再現性のあるマーケター/営業企画職の転職ノウハウ

昨今転職が当たり前の風潮になっているマーケター界隈ですが、実態は転職する人はいずれ一部です。なぜなら、マーケターに関しては「新卒から外資系を中心とするマーケティング部在籍の集団」と「広告代理店/インハウスでのWebマーケを中心業務とする集団」の二大勢力がTwitterでは注目を集めるからです。この実態は、両者とも独立してマーケティングコンサルティング(あるいはマーケティング塾もどきの活動)を生業にしているからです。

マーケティング職のキャリアとして、転職を通じて幅広い経験を積むことを推奨しているのにも関わらず、転職先でのベース給が1100~1500万円を狙えるノウハウ情報がほぼ存在しませんでした(筆者調べ)。ここでは、以下の対象者に絞った実体験の情報をお伝えできればと思っております。

と申しますのも、メーカーの営業職でキャリアをスタートしている私には、すでに子供がいたため、「年収が減る転職」は最初から検討外でした。結果として、1年以上情報収集と相談を重ねてようやく「年収の上がる」転職を実現したのですが、「転職の実体験を包括的にまとめた情報があれば欲しかった」思いを起点でこの記事を買いています。有名企業勤務の方は3~5ヶ月程度で転職活動が終了するかもしれませんが、残念ながら私はそういう経歴を持ち合わせていません。よって、もしかしたら多少は汎用性のある、かつ、有益なヒントを提供できるかもしれません。(記事に関する文字数は3万文字になります)

本記事対象者:入社5~8年目の方に向けたマーケター志望の記事になります。新卒の学部入社だと26歳~30歳、大学院卒での入社だと28歳~32歳になります。転職時の提示給料が600~800万円を超えずにちょっと低いなぁと悩んでいる方が中心です。

本記事を読むと有益な情報が入る層:26~32歳あたりの年齢。転職先でのベース年収で、以下のA~Cを目指す方。ボーナス/RSUは上記年収に含めるが、福利厚生は一切含まない。

期待年収(A):600万円~900万円
期待年収(B):950万円~1200万円
期待年収(C):1250~1500万円

前提条件:日系企業勤務、営業/プロモーション業務/営業企画業務の経験有り(幅広い定義だとマーケティング経験あり)、英語力TOEIC900点程度

ここでは、年収UPを基本路線にあり得る可能性がどこにあるかを実体験ベースで共有します。一部オファー金額も記載してあるため、書籍代ほどの課金を後程設定します。


  1. 外資系FMCGのマーケティング職は供給数が少ないため、業界経験者で埋まる傾向有り。神戸でよければP&G/ネスレは狙い目。(P&G/ユニリーバ/ロレアル/マーズ/ネスレ/コカ・コーラ/モンデリーズ/資生堂/Lenovo/BAT/PMI)

  2. 外資系製薬でのリーダーシッププログラムは狙い目だが、海外MBA卒候補との激戦になる可能性大。穴場はデジタルにあり。(アストラゼネカ/MSD/J&J/武田薬品/日本イーライ・リリー/グラクソ・スミスクライン/サノフィ製薬/ノバルティス/バイエルン/ファイザー/ヤンセンファーマ)

  3. 日系企業の中途採用は限りがあるが総合商社には挑戦すべし(三菱商事/三井物産/住友商事/伊藤忠)

  4. 外資系GAFAは最難関激戦区だと覚悟すべし。中堅規模の外資系IT/SaaSも営業でよければ、可能性がある(Google/Amazon/Apple/Facebook(Meta)/Uber/Spotify/Pinterest/Tiktok/Salesforce/Oracle/Microsoft/IBMなど)

  5. 外資系コンサルは期待するな。本気で行きたければ、自分で仮説を構築して突破せよ(Mac digital/BCG digital/Accenture/DTC/PwC/EY/KPMG)

そもそも高年収になりたければ市場が求める業務内容を経験すべし(Digital marketing/Data analysis)


