道北スキー場めぐり旅[2024/04]


その0: Prologue monologue

 最近やってみたかったことの一つが「スキー場巡り」。1箇所への滞在・往復じゃなくて、複数のスキー場を巡る旅。実は20歳の頃に一度当時の友人達とやってるんだけど、一人で帰省する機会が増え&スキーがますます好きになりつつあるここ数年、稚内から南下、または稚内へ北上していく旅をなんとなく心に描いてはいた。児玉毅さんの "ride the earth" シリーズに憧れもある。
 今回は偶然にも3月初旬に用事のない数日間が発生し、かつ4-7月は多忙確定なので、では親に孫の動画でも見せに行こうか、と急遽帰省を企画。暖冬とはいえまだ冬の時期に帰省できるのは稀な機会で、スキー道具一式も(特に計画もないが)担いでいくことに。レンタカーは稚内現地で絶対必要なので予約。そういえば3/10はコンサドーレのホーム開幕戦だな、じゃあ3/10の昼に札幌でレンタカー返却か、久々の冬道運転も楽しみだ。
 ここに至ってようやく「あら、これはひょっとして素敵な遠征ができるのでは……」と思い始める。更に天気予報では寒気が入るとか?どこに行こうか、ピヤシリ初見参?旭山?(山頂方面行けるかな……でも道具ないしな……)。

 で、地元入りして、気温も雪も良い感じ、時間も空いたし、じゃあちょいと地元で滑ってみっか!と「稚内こまどりスキー場」ナイターへ初見参。
 そこで見たポスターがコレ。

 来シーズンは1-2月日本にいないことがほぼ確定してるので、シーズン券なんて当たっても困るのだけど、スタンプラリーと聞くとつい巡ってしまいたくなるあたり、まんまとノセられてる。更にこれは、以前から考えてたスキー場巡りのチャンスじゃないか!

 ということで大泉洋ばりに「ここをスタート地とする!」とかなんとか勝手に宣言しちゃって、今回の「スキー場巡り旅」のはじまりはじまり。

その1:稚内こまどりスキー場

 私がこの街に住んでた頃はただの斜面だったのよね確か(一応スキー場だったのかな?)。麓のあたりでサバゲやった覚えもあるぞ。それがいつの間にやら周囲は市街地になり、一方で廃止された市民スキー場の代わりに?リフトもかかり、スノーボードで良い成績を収めた方も出たらしく設備も整い、立派なスキー場になってました(斜度ユルユルの短距離だけど、まぁそれもまた一興)。
 しかし入り口が分かりづらい。たぶん「環状線側」に入り口があるんだと思うのだけれど、これが見つけられず。こまどり側のめちゃわかりづらいルートをようやく見つけ駐車場へ。このときはまだ用事の帰り道だったので偵察のみ、しかしやる気は十分。すぐに家に戻り服を着て、道具を車につっこみ、ナイター一番乗りを目指していざ鎌倉。
 
 おかげさまでナイター開始と同時の一番乗り。3コースあるどれも一程度(7-8割?)の範囲が圧雪されていて(しかもナイター直前に)、うち中央のコースと左手側(スキーヤーズレフト、山頂から下るスキーヤーにとっての左手側)の「レフティモンスター」コースののファーストトラックは私がいただき。

 直前にSNSでやりとりした友人K氏のコメントや、先日自分が入ったスクールでもらった言葉を反芻しながら、いろいろと滑り方を試してみる。非圧雪の場所も残っていたのでそこも定期的に試してみて雪の軽さと蹴散らす快感に感動。同時に滑っていた親子連れの滑りの微笑ましさ&勇敢さにも感動。そうこうしている間にあっという間に2時間が過ぎた。
 個人的な好みは右側の「みはらしコース」。一番ユルいコースなのだけど、そもそもスキー場全体の最大斜度が15度なんで斜度はこの際求めず、となると距離やコース幅が一番取れるのはこの「みはらしコース」。あとコース右側に非圧雪の部分があるのも良かった。

 当日の雪質はほぼ最高で、きれいに圧雪された雪も適度な柔らかさ、非圧雪も数センチの新雪が軽い。新たな雪も降ったり止んだりで、風もなんとほぼ無風(稚内なのに…!)。いやあ、これはあまりに良いタイミングで滑れたんでないかい?

