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知的刺激に溢れた土曜日

本日は、何となく不思議な流れでしたが、結果オーライで終わった一日になりました。久々に知的好奇心の沸く時間も持てましたが、おそらくすぐに今日の経験は記憶から消えるでしょうから、極力忘れないように記事に残すことにしておきます。

クリステンセン教授

昨夜は、少し調子に乗って飲み過ぎたせいか、朝起きると身体がかなり重く感じました。天気も良かったので、朝から週末Walkingの日課を消化すべきだったのですが、無理はせずに本格的始動は、午後からとしました。

布団にくるまりながら、スマホで『荒木博行のbook cafe』初期のバックナンバーを聴いて過ごしました。中では、クレイトン・M・クリステンセン『イノベーション・オヴ・ライフ』(翔永社 2012)を三回に渡って取り上げた回の再聴で、またじんわりと心を動かされました。ハーバード大学で教鞭を取り、2020年1月に67歳の若さで他界したクリステンセン氏は、荒木氏が「師匠」と崇める知の巨人です。私も『イノベーションのジレンマ』(翔永社 2001)には、大いに感銘を受けました。

2012年発売の『イノベーション・オブ・ライフ』は、氏の数多い著作の中でも、ひときわ名著の誉れが高く、ビジネス理論書というよりは、人生哲学の本として非常に影響力がある一冊です。荒木氏の音声解説を聴いていて、私も久々に読み直したい気分に襲われました。

始動は午後から

そうこうしている間に、12時を過ぎてしまいました。ノロノロとシャワーを浴び、伸びていた髭を剃り、身支度をして、午後1時過ぎからクルマで外出しました。週末のランチにしばしば利用しているパスタ屋さんに入り、遅めの昼食を取りつつ、持参した安達宏昭『大東亜共栄圏』(中公新書2022)を読み進めました。

大東亜共栄圏ということばを公式の場で初めて使ったのは、第二次近衛内閣の外相を務めた松岡洋右(1880/3/4-1947/6/27)だったことは知りませんでした。しばしば誤ったイメージで語られることも多い大東亜共栄圏を長年研究されてきた著者の安達氏は、あとがきで、以下の三点を重視して、本書を執筆したと書いています。

① 圏域経済を動かすモノ・産業・輸送に着目し、それとの関係から政治の展開を検討すること
② 日本語の第一次史料を駆使して日本政府・軍による圏域運営での構想と実施過程の両方にあった問題点を、帝国日本の構造に留意しながら明らかにすること
③ 圏域全体を一体として把握し各地の関連に注目することで、東南アジアに目が向きがちな大東亜共栄圏の議論に中国や満州の重要性を提起すること

P245

私は、大東亜共栄圏という構想こそが、日本が太平洋戦争に雪崩れ込んでいく要因を作った元凶の一つである、と考えていたのですが、当時の国際情勢の中で、日本の自存自衛を考えると、止むを得ない道だったようにも見えてきます。かなり楽しみながら読んでいます。

図書館で時間を調整

パスタ屋さんには16:00頃までいたものの、夕飯までにはまだ時間もある為、近所の図書館に立ち寄って、時間調整をしました。その時に、書架から手に取って読んだのが、石井妙子『日本の血脈』(文春文庫2013)でした。

この最初の章が、小泉進次郎氏でした。これはかなり面白い内容でした。横須賀を本拠とする小泉家が、四代にわたる政治家一族というのは聞いたことがありましたが、ここまで複雑な事情があることは知りませんでした。

yes!を聴く為にクルマを走らせる

18:30から放送の『yes! ~明日への便り~』は、日本を代表する画家の岸田劉生(1891/6/23-1929/12/20)でした。私が大好きなラジオ番組です。

番組内の前半でフィーチャーされた、佐野元春 & THE COYOTE BAND『明日の誓い』(2022)に感銘を受けました。”ビート詩人”の異名を持つ佐野元春の凄味が感じられる歌詞です。

明日がなければ意味がない
怖がるばかりじゃきりがない
(中略)
明日がなければ意味がない
悩みがなければ味気ない
今日と一緒に歩いてゆく
よりよい明日へと紛れてゆく
それはただの理想だと人はいう
でも理想がなければ 人は落ちてゆく
それはただの希望だと人はいう
でも希望がなければ 人は死んでゆく
明日がなければ意味がない
痛みがなければ気づかない
今日と一緒に歩いてゆく
よりよい明日へと紛れてゆく
よりよい明日へと紛れてゆく

佐野元春&THE COYOTE BAND『明日の誓い』

38歳で早逝した岸田劉生の生涯もかなり波乱に富んだ人生を歩んだ人です。幼少の劉生にかけた父のことばは、大変深い教えです。

いいか、劉生、何事も中途半端はいかん。やるならとことんやりなさい。とことん突き詰めて突き詰めて、ようやく、ひとはそれを『仕事』と呼んでくださるんだ

『yes! ~明日への便り~』第378話 岸田劉生より

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