  • 当たり前ですが、市場動向にはどんな優秀な一個人であっても敵いません。特に、これから10~20年ほど労働者としてやっていかなければいけない人は、市場動向を無視することはできません。直近10年間のマクロトレンドとして、経験すべきスキルは1) IT領域、2) 英語の二つになります。業界問わず、この領域に足を踏み入れている人は転職価値が上がります。近年では、バブルと揶揄されながらもSaaS営業には追い風が吹いています。マーケティング職の人にオススメなのは、1) デジタルマーケティングを通じて実績を残すこと、と、2) データを分析して、意味のある示唆を出した経験(外部データをExcelで加工のみならず、SQL/Tableauなども触れていると尚良い)があると非常に転職可能性が広がります。こういった情報はどこから入手するかは、エージェント経由です。端的に希望年収を伝えて、そこに到達するために2~5年でのステップを聞くといいです。ここ数年の一貫しているトレンドは、マスマーケティングの需要は落ちており、商品開発のパッケージやTVCMのコミュニケーションを変える業務を複数年積んだところで転職先の年収が200万円上がることはほぼないです。なぜなら、経験と勘で判断された意思決定はGAFAといったテクノロジー企業ではほぼ価値を持たないからです。統計学の専門家を有してData-driven marketingを行う世界といまだに商品とTVCMを勘で決めるマスマーケティングの世界には隔離の差があるわけです。裏を返せば、マスマーケティングが成立する理由は、小売業界がデジタル世界から遅れているからです。実際、地方のスーパーなんか義理人情愛嬌で決まります。好き嫌いで売上が変動するような世界観が未だに広がっているのです。また、日本の消費者も平均年齢は50歳を超えており、未だに一般消費者もスマホのデジタル決済を使えこなせていないからこそ、ナショナルメーカーと呼ばれる消費者ビジネスを行なっている会社は競争優位性を確立できているわけです。それと違うドメインで競争している領域は昨今のD2Cブランドによって売上を奪われたり、デジタルマーケティングに全振りしています。

  • この情報を(できる範囲で)体系的にまとめた契機となる話をします。2021年の現在は、プログラミングスクールが乱立していますが、2013年の当時はプログラミングはまだまだマイナーな事業領域でした。当時高校のクラスで一番優秀だった友人Mは、東大法学部に在籍していたのですが、某戦略コンサルティングファームの内定を大学の3年秋に獲得したにも関わらず、結果的に内定辞退をしてエンジニアの世界に飛び込みました。当時の私にはその意思決定の根拠が理解できず、変人すぎるがゆえにアホだと思っていました。しかしながら、6年経ってアホだと分かったのは私の方でした。彼は、そのまま残りの学生時代をエンジニアとして有給インターンをしながらプログラミング職に就き、そのままベンチャー企業に入社しました。そして、その数年後にGoogleに転職し、今はGoogleの海外支店に転籍しています。遠い昔(といっても約9年前)に、彼にはすでにプログラミングの需要が伸びることがわかっていたのです。コンサルティング業界でパートナーになるまでの長い道のりも、途中でコンサルタントとして独立して稼ぐ道も、彼にとっては魅力的ではなかったと後に回顧していました。

  • こういった友人のおかげで、私も同様に将来の市場価値を意識するようになりました。新卒で日系大企業に入社し、その後営業での成績を引っ提げて、本社勤務の企画職(プロモーション部)を経て、経営企画部門にまで抜擢を(社内で)重ねていましたが、自身の進路を見直すことにしました。なんだかんだメーカー勤務だと給料は高くならないです。もちろん入社前にわかってはいましたが、リスクなく1000万円近くを目指せる道を捨てきれずに、グダグダと勤務を続けてしまったのです。結果として、美人な嫁を同期で見つけられたので、後悔はないです。ただ、今後の将来を考えると日系メーカーで勤務を継続することはリスクだと判断して、転職しました。

外資系FMCGのマーケティング職は供給数が少ないが、関西でよければP&G/ネスレが狙い目(P&G/ユニリーバ/ロレアル/マース/ロイヤルカナン/シック/SCジョンソンネスレ/コカ・コーラ/モンデリーズ/モエヘネシー/ハインズ/資生堂/ユニ・チャーム/ブリティッシュアメリカンタバコ/フィリップモリス)

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