 2時間滑った後には副港市場の温泉に浸かり、セイコーマートで味付ラム肉と野菜セットとビールを買い込んで、家でひとりジンギスカンの夕食を取りつつ、翌日の計画をねりねり。翌朝には稚内を離れ南下ルートにのるべく、次は豊富温泉かな?と思ったが、営業開始時間が10時と遅いのがネック。さてさてどうするべか?

 なおこまどりスキー場のリフト代はナイター600円。うーん、これも感動だ。(昔はこの程度の価格設定も当然だと思っていたのだが……)リフト券入れも忘れたのでここで購入。

その2: 枝幸町三笠山スキー場

 さて翌朝。プランは昨夜のうちに出来上がっている。
 荷物をまとめて、掃除して、水道落として、電気も落として、家中に殺虫剤噴霧して、鍵かけて、灯油元栓も閉めて。また数ヶ月空き家となる家、しかも冬から夏にかけて気温が上がる状況で迂闊なことをすると、次来たときに大変なことになってしまいそうなので、慎重に家をクローズし、南下開始。

 ナビが言ってるルートがあるのだけど、いやいやそんな道、冬は通れないっしょや、と、旧天北線沿いの昔からある道を走り、浜鬼志別へ。セイコーマートをみつけて、ホットシェフおにぎりで朝食。さあさあ、行くよ。そのままオホーツク海沿いを南下だ。
 それにしても道に雪も氷も全然ないのは笑っちゃう。

 目的地の山頂にある展望台は、到着ちょっと前から見えていた。
 枝幸町、三笠山。
 さすが平日午前の町民スキー場、クルマは数えるほどしかいない。滑ってる人もざっと10人程度か。早速準備をして、板担いでゲレンデへ。
 下から見ると、データどおりにそこそこの距離のコースが複数あって、斜度もまずまず。楽しめそうなスキー場だ。雪も、昨夜はこっちでも降ったのかな、なかなかいい感じ。ほとんどの斜面は圧雪してあるけど、ほんのちょっと非圧雪も残ってる。
 チケットはちょっと迷ったが、区切りを付けるつもりで、11回券を購入。1100円也。1日券は1600円くらいなのでどちらでも良かったんだけどね(こういうスキー場は応援したいので敢えて1日券でも良かったかも)
 リフトは結構きれい&立派なペアリフト。登っていくと、右手(スキーヤーズレフト)側に枝幸の町並みと、その向こうのオホーツク海が見えてくる。いやめっちゃ景色キレイなんですけど。
 そしてコースには旗門が立ってて、何やらアルペン競技(GSかな?)の練習をしている様子。滑ってるのは小学生?中学生?春休みはまだだと思うけど……

 リフト降り場は展望台のちょっと下で、展望台は閉まってる様子。でも降り場付近からの景色も十分に良い。スキーヤーズレフトが急斜面で、そこは旗門練習をしているので、彼らの邪魔をしないように、中央から右側の中級斜面を主に滑る。今日も整地の滑り方の練習、確認しながら大回りメイン。正面から右手の山地のパノラマも良い。一度だけ行ってみた林間コースも雰囲気あってなかなか楽しかった。何と言っても人が少ないのはやっぱり最高。しかも天気はピーカンで、気温も適度に低く、雪質も気持ちいい。

 11回の回数券は、あっという間になくなってしまった。名残惜しいけど、決めたことなので、これで終了。クルマに戻ってブーツを脱いで。
 後から気付いたけど、麓のロッジの中に入ってみるの忘れちゃった。でも外見はかなりキレイだった。

