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遠い記憶になった海外

仕事を終えて自宅に戻り、為替レートを眺めていたら、先ほど1USDが136円を超えてきて驚きました。この勢いだと140円に達するのは時間の問題かも…… と少し心配になってきました。相変わらず感染症対策のマスク着用を徹底とかやっている間にも、世界はどんどん前へ前へと動き始めていて、日本の相対的な国力がむしられている、という印象を抱き、不安になります。ここまで円安が進んでしまうと、コロナ問題が収束しても、ちょっと海外へ行ってきます、という訳にはいかなさそうです。

海外志向しかなかった頃

私の人生前半戦は、海外志向が旺盛でした。とにかく海外へ行きたい、息苦しい日本を飛び出して世界で活躍するぞ、と夢を描いてきました。

それが、今では海外へ行きたいという強い意欲が沸いてきません。以前は割とチェックしていた国際情勢も、あまり熱心にはフォローしなくなってしまいました。元々得意ではない英語は、聴くのも、読むのも、話すのも、書くのも今では億劫です。時々、気紛れに『イタリアに行きたいなあ』『もう一度、アメリカに行きたいなあ』と頭を過ぎるものの、一方ではもう一生海外に行けなくてもまあ仕方ないか…… という気持ちもあります。

私がこれまでに訪れたことのある国は、丁度30か国です。通算の渡航歴は、150回位でしょうか。日本人の中では、多い部類かもしれません。海外を飛び回る仕事に就きたかったので、その目標は達成されたと思っており、満足しています。

私の中の脱海外が進行中

旅行に対する情熱が薄れてしまった訳ではないものの、今は積極的に海外に行く魅力を感じません。円安で物価が割高、英語を話すのは面倒だ、コロナ関係の手続きが煩わしい、など、デメリットばかりが思い浮かびます。それよりも、これまで後回しにしてきた国内旅行の方に時間もお金も割きたい、という気持ちの方が強いです。

最後に海外に出たのは、2019年10月の香港旅行ですから、もう3年近く日本から出国していません。パスポートは、2020年に期限が切れて以来、そのまま放置したままです。そのパスポートを使っていた時期は、海外出張する機会が多かったので、パスポート#も暗記していたし、増刷もしていて、なかなか思い入れが深いです。入国/出国のスタンプを見ると、軽く記憶が戻ります。

あんなに想い焦がれていた海外への意欲が、こんなに短期間に急激に薄れてしまったのは、自分でも意外です。再び国際ビジネスの場で仕事をしたい、という思いもなくなってしまいました。自分が劣化してしまったようで、何となく寂しい気持ちはあります。

日本は懐の深さを維持すること

海外に行くことで良かったのは、日本の良さ、層の厚さを再認識できることです。ここ数年で急速に旅経験を重ねてきた人は、日本は追い抜かれていると主張するかもしれません。日本の街、景観の変容スピードは異様なほど緩慢です。

上海、香港、台北、シンガポール、ソウル、バンコク、クアラルンプール、ジャカルタ、ハノイのような、アジアの大都会を東京と比較すると、既に凌駕されてしまっている可能性が高いです。でも、各国の地方まで含めると、日本はまだ相対的には豊かな方ではないかなあと思っています。

収入も低いが、物価と生活コストも安い、というのは、日本の国際競争力やマクロ経済的にはまずい状況でも、私個人的には悪い話ではありません。工夫して仕事と生活、人生を楽しめばいいからです。日本がこのまま無為無策を続けたままだと、5年後の生活レベルは保証できませんが、じんわり落ちている今の内に、有効な施策を打ち出していけば、何とかソフトランディングできるのでは…… と楽観的に考えなくもありません。

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