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プロの書くエッセイはやっぱりスゴい

本日は、『プロの書くエッセイはやっぱりスゴイ』という、中学生の感想文みたいな内容です。私もnoteで2年以上、「モノを書く」という表現活動を続けています。でも、プロの仕事とは力量が違い過ぎます。憧れるなあ、自分もこんなエッセイが書けたらなあ、と思った話です。

久々に乗った新幹線で…

昨日(2021/3/19)は、息子の通う小学校が卒業式で、卒業生以外は学校がお休みでした。妻の発案で、ガーラ湯沢へ日帰りで遊びに行こうということになりました。

東京駅からガーラ湯沢駅までは、上越新幹線たにがわが約1時間40分で運んでくれます。最後に新幹線に乗ったのは2019年11月の秋田旅行の時なので、1年以上ぶりでした。

車内で朝ごはんを食べ終えて一息ついた後に、座席の前のポケットにあった『トランヴェール』を手に取りました。私は、移動中に雑誌を読むのが好きです。『トランヴェール』は、JR東日本が発行している雑誌で、指定席の乗客は無料で持ち帰ることができます。

読み始めて、「うまいなぁ」「プロの技だなぁ」と感嘆したのが、巻頭エッセイ【旅のつばくろ】の第六十回『すれ違い』というエッセイでした。

「すれ違い」続けた人気作家のプロの技

それもそのはずで、このエッセイは、沢木耕太郎(1947/11/29-)氏が書いたものでした。見開き2頁弱の短いエッセイです。リラックスさせつつも、しっかり読ませる構成になっていて、読後感が最高でした。

沢木氏は、人気のノンフィクション作家/エッセイストで、『深夜特急』シリーズが特に有名です。私の先輩や友人にも、「『深夜特急』は、オレの学生時代のバイブル」という熱烈なファンがいます。私も何度か薦められたものの、なぜか食指が動かず、氏の著作を読まないままここまできました。まさに『すれ違い』続けた作家でした。

このエッセイの素晴らしさに感銘を受けたので、早速、講談社エッセイ賞を受賞(1985)した氏の『バーボン・ストリート』をamazonで注文し、到着を心待ちにしているところです。

何がスゴいのか、の分析

沢木氏のこのエッセイの何にスゴいと感じたのか… 
私なりに考えてみました。熟練のプロ作家の技は、アマチュアの書き手には大いに勉強になります。私の分析は以下の通りです。

● この作品の読者が、新幹線の乗客であることを意識し、旅に関連する題材、エピソードを援用している。
● 三章構成で、起→転→承/結という構成に見える。メインテーマ=『すれ違い』を冒頭に打ち出して、ピン止めし、きっちり最後に回収している。
● 例に使う『君の名は』と『点と線』は、ある年齢以上の読者層には馴染みのある作品なので、簡潔な説明で援用できる。
● 自らの体験を巧みに盛り込んで、主張に説得力と厚みを持たせている。
● 無駄な記述がなく、文章が心地良く「流れて」いる。
● 東京駅、新青森駅、秋田県の寒風山の地名が印象に刻まれる。寒風山の最寄りの脇本駅の写真が使われている。東北新幹線や男鹿線(JR東日本)の宣伝広告にもなっている。

広告主・読者の双方に目配りして、抜け目なくニーズに応えているところにプロの仕事を感じた次第です。

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