その3: 音威富士スキー場

 さてさて、次だ。
 昨夜の時点のプランではここが分岐点。第1候補は、内陸に入り、明朝の名寄ピヤシリを目指すコース。第2コースは、このままオホーツク海沿いを攻め、明日の紋別大山を目指すコース。どうする?
 ちょっと迷ったけれど、やっぱり一度滑ってみたいコースがあって、そこを次の目的に定める。進路は内陸へ。少しだけ雪道もあって、久しぶりの緊張感ある雪道高速ドライブ。
 到着したのは、音威子府。さて昼飯食って午後の部いくかねぇ、と、初めての音威子府道の駅の食堂へ。例の黒蕎麦がなくなって、どんな蕎麦をだしているのやら?と思っていたが、なんと蕎麦は昼前までで昼からはラーメンのみとな……さほど空腹じゃなかったこともあり、ラーメンはパスして、セイコーマートの小さめサンドイッチをさっと平らげてから、スキー場へ。
 音威富士スキー場。いつも、夏も冬も、脇の線路や道路から見上げては、その斜度にビビっていた、そしていつかと憧れていたスキー場。夏にゲレンデに描かれている「おといねっぷ」の文字も印象的。
 本日金曜は13時からの営業とのことで、リフト一番乗りを目指すぜ! と、駐車場からリフト乗り場への坂道を登る。しかし既にお一人、めちゃ上手そうな方がいらして準備体操してる!まぁそこは潔くあきらめ、まずはリフト券を……どこに売ってるの?麓のロッジ入ってみたがホントに誰もいないし何もやってない。ウロウロした挙げ句、ようやく自動券売機(ラーメン店みたいな)を見つけ、そこで午後券を購入。1300円也。券面もまんまラーメン屋っぽい。
 動き始めたリフトに2番手として乗り込む。改めてリフトから見ても結構な斜度だ。途中、コース端にポールやネットを立てている方がいて、こちらを見て「こんにちわ」なんて声かけられた、女性だ。ちょっと照れくさいが会釈。

 コースは1枚バーンが左右に分かれていて、一部傾斜が異なる(左右に段差がある)。キレイに整地されていて良い感じだが、リフト下は不整地で、昨夜~今朝の雪も残ってる。滑った跡があるから行っても良さそうだなコレは。
 まずは整地から。斜度がきつくてカービングのみだとスピード出まくり、ビビりながらスライドさせて減速しながらの大回り。対するに1番乗りの方はキレイなフォームでかっ飛ばしていく。スゲェな……結局その方は私が引き上げるまでずっと滑ってて、様々な滑り方の綺麗なフォームを何度も見させて(見せつけて)いただいた。

 私の方は、3-4本目あたりからリフト下の不整地へ。昨日からカービングがほとんど(不整地も雪が軽くて悩む必要なし)で、ワイドスタンスを意識しながらしっかり外足に乗ることを意識していたのだが、そのアタマのまんま不整地に突っ込んでしまい最初は散々。あれ?俺どうしたの?と思ったが、へたっぴワイドスタンスの外足荷重では不整地パウダーは回りきれない浮ききれない。両足を揃えて対処し、なんとか滑り切ることができた。その後も不整地2本に整地1本くらいの割合で滑っていろいろ試してみる。1本だけ林間コース(スキーヤーズレフト側)に入ってみたが、ここもまた(景色も雪面も)キレイな(そして誰も滑ってない!)コースで楽しく滑れた。しかし林間コースはコースの途中に合流し、そこから下は結構な斜度なので、これは初心者といえども鍛えらさるな……

 そんなこんなで2時間ほど滑って撤収。
 帰り際、最初に挨拶してくれた方がリフト乗り場にいたので尋ねて見る。
 「ここって、ハイクアップしてもいいんですか?」
 実はこのスキー場、リフトが2本あったのだが、上の1本は暫く前から休止中(多分復活は難しいだろうなぁ……)。でもその横にはコースがある(圧雪はしてないけど)のよね。暫く見ていて、ここはスキー場内なのか外なのか?そもそも滑ってもいいのか?など気になっていた。バックカントリーに憧れるがスキルも道具も仲間もない私には、ここがハイクアップして滑ってよいところなら、最初の練習になるかな……と思ったのだ。
 果たして答えは「ええ、皆さん行かれてますよ~」おおっ、それはまたぜひ来なくちゃ。登るのに良いルートの存在なんかも教えてもらったりして、来シーズン以降の目標ができました。教えてくれたお姉さん、スキー場で働いてる地元の方かな?可愛らしく話しやすい方でした。またお会いしたいですね。

その3.5: 豊富温泉(スキー場?)

