見出し画像

2024ニューイヤー駅伝 観戦記

2024年、あけましておめでとうございます。全ての方々にとって素晴らしい一年となりますよう祈るとともに、私自身は、与えられた日々を平常心で、自然体で、健やかに、過ごしたいと願っています。身を置く社会や周囲の人々に、ささやかでも貢献できる一年になるよう努力したいと思っています。

新年恒例の駅伝観戦

新年三日間の投稿は例年通り、駅伝観戦記からスタートします。初日は、実業団No.1を決める『第68回全日本実業団対抗駅伝競走大会』、通称ニューイヤー駅伝の観戦記です。群馬県庁をスタート・ゴールとする7区間100㎞のコースで、各地区予選を勝ち抜いた41チームによって争われます。今大会から2-4区、6-7区でコース変更があり、レース戦略にも変化がありそうです。

前評判から

今年は事前の情報収集が十分ではなく、ぶっつけ本番でレース観戦に臨みます。昨今、トラックやマラソンでのタイム向上が進み、実業団選手のレベルアップも著しいので、戦力拮抗で高速レースが期待されそうです。今大会からのコース変更で、最長区間が前半の2区、外国籍選手を起用できるインターナショナル区間が距離が7.8㎞に短縮され、4区へと移りました。

話題の出場選手では、10月のMGCでパリ五輪2024のマラソン代表に内定した、小山選手(Honda 6区)、赤崎選手(九電工 2区)、12月の2023日本選手権10000mで日本新記録をマークして優勝した塩尻選手(富士通 3区)、同2位の太田選手(トヨタ自動車 2区)、同3位の相澤選手(旭化成 3区)がエントリーされました。

三連覇を狙うHonda、戦力充実のトヨタ自動車、着実に強化を進めるGMOインターネットグループあたりが優勝候補に挙げられそうです。日本代表経験のある実力者が揃う富士通、九州大会を二年連続で制し、強豪チームへの道を着実に歩む黒崎播磨、昨年16位からの復活を期す旭化成、古豪中国電力、毎年上位を伺う三菱重工にも優勝のチャンスがありそうです。

1区 12.3㎞ 群馬県庁〜高崎市役所

スタート後しばらくは集団を作ってスローペースで進みましたが、1㎞過ぎに大塚製薬の実力者、清水選手が飛び出して先行しました。

清水選手を追う二番手集団では、三連覇を狙うHondaの小袖選手、富士通の主将・坂東選手、旭化成期待のルーキー・長嶋選手あたりが集団前方の好位置を占め、今季好調で経験豊富なNTT西日本の服部選手、これがニューイヤー駅伝ラストレースとなるトヨタ自動車のベテラン大石選手、前回区間賞のスピードランナーGMOインターネットグループの村山選手ら実績のある選手たちが、集団の中で脚を貯めながら、虎視眈々とラスト勝負に備えます。

レース後半、先行していた清水選手を吸収すると最後のコーナーを曲がってからの叩き合いで、前回同タイムながら区間賞を逃したヤクルト・太田選手が先行していた服部選手を2秒抑え、ニューイヤー駅伝初の区間賞を獲得しました。優勝を狙うトヨタ自動車、Hondaは先頭から4秒差の4位、5位と好発進。長嶋選手の途中転倒のアクシデントがあった旭化成は20秒差の13位、富士通は37秒差の25位とやや出遅れたもののまだまだ射程圏内です。昨年入賞で期待の高かったSUBARUは森田選手が不調で1分5秒差の37位、九電工は過去にこの区間で区間賞を獲った実績がある中村選手が1分15秒差の38位と大きく出遅れてしまいました。

区間賞 太田直希(ヤクルト)34分42秒

2区 21.9㎞ 高崎市役所〜伊勢崎市役所

コース変更によって、最短のインターナショナル区間から最長の『花の2区』へと変貌しました。各チームとっておきのエースが投入されます。また、1区から2区への中継は団子状態の混戦となりがちなので、後方からのゴボウ抜きも期待されます。

