問題はない山である。

しかし。

だからといって。

簡単に登れるわけではないのが、山である。

夏期ということもあってか、木々が生い茂り、道を狭くしている。昨日の雨で道はぬかるんでいる。岩や石が多く、滑りやすい。また階段など舗装された道がかつての台風や大雨のせいか流れてしまい歩きにくくなっている。こういうことは実際に山に入ってみないと分からないことで、「思ったよりキツイ」は当たり前である。

それでも、テンションは高かった。早朝に登り始めた私たちは、この山を三人占めしていると感じていた。我々世代の曲を流し、歌い、笑い、たまに滑りつつ、黙りつつ、写真を撮り合って、山を大いに楽しんだ。そして一時間に一回のペースで天城越えを熱唱した。たぶん今まで生きてきた中で一番歌ったし、これからもこの記録が塗り替えられることはないだろう。

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この山にいるのは我々だけだと思っていたが、万二郎岳に着いたとき、先客がいた。いったいいつからこの山に・・・駐車場にはわたしたちの車しか見当たらなかったのに・・・サスペンスが始まるかと恐れおののいたが、その女性は「こんにちは~」と笑顔で挨拶し、颯爽と先へ進んでいった。

万二郎岳でも一通り天城越えを熱唱し、撮影し、休憩している内に、もう一人男性の登山者が追い抜いていった。みんな、天城越え歌い尽くしたのかな・・・なんて思いながらわたしたちは再び歩き出した。

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途中のバナタイム。栄養補給にはこれが一番。
というか我ながらなんという素敵な表情。
バナナが果物の王様だった、おもひでぽろぽろの時代みたい。

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万二郎から万三郎へは45分で到着した。この伊豆半島で一番高い場所へやってきた。海と海が広がる最高の景色が目の前に・・・なかった。夏で樹木が生い茂っているせいか、いつもなのか、眺望がまったくない。万三郎岳はただ天城越えを歌うだけの場所に成り下がってしまった。

普段だったら、そこから元来た道を戻って下山するのが多いが、天城山は周回ルートがある。なので元の道ではなく、グルっと周るようなイメージでスタートした登山口に帰ることができる。登山者にとって、ピストン(往復)ではないルートがあるのは、飽きが来ないのでとても有難い。

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苔むした道を歩き、岩の間を縫って、石の上に慎重に足を乗せ、ただひたすらに進む。やっぱり歌いながら。マイナスイオンが満たされていく。緑に目が癒されていく。

二時間。きついよ。けっこう。

実は天城山に登っても、天城越えしたことにはならないらしいけど、女3人、何かは越えられたんじゃないかと思う。

いや、それ、なんやねん。

山の詳しい情報、ルートは、☝YAMAP☝に記載。

トップ画像:山で見つけたきのこ
絶対食べたら死ぬやつ。でも食べられそうなやつ。つやつやとテカっていて、ほどよい湿り気があって、みそ汁に入れたら美味しそう。でも死ぬやつ。





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