 さて実は音威子府で滑ってる間に重大なことを思い出した。実家で水道落とした際、蛇口閉めるのも排水口に蓋するのも忘れてた。うーん、これから春夏と、蛇口から虫が入って中で増えたら嫌だなぁ。排水口も虫の住処になっちゃってたら嫌だ。滑りながらちょっと悩み、やはり一度戻ることに決めた。(それだけの旅程の余裕、あるいといえばあるし。)
 そうなると、ここからは北へ向かわねばならないのだが、ただ戻るのは癪。そうだ、豊富温泉スキー場でナイター滑って、温泉入って、それで戻るならどうだ?
 果たして幌延あたりからガンガンの降雪。これは雪質が期待できるぜ!と、吹雪なのにワクワクしながらの運転。幌富バイパスを降りて、豊富温泉の温泉街を過ぎ、道を曲がってスキー場にたどりつき……誰もいない。どこも空いてない。どういうこと?……落ち着いて調べ直すと、ナイターどころか今日は終日お休みの日じゃねーか……
 まぁ、こんな事もありますよねぇ。
 心が折れてしまったので、温泉へ。川島旅館の狭めの湯にグダグダ浸かってるうちにちょっと心身回復してきたら腹が減った。ふれあいセンターの食堂で鹿肉ジンギスカンをノンアルビールお伴にがっつき、降ったばかりの雪道をかっ飛ばして北上。炭水化物ガス欠な気がして、稚内で閉店間際の回転すしでちょこっとコメをつまんだあと、図らずも実家の仏壇に半日ぶりにご挨拶。

その4: 豊富温泉スキー場

 翌朝。
 さて今日こそは、夜には旭川あたりにいたい。それには、どこ(のスキー場)ををどう巡るか……
 昨日帰路、幌延~豊富の大雪が忘れられない。そして、豊富温泉スキー場は別の意味でも行きたい場所だ。しかし、10時オープンだと……その後の旅程が詰まってしまうのをどう考えるか……もっと早くオープンするスキー場から回るべきじゃないのか……
 
 いや、行こう。
 次はいつになるのか、次があるのかわからないんだから、心残りはできるだけなくそう。
 それに、豊富の営業終了は明日日曜らしい。3月に入って雪がこんなにあるのに、こんなに早く閉めちゃうのは、そしてオープン時間がこんなに遅いのは、営業上楽な状態ではないのだろう。賑やかしは大事じゃないか。
 
 かくして、再度実家を(念入りに)閉めた後、南へと向かう。いつもの感傷は昨日済ませたので、今日はなし。
 
 豊富温泉スキー場は、ある意味屈辱のスキー場。学生の頃、友人と一度来たことがあるのだが、豊富出身の友人達が軽々と滑り降りるその斜面、私にはとんでもない急斜面に見えてしまった。あの時の記憶を払拭するのが、ここに来るのにこだわった理由。
 営業開始30分前には駐車場到着。準備を整え、リフト券を買う。AM券PM券はなく、回数券か1日券かの選択で、1日券を。売り場は麓のロッジの中にあって、ロッジ内はオープン待ちの子どもたちがたくさん。のりばへ向かうと、昨日の音威子府と同じ2番のりだ。

 コースは、スキーヤーズライトの端にリフトがあり、そこから左に向かって上級・中級・初級とコースが並ぶ。基本的にほぼ全コース圧雪だが、上級と中級の間に若干非圧雪の部分が残っている


