見出し画像

20220211 3種類の趣味の話

 年末にヨガ友とささやかな忘年会をした。予約してイタリアンを食べて、そのあとえんえんとお茶をする、ほんとうにささやかな忘年会。いつものお茶となんら変わらないけれど、「ほら、わたしたち今年もがんばったし!」と、お互いがお互いをねぎらい、いつもよりも長く話し込んだ。
 そのときに彼女から聞いたのが、3種類の趣味の話。

***

 趣味には、大きく分けると3つの種類があるそうだ。
 ひとつは能動的な趣味。スポーツやアウトドア、旅行など、実際に自分の体を動かすもの。
 ふたつめは受動的な趣味。読書や映画、ゲーム、テレビなど、すでにあるものを楽しむもの。
 そしてみっつめは、クリエイティブな趣味。写真を撮ったり、編み物や刺繍をしたり、料理をしたり、DIYで物を作ったりする、何もないところから何かを生み出すもの。
 そして、このうちクリエイティブな趣味を持つ人は人生の幸福度が高い傾向にあるという研究結果もあるらしい。

 へええ、と聞いていたが、彼女は「はるなちゃん全部あるねー。ヨガが能動的でしょ、読書が受動的でしょ、ピアノがクリエイティブ!わたしだったら何かなあ」と一生懸命考えていて、その様子がなんだかほほえましかった。

***

 ああ、でもほんとうにそのとおりだな、と思う。またピアノを弾くようになって2年ほど経つけれど(これだってあのへんな流行り病の影響だ)、それからわたしの感情は格段に安定した。
 その理由はわかっている。感情の出しどころを見つけたからだ。

 ピアノ自体は変わらずそこにあるのに、弾いてみると毎日音が違う。自分がいらいらしながら弾くといらいらした音しか出ないけれど、弾いているうちに心がしずまると音も静かになってくる。エネルギーが余っているときにピアニッシモで弾こうと思うと思いのほか消耗するし、元気がなかったのに、練習しているうちにわたしが充電されることもある。感情をそのまま受け止めて、ときには予想どおりの、またときには想定外の音を返してくれる。そして、わたしはそれに楽しく翻弄されつづけている。

***

 ピアノを再開するのには、けっこうな勇気が要った(これはまた別の機会に書こうと思う)。でも、あのときに思い切って再開したわたし、グッジョブ。
 おかげで、わたし、おおむね楽しくやってるよ。

 最近の悩みは、転職したことで生活時間がすこしずれて、平日になかなかピアノを弾けなくなってしまったことだ。
 でも、わたしの中にいつでもピアノはある。
 わたしはこれからも、わたし自身をほんのすこし幸せにするために、ピアノを弾くんだろう。
 そしてそれは、とてつもなく大きな恩寵のような気がするのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?