コース前半は、昨年3区区間賞のトヨタ自動車・太田選手、昨年4区区間賞のKao・池田選手が快調で、集団から抜け出して首位を並走し、少し離れてHonda・中山選手が追走する隊列です。1位で襷を受けたヤクルト・小椋選手、2位の NTT西日本・一色選手の青山学院大学OBの二人は、調子が悪いのか、早々に順位を下げ、ブレーキ気味の結果に終わりました。(1→18、区間24位)(2→23、区間29位)

中国電力・菊池選手(31→7、区間3位)、SGホールディングス・近藤選手(22→4、区間5位)、黒崎播磨・細谷選手(26→9、区間8位)、安川電機・古賀選手(35→13、区間9位)らが後方からのごぼう抜きを演じ、レースを盛り上げたものの、首位を走る太田選手の勢いは後半も衰えず、区間2位の池田選手に26秒差をつけるダントツの走りで、早くもトヨタ自動車俄然有利な状況を作り上げました。

区間賞 太田智樹(トヨタ自動車)1時間1分40秒

3区 15.4㎞ 伊勢崎市役所〜三菱電機群馬製作所

3区は旧コースでもエース級が起用される前半のポイント区間でしたが、距離が1.8㎞伸び、戦略上の重要性が更に増しました。

34秒差で首位を走るトヨタ自動車は、スーパールーキーの田澤選手で更に差を広げておきたいところです。田澤選手は、万全の状態ではなかったものの区間6位でまとめ、4区中継では、Kaoを抜いて2位に上がってきたHondaに、58秒差をつけて首位を守りました。トヨタ自動車としては、ここまでは上々の展開でしょう。

2位争いでは、Hondaの伊藤選手(3→2、区間9位)と旭化成の相澤選手(5→4、区間3位)との並走による鍔迫り合いが見られました。4年前の箱根2区での激突を思い出したファンも多かったのではないでしょうか。10000m日本記録保持者で注目の富士通・塩尻選手は、15位からスタートし、爆走が期待されたものの後半失速し、区間23位、チーム順位も18位に下げる思わぬ不振に終わりました。

区間賞は、NTT西日本の小林選手が獲得し、16人抜きでチーム順位を7位まで回復してきました。

区間賞 小林歩(NTT西日本)42分29秒

4区 7.8㎞ 三菱電機群馬製作所〜太田市役所

4区は、外国人ランナーの揃い踏みです。ワールドクラスのランナー達が、短い区間を猛スピードで疾走していきます。

先頭トヨタ自動車は、初出場のフェリックス選手が区間22位ながら、首位を堅持しました。追ってくるHondaの怪物ルーキー、ヴィンセント選手に18秒負けただけに食い止め、つなぎの役割を果たしました。

区間賞は、後方で10人抜きの快走を見せたマツダのディエマ選手が獲得しました。

区間賞 I.ディエマ(マツダ)20分52秒

5区 15.8㎞ 太田市役所〜桐生市役所

旧コースから変更のない5区は、向かい風とタフなだらだら上りが選手を苦しめる難コースです。

追う2位のHondaは、この区間に昨年の区間賞獲得者で2022オレゴン・2023ブダペスト世界選手権の3000m障害代表の青木選手を四年連続で配してきました。首位を行くトヨタ自動車のベテラン、田中選手との40秒差は射程圏かと思われましたが、過去の優勝に貢献してきたレース巧者の田中選手は青木選手を全く寄せ付けず、区間賞を獲得する殊勲の走りを披露しました。差を1分29秒まで広げて、6区へと繋ぎました。