 頂上に立つと、上級コースの斜面はなんということはない斜度だった。少しは成長したってことかな、大丈夫、と思いながら、大回りで降りる。次は非圧雪へ。悪くない。全てのコースを一通り回ってみる。ここも昨日の音威子府や三笠と同じく、林間コースも気持ち良い。ただ、期待していた昨日の雪は、きれいに圧雪され、また少し重めになっていた。南斜面だからか、標高が低いからか、はたまた営業開始時間が遅いからか、わからないけど。正直、昨日の音威子府が良すぎたせいか、物足りなさを感じる。
 1時間ほど滑り、満足。

 昼が近づいていて、ロッジの中の食堂売店は安くて美味しそうなメニューが並んでたけど、まださほどの空腹ではなかったので、そのままクルマへ。

 昔の苦い記憶は、払拭できたな、と、麓からコースを見上げ、アクセルを踏んだ。

その5: 中頓別町寿スキー場

 さて次はどこで滑るか?
 実は候補はもう決まっている。中頓別だ。事前情報では斜度もそこそこあるようだし、内陸だから雪もそんなに悪くないだろう。実は以前から気になってた場所だ。しかも週末しか開けないスキー場で、今日が土曜日。これは期待大!

 一路、中頓別へクルマを走らせる。それなりにキレイに除雪されている峠越えを飛ばす。常に対向車の可能性は意識しつつ、路面を見極めてコントロールできる範囲での速度に。燃費は……知ったことか。車種はaquaだけど、ほとんどエンジン走行だったかな。知駒峠を越える。途中でにーちゃんが自転車押してたのはびっくり。何してんのこんなとこで、まだ先は雪道だぜ。

 中頓別に着いたらほぼ12時。ここに至ってそこそこ空腹を覚えたので、綺麗な市街地で食堂を漁る。蕎麦がいいかな、と入った食堂だったが、担々麺がメニューに!担々麺好きの私ここで陥落。ラーメンの麺も手打ちだっていうから、いいかな。
 果たして出てきた担々麺は……麺のはごたえも辛味旨味もソフトで、でも気分に合ってて美味しかった。

 スキー場は市街地を抜けた北側に。国道275からの入口が少々わかりづらいが、スキー場が見えてるので「このへんだろう」と見当はつく。駐車場にはそこそこの台数のクルマが。ゲレンデに最も近いベストポジションが空いていて、多分昼で帰った方が停めてたのかな、そこにaquaを滑り込ませる。
 駐車場から数十メートルでロッジ、そしてもうその眼の前がゲレンデ。ロッジでリフト券を購入、ごめんね、長居しない歯止めとして11回券にする。1300円。ロッジ内には食事処が!しまった、昼食はこちらでいただくべきだった(スキー場にお金を落とすという観点で)と後悔したが、まぁ同じ町内ということでご勘弁。
 ロッジもキレイだっただが、リフトもかなり新しい(2018年製と銘板にあった)。ただ一度、油が座面に垂れたのを拭くのに私の乗車直前で停まった際「新しくてキレイですね」と言った際に係員の方の表情が微妙だったので、ひょっとしてメンテに苦労しているのも、と想像。

 さてコースの構造は豊富温泉と似ていて、スキーヤーズライトの端にリフト、そのすぐ横が最大斜面をもつ上級コースで、レフトに向けて中級・初級と並んでいる。上級はなかなかの急斜面、いい感じで大回りで飛ばす。人が少ないスキー場はこういうかっ飛びができるのが嬉しい。
 中級・初級コースは……いやいやコレ全然難易度高めだぞ。むしろ上級コースよりコース幅狭い分難しいかも。こんなコースで鍛えられる地元っ子はやるようになるだろうなぁ……実際上手い子が多かった。多分地元の方が大半なんだろうな。
 回数券なんでまいど鋏を入れてもらうのだが、申し訳なさの照れ隠しついでに係員の方に訊いてみたら、リフト線下の非圧雪部分も滑って良いとのこと。嬉しい!調子に乗って突っ込んでいき、パウダーに歓喜!の直後、斜面の変わり目で雪質が変わって(下にクラストあり)足をとられ派手に転倒。リフト真下でカッコ悪! だが負けないよ、と何度かチャレンジ。それなりに滑れた回もあったが、脚がだんだんと踏ん張りきれなくなってきて、しかもすぐそこがコース外(沢っぽい場所もあり)なので無理しすぎずに。合間には圧雪バーンで飛ばしたりショートターンしたり。コースからの眺めも良くて、頂上から左手側は山の向こうにオホーツク海が垣間見え、正面には綺麗な山々。そして気温はさほど上がらず雪質は良いまま。

