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登山体験記:焼岳

先週に引き続き、週末の記事投稿を休んでしまいました。

土曜日は、飲み会が深夜まで盛り上がってしまい、書くタイミングを逃してしまいました。

昨日(2023/7/23)の日曜日は、急遽飛び入り参加で、北アルプスの焼岳(2,444m)に登頂し、疲労困憊で記事を書く体力が残っていませんでした。

本日は、その貴重な登山体験を、『登山体験記:焼岳』という記事にして残します。

偶然のチャンスに飛び乗る

登山の機会は偶然やって来ました。土曜日の飲み会で、『〇〇さん(私も既知の方)の企画で、明日焼岳に登るんですけど行きますか?』というお誘いを頂き、「これも何かの縁であろう」と直感し、乗っかる決断をしました。

山については、若葉マークどころか、免許も持っていないような超ビギナーです。僅かに、中学時代の体験学習で六甲山(兵庫県)に登ったり、20代の頃に飯盛山(埼玉県)をトレッキングした経験はありますが、本格登山の経験はありません。信州=山のイメージがあるので、松本に来た頃からトレッキングには興味がありました。アプリのYAMAPをDLして、時々ギアを眺めたり、登山ブログを読んだりはしていましたが、持っているリュックもトレッキングシューズも"なんちゃって"の安価なものです。しかも、前日は午前様で宴会を楽しみ、睡眠3時間程度で体力面でも不安がある状態です。なかなか無謀な挑戦をすることとなりました。

登山:両足痙攣、大苦戦の登頂

5時にセットしておいた目覚ましアラームで起き、6時に待ち合わせ場所へ。本日は飛び入り参加の私も入れて、七名のグループです。私を除く方々は、みな登山経験があり、装備も本格的です。リーダーのクルマなどに分乗し、出発です。途中のコンビニで、昼ご飯用のおにぎりや、水、スポーツ飲料などを調達し、上高地駐車場に立ち寄ってトイレを済ませてから、焼岳登山口に到着しました。本日挑むのは、新中ノ湯ルートと言われる登頂ルートで、登山初心者でも本格的登山が楽しめるという人気のコースのようです。各々、準備体操をして8時過ぎに登山開始です。

スタートして、いきなり急峻な上り坂が始まります。針葉樹林の中、何度か休憩を挟み、ほぼ中間地点にあたる広場に到着した時には、既に2時間を要していました。広場からは視界が開け、焼岳山頂付近が綺麗に望めます。同行者によれば、秋は紅葉が素晴らしいそうです。

休憩を終え、更に進んでいくと、樹木が途絶え、岩石や瓦礫の道が始まりました。このあたりから、私の身体が徐々に悲鳴を上げ始め、次々とアクシデントに見舞われるようになります。最初に左のふくらはぎが痙攣し、それをかばっている内に右のふくらはぎにも痙攣が襲ってきました。大量の汗が額から滴り落ち、呼吸も乱れて、かなり苦しい状態になっていきました。両太ももにも度々痙攣が発生していました。パーティの進行を度々中断させてしまい、リーダーの方に私のリュックを持ってもらい、トレッキングポールもお借りしてなんとか進んでいきます。周囲の壮大な景色を楽しむ余裕は全くありませんでした。この時点で、かなり心が折れていました。

何とか時間をかけて尾根にまで到着。ここからの眺めは素晴らしく、池を見下ろせます。焼岳は現役の活火山であり、硫黄の香りも漂ってきます。焼岳の頂上は北峰と南峰があるものの、南峰は進入禁止地域となっているため、北峰を目指して、最後のアタックに入ります。油断すると滑落の危険もある岩場を、四つん這いの格好で進み、何とか山頂に到着しました。約4時間30分での登頂成功です。

山頂:束の間の至福

この時点で、私の体力はかなり消耗しており、景色を存分に楽しむ余裕がありませんでした。幸い、到着した時点で山頂は快晴で、360度のパノラマが広がっていました。上高地を上から見下ろし、奥穂高岳など、周囲の山々が見渡せました。暫くすると、雲が湧いてきて、あっという間に曇ってしまいました。山の天候は変わり易いと言いますが、その通りでした。

山頂の看板付近の石の上に腰をおろし、持参したおにぎりを食べ、ペットボトルのお茶をがぶ飲みし、数枚写真を撮った時点で、睡魔が襲ってきて、出発までの数十分間、束の間の仮眠を取りました。睡眠時間が十分ではなく、体調万全で挑まなかったことを後悔していました。山を舐めては駄目だと痛感しました。

下山:苦しみに耐えながら……

下山に向けて出発したのは13時10分頃だったと思います。来たルートを今度は下ります。登山では「登りよりも下りの方が足への負担が大きい」と言われることがあります。滑る箇所やぐらつく箇所も多数あるので、下り坂の方が神経を使います。緊張感を抜けません。

私は既に脚が言うことを聞かない状態だったので、踏ん張る度に膝が笑ったり、ふらついたりしていました。一歩一歩緊張感を切ることができないので心もやられます。余裕のあるパーティの方々は、会話を楽しんでいましたが、その会話に加わる余裕は、体力的にも精神的にもありませんでした。

それでも、岩場を下りている間は眼下に景色が広がって、気分転換もできたのですが、広場を過ぎて、針葉樹のエリアに入ってからは、変わり映えのしない景色の中を一歩一歩踏みしめて進むのがやっとでした。身体も限界が来ていましたが、なかなか到達せず、心がやられます。とにかくきつかった。

やっとの思いで、ゴールに到着してから、しばらくは起き上がれないくらいの疲労困憊状態でした。最寄りの温泉施設に立ち寄って、大量の汗をかいた身体を洗い流し、湯舟に浸かって、ようやく生き返った感じがしました。

総括

事前準備なしで2000m級の山に挑んだのは、無謀な行為でした。とはいえ、今回このイベントに参加しなかったら、おそらく一生登山とは縁の無いまま終わる可能性が高かったように思います。

下山した瞬間は、「もう勘弁してくれ」という気分でしたが、一晩明けると、不思議なことに「また行きたいなあ」という気分になっています。脚には筋肉痛が残り、内臓にもまだ軽いダメージがある感じですが、次回は体調万全で、ギアも整えて参加したいと思います。

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