3位には、今季の進境が著しい葛西選手が区間2位の走りを見せた旭化成、4位黒崎播磨、5位Kao、6位NTT西日本、7位GMOインターネットグループと続きます。

区間賞 田中秀幸(トヨタ自動車)46分33秒

6区 11.2㎞ 桐生市役所〜伊勢崎市西久保町

勝負は後半。旧コースは"戦略の6区"と呼ばれ、過去この6区で区間賞を獲得したチームが総合優勝を飾るケースが非常に多かった重要区間です。今回のコース変更でも、距離は少し短くなったものの、小刻みなアップダウンもあり、向かい風をまともに受け、コーナーが多くてペースが掴み辛い難コースのままです。

首位のトヨタ自動車は9月のMGCが失敗レースとなり、涙にくれた西山選手。実力者は、区間賞を獲得する気迫の走りで、2位から追ってくる2024パリ五輪マラソン代表内定のHonda・小山選手をさらに引き離し、7区中継では2分5秒のセーフティリードを築きました。

3位は旭化成、4位には、GMOインターナショナルグループから出走の大迫選手が区間2位の走りで3人を抜いて押し上げ、健在をアピールしました。

区間賞 西山雄介(トヨタ自動車)32分59秒

7区 15.6㎞ 伊勢崎市西久保町〜群馬県庁

首位のトヨタ自動車は、主将の服部勇馬選手が二年連続で登場。強い向かい風に苦しめられながらも、体幹のしっかりした安定した走りで、手堅く区間3位にまとめ、8年振り三度目の優勝テープを切りました。2位はHonda。二年連続アンカーの木村選手が3位の旭化成・市田孝選手(区間賞)に迫られたものの逃げ切りました。4位の黒崎播磨はチーム最高順位、5位三菱重工、6位Kao、7位NTT西日本はゴール前のラストスパート合戦で勝負が決し、8位はGMOインターネットグループが入りました。

主力選手の予想外の不振が相次いだエリート軍団富士通は、9位まで巻き返すのが精一杯でした。

区間賞 市田孝(旭化成)48分05秒

チーム成績

① トヨタ自動車 4時間49分02秒
② HONDA 4時間51分11秒
③ 旭化成 4時間51分27秒
④ 黒崎播磨 4時間52分40秒
⑤ 三菱重工 4時間53分45秒
⑥ Kao 4時間53分46秒
⑦ NTT西日本 4時間53分47秒
⑧ GMOインターネットグループ 4時間54分07秒

勝手に寸評

強力メンバーを揃え、チーム内の気力充実が感じられたトヨタ自動車の圧勝でした。今季限りでの引退を表明し、最後のニューイヤー駅伝出走となる大石選手が先頭から4秒差の4位と絶好の位置で滑り出すと、2区の太田選手が圧巻の走りでトップに立って主導権を握り、後は危なげのない横綱相撲級のレース運びでした。マラソンで復活を目指す主将の服部選手の自信溢れる走りが印象的でした。

三連覇を逃したHondaは、地力を見せての2位。ベテランの2区大六野選手、7区市田選手が意地を見せた旭化成は復活の3位です。4位の黒崎播磨は、マラソンで実績のある細谷選手、スピードランナーの田村友佑選手に匹敵する柱が育てば、今後優勝争いにも顔を出すことでしょう。

個人的には、ここ数年故障の影響で第一線のレースの欠場が続いていた田村和希選手が3区区間2位の好走を見せたのが嬉しい材料です。所属の住友電工チームは、今回複数区間でのブレーキで22位に沈んだものの、本来上位争いしてもおかしくない戦力だけに来年は期待したいと思います。

おまけ

駅伝観戦歴40年以上の私が、駅伝・マラソン・中長距離レースの観戦を記事に残していますので、興味があれば覗いて見て下さい。

p.s.
石川県沖の大地震(震度7)と津波の状況が心配です。被害に遭われた方の無事をお祈りします。

この記事が参加している募集

スポーツ観戦記

サポートして頂けると大変励みになります。自分の綴る文章が少しでも読んでいただける方の日々の潤いになれば嬉しいです。