 

11回の回数券はあっという間になくなってしまった。ああ、これは朝から1日券で滑っても楽しいコースかもなぁ……

 終わってロッジに入ったら、食堂は14時営業終了とのことで後片付け中。飲み物くらいもらおっかな、と思ったけど、地元産「なかとんべつ牛乳」はもう売り切れ(というか当日は仕入れ数がかなり少なかったらしい)。また次回ね!なんて調子のいいこと言って後にする。
 いや、でも、ここのスキー場はかなりポイントが高い。地元にこんなスキー場があるなんて、何て羨ましいんだ、と本心から思った。これは、絶対にまた来るぞ、と誓い、駐車場からクルマを出した。

その5.5: 比布スキー場

 さて中頓別を出たのが14時半頃。今から他の(日中営業の)スキー場をハシゴするのはちょいと難しい。音威子府なら……とも思ったが昨日行ってるし。セイコーマートで休憩し少し調べてみると、ナイター営業は16時から!という比布スキー場を発見。いつも旭川から北へ向かうルートで目立って見えてるあそこだ。よし、そこまでなら移動時間2時間程度、16時開始なら待ち時間なく突入できそうだし、ナイター後の旭川も近いし、ちょうどいいな。

 ということで比布スキー場目指して南下。途中、敏音知岳があまりに美しかったので何度かクルマを停めて写真を。あそこから滑れたら気持ちいいだろうなあ……技術(と装備)がほしいな……
また、恩根内駅もうすぐ廃止だな、とも思い出したが、そちらは雪優先でスルー。吹雪の塩狩峠を越え、左に曲がり、一路スキー場へ……

 あれ?何か人がいない。リフトもどれも動いてない。ナイターゲレンデじゃないところに来ちゃったかな?でも照明設備は見えるなぁ。
 気になって灯りの落ちたセンターハウス?を覗いてみたら、入口に張り紙が。
 「ナイター営業は2月末をもって終了です」
 なんだとー!!!
 
 2日連続でナイター敗北の憂き目、悔しすぎる……

その6: 和寒東山スキー場

 このまま旭川に向かって、おとなしく今回のスキー旅を終えるか?
 いや、この不完全燃焼で締めるのは……、僕は、嫌だ。(波乱万丈風)
 カムイ?いいんだけど、今回はローカルスキー場ばかり訪れてるので、最後もできればもっとローカルなところで締めたい。

 確か、ここまでの通り道にスキー場があった筈。
 照明が点いてたスキー場もあった。悪天候だから昼からの照明?でもナイターやってるかも。
 再び塩狩峠を越えて北へ。

 ナイター営業中らしきスキー場はわりとあっさり見つかった。「和寒東山スキー場」。
 駐車場には車両は数台のみ。若干の不安を覚えつつ……いやしかしリフトは動いてる。照明も点いてる。大丈夫!

センターハウスへ行きリフト券売り場へ。おばちゃんが対応してくれた。ナイター料金、500円(!)。カードも使えるとのことだったが、こんな良心的価格に手数料負担させるのが申し訳なく現金で支払う。

 暮れゆく空と町並みを見ながらリフトで登る。スキーヤーズレフトに市街地の灯が見える、キレイだ。そしてゲレンデのそこそこの面積に非圧雪部分が!しかも滑走跡は多いとはいえまだまだ楽しめそうな雪がたくさん。おーし、行くぞ!
 スキーヤーズライトのおそらく上級コース、その更に右側が非圧雪のようだ。突入!
 ……うわっしまった。下ガリガリやんけ。今日の昼間?昨日以前?に緩んだ雪が凍り、その上に親切がかぶさっていた状況で、なかなかハードな滑りをしょっぱなから経験。うーん求めていた非圧雪とは違うけど、まぁこれも勉強かな。
 さて次行ってみよう!と今度はスキーヤーズレフト側のコースへ。このタイミングでかなり雪が降り始めるが、望む所!ここも非圧雪部分はライト側と同じ……なのだけど、コース下側ではガリガリがめだたない、いい感じの新雪部分が。斜度緩めであまり長くないのがむしろ難しいが、どこを滑るのが一番楽しいか探求しながら何本も滑る。もっぱらレフト側のコースで、上半分は圧雪バーンでの滑りを確かめつつ、途中から左にトラバースして、新雪部分を降りてリフト乗り場へ、というパターンを繰り返す。むちゃ楽しい。
 また、ここのスキー場、周囲が「山」で、なかなか想像を煽るものがあった。冬山テン泊だとこんな冷たい闇の中で過ごすのか、とか、停電したらどうなるのだろう、ケータイのライト使って降りるしかないよな、とか。あとこのスキー場は小さめの「ジャンプ台」があって、それを使った子どもたちの練習風景を想像するのもまた楽しかった。スキー場にある小さいキッカーもどきですら結構飛んだ気がするのに、いくら小さめとはいえあんなジャンプ台……凄いなジャンパー達は。

雪は途中かなり強くなったが、1時間程度で止み、再び美しい夜景が望めるようになったところで、自ら設定したタイムリミットの19時。図らずも最高に楽しいスキー場ナイターでスキー旅を締めくくることができた。運命を司る神様か、はたまたサイコロか、いずれにせよ感謝だ。
 凄く、凄く満足の気分で、スキーブーツから足を引き抜いた。

そのZ: Epologue fatigue


 眼の前には、日本酒、糠鰊の焼魚、そして鰊漬け。慌ただしい旅を振り返る余裕が少しだけできたのは「独酌 三四郎」。入店終了の10分前、ラストオーダーの40分前に滑り込み。数年前の初訪問時に「にしんの切込」にやられ、今回が2回目で、閉店が何時かも知らないままにダメ元で足を向けたらラッキーを掴んだ。
 結局今回の旅はこの「ラッキー」に尽きる気がする。もともと暖冬の中、北海道はそれなりに降雪があり、また3月に入ってからの低温の時期にもちょうど当たって、どのスキー場も良いコンディションで楽しめた。この時期に予定が入らずに続けて休みを取れたのも。本来の目的だった母との面会もでき、母の懸案もひとつ解決した。レンタカーももっと大型の4WD車両だったものを、現地受付でFF小型車にでき、慣れた感覚で運転できた。(私にとっては雪道は4WDよりFFの方が運転しやすい:滑った後のリカバリーが効かせやすいので。)そして稚内に戻る羽目になったのも、宿泊費節約になったし、豊富温泉も温泉スキー場も寿スキー場もそのおかげの訪問だ。天候も良かったしね。何より事故らずここまでたどり着け、良い店で酒を飲めている。
 ついつい新子焼きも頼んでしまった。タレご飯を思い出したが、もうお腹には入らない。短時間で酔いも十分に回った。前回訪問からほんの数年なのに、身体の衰えを感じる。スキーしていても、筋力や持久力は落ちつつあるのは感じてる。あと何年楽しめるのだろうか。新しいチャレンジはまだ出来るだろうか。少なくとも今宵の2軒目に新規開拓の店に行く気力体力は全くなく、セイコーマートで申し訳程度の酒とつまみを買う程度。それすらも翌朝目覚めたときには大半が残ったままだった。
 疲労感と奇妙な清々しさをまとって宿をチェックアウト。もう今日走らせるのはスキー板じゃなくて車だけだ。今日で営業終了との案内のあるスキー場脇を通る。今シーズンが終わりに近づいているのを感じる。
 さ、来年は、いつ、どこのスキー場に行こうか。

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